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駒場東邦中の算数分析(2020年) Column

過去問分析

駒場東邦中の算数分析(2020年)

2020.03.20

受験者平均点 74.0点

合格者平均点 84.0点

想定合格点  80点

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面倒見の良さや、理数系への強さ、活気あふれる学校行事などの魅力で、首都圏男子中学受験生の憧れとして君臨する駒場東邦中。

2020年春の東大合格者は63名で、前年の61名とほぼ同水準の高い実績となりました。

中学受験においても、2020年は過去3年を上回る受験生を集め、男子最難関校らしい激戦となりました。

ここからは2020年の算数が、果たしてどのような出題となり、どうすれば合格点を取れたのかに注目していきましょう。

〇:合格のためには必ず正解したい

△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく

×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) 〇

処理量がやや多いだけの計算問題です。

0.375や2.25などの小数を分数に変換して、確実に正解しましょう。

(2) 〇

駒場東邦の図形の移動としては非常に易しい出題です。

点Pの動きを丁寧に追うと、中心角720°ぶんだけ移動したことが分かります。

特に対称性を利用する必要はありません。

(3) 〇

平面図形と比の基本問題です。

アルファベットのAの形の三角形の辺の比と面積の比のルールに沿って、確実に正解しましょう。

(4)① 〇  ② △

①はAB、CD、EF、GH、IJと2つのかたまりごとに順に計算して求めましょう。

②は(I,J)が(10,14)と決まりますが、(E,F)は(5,11)と(7,9)の2通りが考えられます。

両方のパターンを確認する手間があるので、まだ序盤の大問1ということもあり、後回しにしても良いでしょう。

大問2

(1) 〇

駒場東邦中で頻出の、書き出しを伴う数の性質と規則性の複合問題です。

①は題意の確認です。

1÷101=0.00990099…と「0099」の4個が周期になっていることを利用しましょう。

②も普通に計算しても良いですが、「40÷2020」 を「2÷101」と置き換え、計算結果が①の2倍になることに気づきたいところです。

同じような発想を「循環小数」として学習した受験生も多いことでしょう。

結果として、小数点以下は「0099」の2倍の「0198」を繰り返すことが分かります。

(2) △

駒場東邦中らしい(1)を利用した数の性質と気づきの問題です。

(1)より1÷101は「0099」を繰り返すので、小数第4位の「9」との積の1の位が3となる整数を考えると、最小は7となります。

あとは(1)の逆で、「7÷101」 ⇒ 「□÷2020」と考えると良いでしょう。

駒場東邦中への対策の多寡で差がつく良問です。

大問3

(1) 〇

題意の確認問題です。

曲線部分が直径40mの円周にあたるので、直線2箇所の距離が何mかを考えましょう。

(2) 〇

曲線部分が直径42mの円周にあたるので、差は2×3.14mぶんにあたります。

(3)を見越して、直線部分でスタートになることを確認しておきましょう。

また「コースの内側の線上を走る」という問題文の条件の読み落としに気を付けましょう。

(3) ×

たろうの秒速を1m/秒とし、じろうとさぶろうの200mにかかる時間を求めましょう。

外側のコースではスタート地点がどこになるか? その結果、それぞれの人物が直線・曲線を何m走ることになるのかを、丁寧に調べていきましょう。

模範解答のように、じろうは直線部分、さぶろうは曲線部分からスタートすることが分かります。

計算量、注意点が非常に多いので、後回しにしても良いでしょう。

大問4

(1) 〇

「平面図形と推理」という珍しいテーマです。

「4色の面積が同じ」 ⇒ 「一番上が面積の一番小さな青」と考える流れは、決して難しくはないでしょう。

(2) △

まずは模範解答のように、1箇所1箇所の長さを記入しましょう。

その後、左上は2辺どちらも14.4cm以上だから赤、左下は2辺どちらも9.6cm以上だから白、と論理的に絞り込んでいきましょう。

ここまでは正解しておきたいところです。

(3) ×

まずは青、黄のいずれも見えている面積が紙の面積より小さいので、一番上は赤か白と分かります。

もし赤が一番上だとすると、赤青黄の3色だけで24×24の576㎠よりも大きくなってしまうので、白が一番上だと分かります。

あとは一番上の白が覆えない4cmに注目しつつ、条件に合うものを調べていきましょう。

このように2020年度の出題も、例年通りの大問4題の構成となりました。

大問1の小問集合や大問2の「数の性質」は、まさに駒場東邦らしい出題と言えるでしょう。

大問4の「平面図性と推理」も駒場東邦の求める図形の間隔と思考力を求める良問です。

大問3は問題が読み取りにくい上に処理量も多いので、深追いしないことも戦略としては有効です。

合格の目安は、

大問1で24/30

大問2で18/30

大問3で18/30

大問4で18/30

で、約80点と想定されます。

2020年の駒場東邦中の算数も、充分な対策を積んできた受験生にとっては、比較的取り組みやすいものだったと言えるのではないでしょうか。

大問2か大問3のいずれかを完答出来れば、かなり有利になったことでしょう。

来年以降、駒場東邦中の合格を目指す受験生の皆さんは、引き続き「数」と「図形」に力を入れて学習を進めましょう。

本年度は出題されませんでしたが、例年「立体図形」も合否を分ける重要単元として出題されますよ。

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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