-
受験者平均点 35.5点
-
合格者平均点 42.6点
-
想定合格点 36点
駒場東邦中学校の学校の特徴や算数の傾向分析、2018年の算数の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2021年の算数の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2021年の国語の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2020年の算数の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2019年の算数の出題分析はこちら
首都圏男子最難関校の一角の駒場東邦中。
面倒見の良さで知られる男子進学校で、2022年春の大学進学実績も全国屈指の見事な数字を残しました。
中学受験における実質倍率は2倍前後で一見すると高くはないですが、腕に覚えのある受験生しか挑戦しない激戦となっています。
自律学習サカセルの教室からは直線距離で僅か400メートル (まぁ実際は回り道をせざるをえないので10分ほど歩きます)の身近な学校なので、駒場東邦中を目指す受験生をサポートすることも少なくありません。
ここからは2022年の駒場東邦中の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
分数⇔小数の換算を心掛けても、かなり計算量の多い面倒な問題です。
ただ計算結果が年号にちなんだものになるので、正答を無事に導けた受験生は安心したことでしょう。
(2) △
桁数で場合分けをして、丁寧に6の和分解を進めましょう。
正しい方針が立てられたとしても抜けが生じやすく、なかなか正解は難しい問題でした。
これまでの学習の質を測ることの出来る良問なので、個人的には考え方も採点対象にしてあげたいところです。
(3) (a) ア 〇 イ × ウ × (b) △
3進法の問題ですが、丁寧な作業力が問われる難問です。
(a)アは⓪~③のそれぞれを使う/使わないの2通りで考えた後、全て使わない場合の1通りを除けば容易に正答を導けます。
ただイ・ウはおつりの金額で丁寧に場合分けをして調べていく必要があり、正解することは難しいでしょう。
(b)は3進数で2022に近い数を探し、そこから少々の足し引きで正答が見つかります。
(a)のイ・ウより易しく、当てられれば正解している確信を得られるので、勝負したい問題でした。
(4) (a) ア 〇 イ △ (b) ウ △ エ ×
ここ数年、桜蔭中や豊島岡女子学園中などの難関校で見られる図形の場合の数です。
(a)アは易しいものの、イ以降は回転した時に同じ形になるかどうか細かな注意力が問われます。
なお(a)イと(b)ウは真ん中を塗るか塗らないかだけの違いで同じ状況なので、ここで正解できると大きなリードを取ることが出来そうです。
(b)エは注意点が多すぎて正解は厳しいです。
捨て問と判断して良いでしょう。
大問2
(1) △
灘や栄光学園など思考力寄りの男子最難関校で散見される、図形の移動の範囲の問題です。
極端な例を考え、また対称性を利用することで正答に近づくことが出来るでしょう。
今回はBに注目したXYの移動とBCからADへの平行移動をヒントに、解答例のような図を導くことが可能です。
その後の計算は易しいでしょう。
(2) △
(1)よりも、やや易しい問題です。
線対称で次々に折り返して、元に戻しましょう。
面積も図3が全体の64分の1になっていることを利用すれば難しくはありません。
合格のためには勝負したい問題でした。
大問3
(1) △
6を踏むと6進んで元の場所に戻ってしまうので、最後に到達する整数は6だと分かります。
あとは「4進む=2戻る」「5進む=1戻る」などと言い換えて試行錯誤していきましょう。
易しい問題ではありませんが、こちらも答えが見つかれば正解を確信できるので頑張りたいところでした。
(2) ×
(1)より最後に到達する整数は7だと分かります。
ただ1~6の和が21で、これは7の倍数なので、どうしても1にもどってしまい条件を満たさないことが分かります。
(3) ×
最後に1の向かい側の8に到達することは分かりますが、その後の調べは非常に処理量が多くなってしまいます。
1つか2つ、該当するものを見つけられれば充分ですし、捨ててしまっても問題ありません。
大問4
(1) △
(3×3×3)÷(2×2×1)で最大6個のYを使うことが考えられますが、どのように組み合わせたら良いのかは高度な立体感覚が問われます。
「対称性」や「段に分けて考える」発想も駆使して、条件に合う形を見つけましょう。
(2) △
(1)で状況を把握することが出来たら、解答例のように「段に分けて考える」という発想で処理しましょう。
決して難しくはありません。
(3) △
(1)(2)の続きです。
(2)で分けられたそれぞれの立体の体積を丁寧に求めましょう。
(1)の図形を見つけられれば完答することも狙える大問でした。
総論
この記事の冒頭の平均点は誤植ではありません。
駒場東邦中発表の120点満点の受験者平均点、合格者平均点です。
この異常なまでに低い得点率にも表れているように、2022年度の駒場東邦中の算数は戦慄の高難度となりました。
試験中に顔面蒼白・戦意喪失・涙目になってしまった受験生も数多くいたことでしょう。
ただ出題内容に目を移すと、駒場東邦らしい構成であることは変わりません。
速さや和と差といった文章題は1問も出題されず、全て数と図形からの出題になっているのは、駒場東邦中の対策を積んできた受験生にとっては見慣れたものだったのではないでしょうか。
さて、この空前の高難度となった出題で合格ラインを超える得点の仕方を考えてみましょう。
4科目の合格最低点は215点で平均点は215.1点なので、平均点が合格点の目安になります。
今回の出題で確実に得点できそうなのは、
大問1(1)の計算、(3)(a)ア、(4)(a)アくらいでしょう。
上記の3問を確実に正解したうえで、△の問題をどのくらい拾えるかがポイントになりそうです。
この中では大問1(3)(b)や大問2(2)、大問3(1)あたりが得点しやすかったものと思われます。
また大問4で完答することが出来れば、それだけで合格ラインに乗せることも可能でした。
大問1や大問3の調べ上げを伴う場合の数は、今回に関しては捨ててしまったほうが合格の可能性を高められたということも出来そうです。
なお2022年の駒場東邦中の算数の合格者平均点と受験者平均点の差は7.1点と過去20年でも最小となりました。
難しすぎて得点差がつかない試験だったということも出来るでしょう。
2023年以降に駒場東邦中合格を目指す受験生の皆さんは、まずは頻出の「数」と「図形」の強化から進めて行きましょう。
2022年の出題はたしかに難しすぎる出題ではあったものの、大問1(2)や大問2、大問4などは学習効果の高い良問です。
是非とも対策を重ね、駒場東邦中合格を勝ち取りましょう!
応援しています。