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駒場東邦中の算数分析(2019年) Column

過去問分析

駒場東邦中の算数分析(2019年)

2019.04.18

受験者平均点 78.4点

合格者平均点 89.1点

想定合格点  80点

駒場東邦中学校の学校の特徴や傾向分析、2018年の分析はこちら

2019年春の東大合格者は前年度の47名から数字を戻して61名。

医学部医学科の合格者も非常に多く、卒業生が約240名と決して規模の大きくない完全中高一貫校として見事な実績を誇ります。

ここから数年の卒業生は入学者平均偏差値が特に高かった時期の生徒達なので、進学実績の一層の伸長が予測されます。

もちろん入学難度は高く、男子最難関校の一角です。

算数の出題形式や難度は5から10年ほどのスパンで大きな変化のある学校ですが、一貫して「数」と「図形」に対する習熟度と柔軟な発想を求める点は変わりません。

ここからは今年2019年が、果たしてどのような出題となり、どうすれば合格点を取れたのかに注目していきましょう。

〇:合格のためには必ず正解したい

△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく

×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) 〇

一見、処理量の多そうな計算問題です。

ただ今回は数字の数が多いだけで、出てくる計算は決して煩雑ではなく、また答えの数値もきれいな整数となるので、失点するわけには行きません。

(2) 〇

方陣算と規則性の基本的な問題です。

1辺が10個ということは、9個のカタマリを6辺と捉えましょう。

1×6+2×6+・・・9×6なので、もちろん計算の工夫も忘れずに。

(3) ① 〇  ② 〇  ③ 〇

駒場東邦中の受験生ならおなじみの相似の典型題です。

1つの図の中に砂時計型の相似、ピラミッド型の相似が数多く見つかるので、設問ごとに必要な箇所だけ取り出して考えましょう。

相似の学習に慣れてきた5年生にも是非とも解いてみて欲しい、学習効果の高い良問です。

ただ駒場東邦受験生にとっては、いささか易しすぎる出題でしょうか。

大問2

(1) ×

「折れ曲がった短針と長針」という珍しい設定の時計算です。

解答例のように、重ねり「始め」と重なり「終わり」を丁寧に図で整理しましょう。

重なり「終わり」では中学受験では定番の「30度60度90度の直角三角形=正三角形の半分」の性質を用います。

高度な注意力を要する、今年度の駒場東邦中の算数の出題では一番の難問でしょう。

なお駒場東邦中では2014年、2016年にも特殊な設定の時計算が出題されているので、速さの学習もおろそかにしないよう気を付けましょう。

(2) 〇

ここ数年、駒場東邦中の算数の出題では、他校ではあまり見られない珍しい設定の問題が散見されます。

2019年は、この立体図形の作図の問題が普段から算数に馴染んでいるかを判断する問題となりました。

最近流行りのドット入りの大学ノートで学習している生徒にとっては、普段通りの作図になったことでしょう。

まずは見えない部分も含めて図を描いて、その後に見えない部分の線を消すだけなので、確実に正解しておきたい問題です。

大問3

(1) 〇

駒場東邦中の算数では頻出の、約数・倍数に関する問題です。

(1)は2・3・4・5・6の公倍数、すなわち最小公倍数60の倍数を求めるだけの問題です。

(2) △

2と3で割り切れる時は必ず6でも割り切れることに注目しましょう。

《n》=1になる時は、(2,3,4,6)で割り切れる場合か、(2,3,5,6)で割り切れる場合の、いずれかになることが分かります。

あとはベン図で丁寧に処理できれば確実でしょう。

(3) △

最小公倍数の60までを周期として考えましょう。

(2)2で求めた12の倍数と30の倍数から、条件に合致するものを選びます。

題意を正しく掴むことが出来れば決して難しい問題ではありません。

大問4

(1) △

男子難関校では頻出の「立体図形と影」の問題です。

解答例のように「正面から見た相似」と「真上から見た相似」を使い分けましょう。

(2) △

(1)の図を利用して、線対称な図を描きましょう。

決して難しくはない出題です。

(3) △

正面から見た図でAの影の先端がCE上に来る時を考えましょう。

駒場東邦中の最後の問題としては非常に易しい出題となりました。

このように2019年度の出題も、例年通りの大問4題の構成となりました。

図形の出題が全体の半分以上、数の問題を含めるとほぼ全てを占めるというのも駒場東邦中らしい出題です。

合格の目安は、

大問1で25/30

大問2で15/30

大問3で15/30

大問4で15/30

その他、得意な問題を完答して約80点と想定されます。

2019年の駒場東邦中の算数は充分な対策を積んできた受験生にとっては、比較的取り組みやすいものだったと言えるのではないでしょうか。

2018年に続いて実質倍率も2倍を切り、駒場東邦中を熱望する生徒にとっては、より報われやすい入試になったと言えそうです。

ただ2020年は学校の体制も変わり、また前年の大学実績が好調だったことから人気が盛り返すことも充分に予想されます。

入念に準備を重ね、男子最難関校の受験に挑みましょう!

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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