サカセルコラム

栄光学園中の算数分析(2018年) Column

過去問分析

栄光学園中の算数分析(2018年)

2018.03.06

神奈川御三家の筆頭の栄光学園。

 

自由な校風、広大なグラウンド、綺麗な校舎。

1学年180人の小規模校に関わらず、東大合格者ランキングではトップ10の常連。

大学受験にとらわれないアカデミックな授業。

伝統ある名門進学校として確固たる地位を築き、中学受験生からの人気も絶大です。

 

ただ入試問題も独特です。

全科目にわたって「未知なるものを多角的視点で考え、試行し、表現する力」が試されます。

正確かつ広範な知識量を見る聖光学院、浅野とは全く種類の違う入試だと言えるでしょう。

 

では算数に注目してみましょう。

試験時間は60分で70点満点、大問数は4~5題。

1問1問にじっくり取り組める余裕はありそうです。

出題内容は、科目の枠にとらわれない柔軟な視点を要する問題が中心で、いわゆる○○算のような典型題は、ほとんど課されません。

算数の枠にとらわれないと言っても、数学的な知識は必要としません。

純粋に受験生の思考力を測ることが可能な出題で、中学受験界でも非常に注目度は高いと言えるでしょう。

 

ただ、この柔軟な思考力と言いうものが、中学受験生を合格に導かなければならないプロ講師にとっては厄介なものなのです。

解いて、味わって、評論するだけなら楽しいんですが、この問題に対応できるよう指導するというのは、なかなか難しいもの。

(栄光の記事の完成が他校と比べて遅くなったのもここが理由です)

 

それでも合格に近づける方法はあります。

今回も2018年の出題を通し、どうすれば合格を勝ち取ることが出来たのか、考えてみましょう。

 

〇:栄光学園合格のため必ず正解したい問題

△:合否を分ける問題、部分点がある場合は確実に拾いたい

×:解けなくても合否に影響は与えない問題で、部分点も少し取れれば充分

 

大問1

(1) △

7辺を通るということは最短の5辺より2辺多いと言えます。

1度だけ左か上に遠回りをするという状況を、2辺目で右に行くか下に行くかで場合分けして考えましょう。

 

(2) △

(1)と同様に1度だけ回り道をする方法を、2辺目で場合分けして考えます。

今回は上にしか回り道が出来ないため、完答も充分に狙えます。

 

(3) ×

最短の5辺よりも4辺多いということは、2回遠回りを選択すると言い換えられます。

(1)(2)を参考に1辺目が右と左の場合で場合分けをしますが、答えのみが求められるこの問題を正解することは難しいでしょう。

 

大問2

(1) 〇

題意の確認問題です。

偶数個の連続数の真ん中は~.5になることは栄光学園受験生にとっては常識でしょう。

 

(2) 〇

差が最大になる時と最小になる時を考えましょう。

そこから1つ入れ替えると差がどうなるか、手作業で調べられれば、すぐに特徴に気づきます。

 

(3) △

栄光学園らしい説明を要する問題です。

この問題は比較的数学に近いのかもしれません。

最小の数を①としたとき、和は⑩+45の奇数となり、和が等しくなることはないと考えてみましょう。

 

(4) 〇

極端な場合を考えます。

91100より、110のほうが商は大きくなると考えてみましょう。

 

(5) △

(4)で求めた40/15から1つずつ数をずらして調べていくと良いでしょう。

分子と分母がそれぞれ5ずつ大きくなります。

 

(6) ×

111425より、連続数の和は25の倍数となります。

312の時は75817の時は1251322の時は1751827の時は225…となります。ただ1827以上の場合は作れません。

例えば11/1499/136となりますが、1822の和が10099を超えてしまいます。

これ以降、分子と分母の差は小さくなっていくので、はじめの3つが答えになります。

 

大問3

(1) 〇

珍しく中学受験における典型題が課されました。

当然3.14で計算する必要はありません。

 

(2) 〇 〇

こちらも普通の問題です。

正面から見た図で、底面積に注目して丁寧に処理しましょう。

 

(3) ×

題意を捉えにくい問題です。

Aのおもりのみを入れた時と、Bのおもりのみを入れたときの水位が等しくなる時を考えます。

この時、ABの底面積は異なるので、もとの水位はAよりも高いことに気づくでしょう。

 

大問4

(1)① 〇

2016年の麻布中の大問4と同じテーマの出題です。

目盛りを記入し、丁寧に作業しましょう。

(1)② ×

目盛りを記入して丁寧に作業しましょう。

時間内に完答するのは難しい問題です。

 

(2) ×

(1)②を利用しましょう。

ガラス板Cの真ん中の部分の面積も変わらない場合を調べれば良いと気づくことが出来ます。

前問が出来ていたら正解したい問題です。

 

 

このように見ていくと、今年も栄光学園らしい出題だったと言えそうです。

得点率に目を移しても、受験者平均点で36.0/70、合格者平均点は44.1/70と、易しかった前年に比べて本来の基準に戻っています。

 

合格ラインは6割弱の40と想定されます。

 

今年の出題では

大問1:(1)を正解し、(2)の部分点で、10/17

大問2:(1)(2)(4)とあと1問で、12/18

大問3:(1)(2)を正解し、12/17

大問4:(1)①を正解し、6/18

これで合格ラインに達することが可能でしょう。

 

たしかに栄光学園で求められる思考力や観察力を、普段の学習で磨いていくことは難しいと言わざるを得ません。

先天的な向き不向きも、どうしても存在します。

ただ、合格点を取ることが目標ならば、努力で充分に乗り越えることが可能です。

まずは普段のテスト演習を通して、各大問の基本を確実に拾える正確さと判断力を身につけましょう。

その上で過去問を通して栄光学園らしい着眼点を何度も経験することで、感覚は磨かれていきます。

 

そうして無事に合格を果たすことが出来れば、優秀な友人との交流の中で、ますます実力は磨かれていくことでしょう。

関連記事

三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

同じ筆者の記事を見る

人気の記事