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世田谷学園中の算数分析(2018年 第1回) Column

過去問分析

世田谷学園中の算数分析(2018年 第1回)

2018.04.09

「栴檀林」をルーツとし、現在も曹洞宗が運営する世田谷学園。

かつては柔道の名門校であり、坐禅や校門での一礼など、厳しいイメージを持たれがちですが、実際のところは、そこまで生徒を管理することもなく、「ThinkShare」の校訓の下、生徒達の自主性を尊重した教育を行っています。

自律学習サカセルの池尻246教室にもほど近く、学生を見かける機会も多いですが、礼儀正しい好青年ばかりで非常に印象の良い学校です。

世田谷学園に進学したかつての教え子たちも、きっと良い紳士に成長してくれることでしょう。

 

進学校としても成長が目立ちます。

学習管理が行き届いていて、語学研修の機会も多く、特待生制度や選抜クラスなどを設けるなど、ひとりひとりの生徒への面倒見も良く、首都圏男子校屈指の現役合格率を誇ります。

 

そのぶん、中学受験においては難関校としての地位を確立しています。

特に注目する科目は算数でしょう。

現在は算国理社の順に1001005050という配点ですが、平成22年までは1201006565という算数に特化した傾斜配点でした。

もちろん難度も高く、算数で決まる受験だと言えるでしょう。

 

出題内容は数・図形・文章題からバランス良く出題されますが、図形分野に関して難問が散見されることが特徴です。

また過去問の類題が数多く出題されるので、世田谷学園合格を目指す生徒の熱意も、合格につながると言えるでしょう。

 

ここからは平成30年の出題を通して、どうすれば世田谷学園の算数において合格点を勝ち取ることが出来たかを考えてみましょう。

 

〇:世田谷学園合格のために確実に正解したい問題

△:合否の差がつく問題

×:正解できなくても差がつかない問題

 

大問1

(1) 〇

基本的な逆算です。

0.125=1/8と直して計算しましょう。

 

(2) 〇

基本的な消去算です。

間違えるわけにはいきません。

 

(3) 〇

跳ね上がりの基本問題です。

はじめのAから順に考えてられるので易しいでしょう。

 

(4) 〇

規則性の典型題です。

4番目まで描いてみると、4⇒10⇒18⇒28となり、差は6⇒8⇒10となります。

 

(5) 〇

1回の勝敗の差が3点になります。

12点差になるには勝敗の差は4回になるので、あとは基本的な和差算として処理しましょう。

 

(6) △

円の特徴を利用した角度の問題です。

「円、おうぎ形は中心から補助線」の鉄則通りにOからEに補助線を引きましょう。

三角形EDODE=OEの二等辺三角形、△OBEOE=OBの二等辺三角形になり、外角を利用して角xを求めることが出来ます。

 

 

大問2

(1) △

倍数の個数の基本問題です。

1120までの3の倍数のうち5の倍数ではないものを求めます。

植木算の発想は特に用いない点が、紛らわしいかもしれません。

 

(2) △

こちらも倍数の個数の基本問題です。

1120の整数のうち、3の倍数と5の倍数を除いたものの個数を求めます。

 

 

大問3

(1) 〇

正面から見た図で状況を整理しましょう。

面積が56㎠なので、体積を割れば奥行きが求まります。

 

(2) △

水面と床が平行であることを利用すると、左と右の水が残った部分が相似になることに気づきます。

数値を適切に記入すれば直角を挟む2辺が8:3になることが分かります。

やや難度が高い問題でした。

 

 

大問4

(1) 〇

様々な解法を選択できる相似の基本問題です。

18cmからAの上とBの下を除く方針が早いでしょう。

 

(2) △

こちらも様々な方針を選択できます。

右下に延長して、大きな三角形から台形を除くと良いでしょう。

やや時間がかかるので、後回しにしても良い問題です。

 

 

大問5

(1) △

ニュートン算の典型題です。

式をかいて消去算として解く方法でも、線分図で処理する方法でも、どちらでも良いでしょう。

 

(2) △

(1)が出来れば易しいです。

ニュートン算を正しく学んでいたならば、確実に正解したい問題でした。

 

 

大問6

(1) ×

Pは右回りに6/秒、Qは左回りに9/秒回転するので、合わせて90度動いた時と考えたいところです。

ただ長さの1:2に注目すると、合わせて60度動いた時に正三角形の半分の直角三角形になります。

気づきにくいので間違えても仕方ないでしょう。

 

(2) △

10秒後の角QOP150度になります。

正三角形の角の半分の30度の外角であることを利用すれば、底辺4cmで高さも8÷24cmになることに気づきます。

 

 

今年は極端な難問が無く、比較的取り組みやすい出題だったと言えるでしょう。

ただ誰でも取れるような問題も少なく、実力差が充分につく内容でした。

合格者平均点で69.3点、受験者平均点で57.1点なので65点くらいで合格ラインに乗ることが出来たでしょう。

問題数は全部で16題、〇が7題、△が8題、×が1という構成なので、

合格のためには〇で6/7、△で4/8、×で0/1で、10/16=63点が目安になりそうです。

なお世田谷学園は入試に関するデータの多くを公開していて、講師にとっても非常に参考になる、ありがたい学校です。

⇒今年度の小問ごとの正答率と講評はこちら

 

来年以降、世田谷学園合格を目指す皆さんは、

① まずは中学受験レベルの典型題の解法知識を網羅する

② 世田谷学園の過去問を可能な限り遡って頻出パターンを確認し、繰り返し練習する(平面図形と相似、立体図形、弁償算など)

③ 大問56で部分点を確実に拾えるよう、答案作成のポイントを習う

ことを心がけてみましょう。

 

健闘を祈ります。

 

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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