合格最低点 105/200 点
算数の想定合格点 35点
どこよりも長く東大合格者数ベスト10に入り続ける、日本を代表する進学校の麻布高校。
ただ堅苦しい勉強の雰囲気はまるでなく、生徒達は「大学なんて興味ない」と言わんばかりに自由を謳歌し、多様な価値観を認め合う校風で知られています。
この強烈に個性を育まれる環境で育ったOB達は様々な分野のトップランナーとして活躍していることは周知の事実です。
中学受験においても男子受験生の羨望を集める最難関校として君臨しています。
ただ入試問題は独特で「読む」「書く」を最重要視した出題は、まさに麻布中が求める生徒像を体現していると言えるでしょう。
算数に関しては「比への習熟」「誘導に乗る」が一貫したテーマで、小学生ばなれした高度な論理性が問われます。
さて、ここからは2024年の麻布中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
〇:麻布中合格のため必ず正解したい問題
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1 〇
2024年の麻布中の算数の入試問題の第1問は、普通の計算問題となりました。
処理量はやや多く1問目としては骨が折れますが、小数を分数に換算して丁寧に取り組みましょう。
解答例では途中で敢えて約分しないことで、のちのち通分しやすくなるように意識しました。
当然ながら確実に正解しておくべき問題です。
大問2
(1) 〇
「共通部分を加える」という中学受験頻出解法を用います。
今回は△ABEと△CDEのそれぞれに△BCEを加えることで、直角三角形ABCと二等辺三角形DBCの差を求めれば良いと分かるでしょう。
麻布中合格を目指す受験生にとっては常識とも言える問題ですね。
(2) ×
「きっと(1)が誘導になっているんだろうなぁ…」と思っても、なかなか気づきにくい問題です。
「正三角形」「45度」「線対称」「与えられている長さはQS=5cmだけ」などの条件から、以下のように読み替えられると良いですが、思いつかない場合は後回しにしても構いません。
大問3
(1) △
麻布中で頻出の「流水算と比」の問題です。
まずは問題文で与えられている2種類の出会い方を線分図で整理しましょう。
今回は「流速は打ち消しあう」⇒「速さの和は一定」⇒「出会うまでの時間も同じ」と考えることによって「進んだ距離の比=速さの比」と考えることが出来ますね。
麻布中の速さの問題らしい「比への習熟」が問われる良問です。
(2) △
(1)で求めた速さの比から、逆比を用いて時間の比を考えるだけの問題です。
答えの数字がやや汚くなりますが、自信を持って解答欄に書きましょう。
(1)が出来た受験生へのサービス問題とも言えるでしょう。
大問4
(1) 〇
何やら様々な特徴がありそうな規則性の問題です。
(1)は易しいでしょう。
各段の最後の数が平方数になっているので「13段目は12×12の次の数から13×13まで」と分かります。
(2) △
上下の三角形の和を調べると、4,8,12,16,20…と4の倍数になっていることが分かります。
各段には1個、2個、3個、4個…と三角数になるように白い三角形が並んでいるので、464÷4=116番目の白い三角形が何段目のどこにあるのかを、近い三角数に注目して考えましょう。
(3) △
ウとオの差はあまり大きくなく、エオカは連続する数なので1608÷4=402に近い平方数に注目しましょう。
各段の最初の数は平方数+1なので362や401を基準にして「1つ右にずれたら和がどうなるか?」を考えると、答えに辿り着くことは特に難しくはありません。
この大問を完答できると、大きなリードを取ることが出来たと言えるでしょう。
大問5
(1) 〇
18回目にすれ違うのはAとBが合わせて18km進む時、というのは麻布中合格を目指す受験生にとっては当たり前でしょう。
9:4で比例配分するだけで正解できる易しい問題でした。
(2) ① △ ② △
多くの受験生が苦手とする「答えが複数」「範囲」の問題です。
(1)でAが最も遅い場合を求めているので、Aが最も速い場合を考えます。
最初からAの速さが2倍だった場合を考え(1)と同じように比例配分しましょう。
あとはすれ違った場所がちょうどP地点になることに注目し、最も速い場合と最も遅い場合の間で「整数」になるものを考えれば良いですね。
②は①で求めた状況をBの進んだ距離に注目して時間を設定し、あとはつるかめ算として処理することが出来るでしょう。
後半の大問ですが決して難しくはありません。
大問6
(1) △
中学受験生ならば一度は経験するであろう「桁ばらし」の問題です。
「〇桁の△番目」「□文字目」など、常に言葉を意識して、丁寧に取り組みましょう。
麻布中合格を目指す受験生なら「Bの1001番目はAの3001文字目から3003文字目」と正しく言い換えられるはず。
この後の誘導形式に備えて、是非とも正解しておきたい問題です。
(2) △
「その数字が何回出てくるか?」も難関校を目指す中学受験生なら何度も経験しているテーマです。
「百の位の0」「十の位の0」「一の位の0」の各位において丁寧に調べましょう。
最初の数が何か、という点で答えがズレやすいので気を付けましょう。
(3) △
(1)を用いて1000,2000,3000がそれぞれどこで区切られるのかを丁寧に計算して求めましょう。
麻布中合格を目指す受験生なら「きっと(4)の誘導になっているんだろうな…」と思いながら解いたのではないでしょうか。
(4) ×
(3)で求めた「縦線のすぐ右にある数字0」に注目することは分かるものの、なかなか利用の仕方が浮かばないであろう難問です。
まずは桁数で場合分けが出来ると良いでしょう。
2桁に関しては「桁数の2」「区切りの3」「2桁の数10個で20文字」の最小公倍数の60文字に注目できると、そこからは繰り返しになることが分かります。
3桁はちょうど数字の変わり目ごとに縦線が書かれるので該当するものはありません。
ここまででも解答欄に書いておけば、部分点は取ることが出来るでしょう。
4桁は(3)を縦に見ることがヒントになっています。
0の位置は同じ場所になり、また3段が周期になっていることに注目すると「結局4桁の数に含まれる0のうち3個に1つが縦線の右にある」ことが分かり、条件を満たします。
(3)で調べた規則はもちろん、(2)で求めた0の個数も大きなヒントになっていたという見事な誘導になっていますが、気づいて応用できた受験生は少ないでしょう。
総評
このように2024年度の麻布中の算数も1枚目に大問3つ、2枚目に大問2つ、3枚目に大問1つの計6問構成というという例年通りの出題になりました。
出題内容も「図形と比」「速さと比」「数への感覚」など、頻出テーマに沿っていて、まさに「麻布中の算数の入試問題と言えばこれ!」となっています。
合格最低点は105点なので麻布中としては若干ながら低めです。
国語・理科・社会の3科目で半分の得点率だとすると、算数の合格ラインは35点と想定されます。
ここからは2024年の出題で、その合格ラインを上回るための戦略を考えていきましょう。
今回は誰にでも取れるような〇レベルの問題は大問1、大問2(1)、大問4(1)、大問5(1)と少なめです。
ここでの失点は命取りなので、確実に正解することが合格への必須条件でしょう。
△の箇所はいかにも麻布中らしい出題で、対策の多寡で大きな差がつきました。
大問3の速さと比、大問4(2)(3)の規則の利用、大問5の速さと数の複合問題、大問6(1)(2)(3)の整数の性質の問題などは確かに難問です。
ただ根底に流れるテーマは過去問で何度も問われているので、入念な準備を重ねてきた麻布中志望者にとっては既視感のある出題だったのではないでしょうか。
この中から半分くらいを正解できれば充分に合格ラインには届きます。
特に大問3や大問5が狙い目でしょう。
✕の箇所も麻布中の算数の真骨頂の誘導になっているので、正解できた麻布中合格者も少なからずいたのではないでしょうか。
結局2024年の算数も「比への習熟」「誘導」という麻布中らしさが凝縮された出題と言えるでしょう。
2025年以降に麻布中合格を目指す受験生にとっても非常に参考になる年度となりました。
図形の出題が大問2くらいでやや少なめですが、大問2以降の全ての問題が「最近の麻布っぽい」出題です。
過去問演習を通して麻布中の算数で求められる「誘導の乗り方」や「比の使い方」を身につけましょう。
思考力系の代表例に挙げられる麻布中の算数。
ただ実際はイメージと反して決して才能勝負ではなく対策が活きる学校です。
自分に合った作戦を確立したい受験生の皆さんは、是非とも自律学習サカセルにお声がけください。
数多くの麻布中合格者を指導してきた講師陣が、算数の合格戦略の完成をサポートします。
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