合格者平均点 67.8点
受験者平均点 52.6点
想定合格点 60 点
2019年より他の男子進学校に先駆けて算数選抜受験を開始し、2021年からは理数コースを設置するなど、理数系教育への熱意に溢れる世田谷学園。
自律学習サカセルの校舎からも徒歩10分弱の距離に位置し、実際に進学する生徒も多い人気の男子進学校です。
大学受験から逆算したカリキュラム、先生方の目が行き届いた宿題や補習など学習面の面倒見の良さで知られていますが、決して勉強ばかりで堅苦しい学校ではないと在校生の多くが話してくれます。
様々な分野に強みを持った多彩な生徒が在籍していて、特に秋に開催される世田谷学園の文化祭の獅子児祭は一見の価値がありますよ。
中学受験においても教育内容や立地、進学実績など数多くの魅力を持った男子進学校として人気を博しています。
入試問題も算数選抜を除けば各科目で比較的スタンダードな出題がなされ、これまでの塾での頑張りが報われやすい試験とも言えるでしょう。
そのため多くの男子受験生が併願校として挑戦し、合格を勝ち取っていることでも知られます。
さて、ここからは2025年の第1回入試において、どのように得点できれば合格を勝ち取ることが出来たのかを見ていきます。
〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、正解できなくても差はつかない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
世田谷学園発表の問題ごとの正答率・講評はこちら
大問1
(1) 〇
ごく基本的な計算問題です。
分数に統一して処理できると良いでしょう。
余白がやや狭く取り組みにくさは否めませんが、確実に正解する必要のある問題です。
(2) 〇
ボールの跳ね上がりの基本問題です。
問われているのは3回目であることを確認し、この問題も必ず正解しておきましょう。
(3) △
条件付きの順列の問題です。
まず3皿目と4皿目を決め、それから残りの順番を考えましょう。
着眼点を捉えにくく、意外と間違えやすい問題でした。
(4) 〇
最大公約数の基本問題です。
世田谷学園合格を目指して中学受験の学習を重ねてきた受験生にとっては、飽きるほど解いてきたテーマでしょう。
(5) △
ここ数年で流行の兆しを見せているグラフの読み取りの問題です。
問題の条件に沿って、まずは135cm以上140cm未満の人数を求め、次に150cm以上155cm未満の人数を求めましょう。
決して難しい問題ではないですが、不慣れな受験生も多かったのではないでしょうか。
(6) 〇
複数の相似を見つけ「比あわせ」の手法で解く典型題です。
世田谷学園中の算数において図形と比は最頻出テーマです。
解き慣れている受験生が大多数だったことでしょう。
大問2
(1) 〇
平面図形と比の基本問題です。
小さな平行四辺形の面積1つぶんを1として、△ABCと平行四辺形AXEDが何にあたるのかを考えましょう。
合格者の正答率は2025年第1回の全問題中で最高の98.7%、絶対に落とせない問題です。
(2) 〇
△XYZの求め方がポイントです。
内部底辺を考えても良いですが、平行四辺形AXEDから隅の三角形3つを除くと考えた方が取り組みやすいでしょう。
(1)と比べると難度は上がるものの充分に典型題の範疇なので、正解しておくべき問題です。
大問3
(1) 〇
2人の合計点に注目しましょう。
勝敗がついた場合は3点、引き分けだった場合は4点増えることが分かります。
あとはつるかめ算として処理することが出来ますね。
基本中の基本という訳ではありませんが、どの塾のテキストにも載っている有名問題です。
これまでの学習量によって大きな差がつきました。
(2) 〇
引き分けの回数以外は全部勝ったとしたら…と考える「弁償算」の典型題です。
(1)を正解できていたら「これも知ってる」と正解できた受験生が大多数でしょう。
この大問は合格者と不合格者で大きな得点差がついています。
大問4
(1) 〇
下から6cmまでに円錐が浸かっている部分の体積を求めましょう。
あとは直方体の容器の底面積で割るだけですね。
計算量がやや多いものの、発想自体は平易な問題です。
(2) △
(1)からあと3cmぶんで円錐の体積のうち新たにどれだけが水に浸かったかを考えましょう。
考え方は難しくないものの、答えとして出てくる数字も汚くなってしまうので、正解できているという自信を持てなかった受験生が多かったことでしょう。
大問5
(1) 〇
「流水算と逆比」のよくある問題です。
「中央部分と岸に近い部分で流れの速さが異なる」という設定は珍しいですが「増水して流速が変わった」という問題と本質は全く同じです。
見たことがない設定だ…と敬遠してしまった受験生と、普通の流水算だなと判断できた受験生で大きな得点差がつきました。
(2) △
まずは状況を図で整理しましょう。
すると「上りの速さ」と「中央部分を下る速さ」が等しいことが分かり、「岸に近い部分を下る速さ」に注目すれば良いことが分かります。
着眼はやや高度ですが、数値の設定は易しいので落ち着いて取り組みたい問題でした。
大問6
(1) △
着眼点や思考力が問われる規則性の問題が世田谷学園の2025年第1回の算数の最後の大問として課されました。
(1)では20がどこに出てくる可能性があるのかを考えましょう。
5×2×2、10×2、20×1の3通りだと気づくことが出来れば正解は間近ですが、なかなか規則の利用の仕方に気づけない受験生も多かったことでしょう。
(2) △
(1)よりある整数とその右の数を①②と置くことは、すぐに気づくことが出来るでしょう。
下の数は①+(1,2,4,8,16…のいずれか)となることも分かります。
その和は④+(1,2,4,8,16…)=4002となり、4002が奇数や4の倍数ではないことを考えると()が2の時しか成立しません。
理屈を考えると難しい問題ですが意外と簡単に答えが見つかってしまうので、捨て問にするほどではありません。
総論
2025年第1回の世田谷学園の算数は合格者平均点が67.8点、受験者平均点が52.6点という結果になりました。
2.5倍という実質倍率を考えると合格ラインは60点でしょう。
世田谷学園の第1回の出題としては標準的と言える難度です。
ここからは合格ラインを上回るための得点戦略を考えていきましょう。
〇の箇所は全部で62点ぶんあり、ここから8割を正解することで約50点。
あと△から2問ほど正解出来れば、それだけで合格ラインに到達することが可能です。
△も努力を重ねてきた受験生にとっては、決して難しくはありません。
結局のところ典型題を取り切るだけで、算数においては合格ラインを大きく上回ることが可能です。
特に2025年第1回は捨て問が設置されなかったことによって、算数を絶対の武器とする受験生は、傾斜配点も相まって大幅なリードを取ることも出来たのではないでしょうか。
理系科目が得意な生徒を入学させたいという世田谷学園の方針に沿った出題だったと言えるでしょう。
2026年以降に世田谷学園合格を目指す受験生にとっても、出題傾向や難度、合格ラインを把握するにあたって参考になる年度になりました。
世田谷学園の算数は、典型題の習熟度で決まります。
まずは6年生の夏までは、塾のテキストに沿って典型題を網羅するような地道な学習に注力しましょう。
立体図形の切断や場合の数、規則性など多くの受験生が苦手とする分野も世田谷学園では頻出です。
難しい単元だから、と諦めることなく、知識として吸収できるよう努力しましょう。
秋以降は志望校対策です。
世田谷学園の算数の出題形式は一定しているので、過去問演習を重ねることで時間配分や取捨選択の戦略を確立することが出来るでしょう。
繰り返しになりますが、世田谷学園は受験勉強の努力が報われやすい学校です。
もちろん入学後も知的好奇心を刺激される機会が多く、理系男子を更なる成長に導いてくれることでしょう。
自律学習サカセルは、これまで多くの受験生の世田谷学園合格をサポートしてきました。
もし学習面でお困りのことがあれば、お気軽にご連絡ください。
骨太な学力を身につけられるよう、全力でお手伝いさせていただきます。
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