サカセルコラム

開成中の国語分析(2021年) Column

過去問分析

開成中の国語分析(2021年)

2021.11.23

開成中。

東京大学合格者数、40年連続トップの超難関校です。

通称「御三家中」の一角でもあります。

校則はありますが、自由な校風の学校です。

高校三年生の全員が運営にあたる運動会は特に有名ですね。

国語も算数も配点は変わらないですが、試験時間が算数の方が10分長く、「算数が得意であること」をスタートラインとして、国語で合否が決まることが多いです。

平成10年代前半までは、「国語が苦手だから開成を受験した」という生徒がいたくらいの難易度でしたが、それ以降は「抽象化」を軸とした記述校に変わりました。

また、「学校解答」を発表する(説明会の際に販売)点、約2年に1度、出題傾向を大きく変更してくる点が特色です。

◆各種データ

合格者平均 58.0点
受験者平均 49.1点
想定合格点 55点(85点満点中)

◆出題形式

試験時間50分 85点満点

◆大問2題構成

大問1 小説文 約5問
大問2 論説文 約5問

◆問題の種類(2021年度)

・記述 約60%
・選択肢 0%
・抜き出し 約10%
・漢字 約30%

という割合になっています。

記述問題を中心としており、記述は例年5問程度の出題です。

「長年にわたって出題傾向を変えない」難関校とは違い、頻繁に出題傾向が変わる学校です。

「やばい」を丁寧語にする問題、「あまぞん」をカタカナで答えさせる問題、中高一貫公立中のような「発言の意図」を問うものなど、ユニークな出題が数多くあります。

2021年度は、選択肢は無し。

記述の「練度」で勝負が決まったと言えるのではないかと思います。

ここからは2021年度の開成中の出題を通して、どのような戦術で取り組んでいけばよいかを検討していきたいと思います。

今回使用する指標

○…合格には確実に取れてほしい問題
△…合格の勝負所・差がつく問題
×…落としても合否には大きく影響しない問題

解答例はこちら

大問1 小説文 最上一平「糸」

問1慣用表現「生返事」を答える問題 ○

絶対に正解したい問題です。

問2理由(気持ち)の記述 ○

傍線部②「きのうまで履いていた物なのに、もう何年もどこかでほこりにまみれていた、きたない物に見えた」

理由を答える問題です。

傍線部②から、不安などの「気持ちを表す表現」がないので、「背景→きっかけ→気持ち」の形で書くのが良さそうです。

きっかけ:【貧相なズックを見た】

気持ち:(きたない物に見えた)→【嫌悪感を覚えた】としました。

「きっかけの前に何が起こったのか」を表す「背景」を検討します。

背景
1行目:「今度の遠足~初めて汽車に乗れるのでうれしかった」

から、【楽しみにしている遠足

3行目:「前々から遠足にはいて行くズックをくれるように頼んでおいた」

から、【新しいズックを履いていくつもりだった】としました。

ここまでのパーツの組み合わせでも完成はしますが、

「背景」はプラスイメージ(新しいズックを買ってもらうという理想)、「きっかけ」はマイナスイメージ(貧相なズックを履いて遠足に行かなくてはならなさそうという現実)となっていたので、「きっかけ」と「気持ち」をスムーズに繋げる「意味付け」のパーツに、【理想と現実の差が強く感じられ】と入れました。

言葉の抽象度、各パーツの選定も含め、開成中の中では「比較的取り組みやすい問題」だったのではないかと感じます。

問3心情変化の記述 △

「傍線部③A『ちょっとカッコ悪いなァ』と言って、笑ってみせた」

から

「傍線部③B言わなければよかった」

までの拓也の心情の変化を、「後悔した」に繋がるように記述する問題です。

設問に「心情の変化」とあるので、

変化前【背景→きっかけ→気持ち】
きっかけ
変化後【意味付け→気持ち】

の形で記述を検討するのが良いでしょう。

今回、「後悔した」という言葉が指定されているので、「変化後」の【気持ち】については考える必要がありません。

残りのパーツを検討する必要があります。

「変化前」の【きっかけ】:傍線部③A「ちょっとカッコ悪いなァ」の数行前の「ズックは洗ってあって、穴の空いた片方のズックが、白い糸でぬってあった。」になります。

私は抽象化して【母親に古いズックに手をかけてもらって】としました。

「手をかけて」には色々な意味がありますが、「手間暇をかけて」の意味で使っています。

「変化前」の【背景】:【新しいズックを買ってもらうかわりに】として、「手をかけて」にスムーズに繋がるようにすると良さそうです。

「変化前」の【気持ち】:「完全な満足ではないが、手をかけてもらって嬉しい」と判断し、抽象化して【一定の嬉しさを覚えた】にしました。

「変化前」の【背景→きっかけ→気持ち】を並べると、【新しいズックのかわりに、】→【母親に古いズックに手をかけてもらって、】→【一定の嬉しさを覚えた】としています。

全体のきっかけ:は傍線部③A『ちょっとカッコ悪いなァ』と言って、笑ってみせた」から、【冗談めかした一言で】としました。これは【照れ隠しで出た言葉で】などの表現でも良いでしょう。

変化後は傍線部③Bの直前の「なんもカッコ悪いことがあるもんか」「母親の言葉の終わりがかすかに震えて~」から判断しましょう。

「変化後」の【意味付け】:自分(母親)が手をかけたズックに対して、息子に「カッコ悪い」と言われているわけなので、【母親は責められたように感じている

「母親の言葉の終わりがかすかに震えて」とあるので【結果的に自分が傷つけてしまった】と判断し、「後悔する」の前の「変化後」の【意味付け】の箇所に、その2つの要素を入れ込めば完成です。

変化後のパーツの判断が少々難しいですが、「どのパターンで書くか」の判断がついている子からすると、「パーツの当てはめ問題」と化すと思います。

自分の「センス」のみで取り組んでいる子は、要素点を稼ぐのが難しそうな気がします。

問4抜き出し ○

「傍線部④の拓也の気の重さがわかる、ひと続きの二文」を、「これより前」から答える問題です。

「気の重さ」から「拓也の気持ちの表現」について語っている箇所を拾う問題です。

間違っても「汗だく」「足がガクガクしていまにもつぶれそう」などの行動に近いところでひっかからないようにしましょう!

問5理由(気持ち)の記述 △~×

傍線部5「今まで何度も見てきた顔なのに、ひとつひとつが、拓也の知っていた和子とはちがっているように思えた」

と拓也が感じた理由を答える問題です。

傍線部⑤に「心情語」がないので、「背景→きっかけ→気持ち」で考えれば良いでしょう。

きっかけ:数行前に「前を和子が歩いていく。〜悪口を言われたほうが、〜気がかるくなるかしれやしない」とあるので、【文句も悪態もつかずに黙って歩いていた和子】となります。

この「きっかけ」を拾ったうえで、和子とはちがっているように思えた理由を検討します。

ヒントになるのは「今まで何度も見てきた顔」から「いつもの和子の様子」を考え、【いつもは、はなやいだ様子】であることを押さえます。

「はなやいだ様子でなく、文句も悪態もつかずに歩く様子」から、【大人びている和子】と判断できるかどうか。

ここが勝負の分かれ目になるでしょう。

傍線部⑤の主語は拓也なので、【ねたましさから和子のザックを流したのに】という背景を読み取って組み合わせれば、正解に辿り着けると思います。

まぁまぁ難しいですが、方法論が固まって読めていれば、△までは取れるのではないでしょうか。

大問2 論説文 山田玲司「非属の才能」

問1 漢字 ○

平易な内容となっているので、トメ・ハネなどを意識して、丁寧に書きましょう。

問2 言い換えの記述 △~×

傍線部①「定置網にはまり、そのなかでうさぎ跳びをしながら、出る杭に嫉妬している」

とはどういうことかを「わかりやすく」答える問題です。

「わかりやすく」とは具体的に書く、ということ。

傍線部①の比喩の内容を具体的に言い換える問題です。

傍線部①を含む一文を見ると、

「しかし、タイハンの人は、『ただなんとなく有名だから』といった漠然とした理由で~」

とあります。これは、この前の文の「具体例」を受けて書いている内容となっています。

設問だけでなく、本文の段落の中の文の内容もヒントとなっているのは、学校側からの温情と言えるかもしれませんね。

「『ただなんとなく有名だから』といった漠然とした理由で」に続く内容なので、

「定置網にはまり」=【好待遇や新しい人脈が望めない職に就き、】

「そのなかでうさぎ跳びをしながら」=【自ら頭を使わず、周りに流され意味のない努力をして、】

「出る杭に嫉妬している」=【出世や転職で成功を収める人(に嫉妬しているということ。)】

としました。

開成は「抽象化」がテーマとなる学校ですが、文脈を追ったり、設問を良く読んで、「何を答えるべきかを判定しなければならない」と言えると思います。

同じ段落の「抽象」である「本質的なことを考えずに~」の文を安易に使うことのないようにしましょう。

設問の意味や、傍線部①がなぜそこにあるのかが思いつかず、誤読してしまう可能性もありそうです。

問3 理由の記述 ○

どうして「かつて大量に魚が捕れた漁場」に向かってしまうのか、理由を答える問題です。

最後から3つの段落の中から、記述の条件を満たす要素を拾う問題です。

時代が移り変わっていることに無自覚】【思考停止が習慣となること】は拾いやすいですが、

「パチンコに行って少しの時間で大儲けした人は、その後、その何十、何百倍もの時間と財産をつぎ込んでしまう」
「自分が銀行員になって、それなりに安定した幸せな人生を過ごせた~『なにがなんでも銀行員になれ』と子供に指図する」

の2つを、共通点から抽象化するのは難しいと思います。

私は【かつての成功体験にあやかる】としました。

あとは、時系列順にして、

【思考停止が習慣】→【時代が移り変わっていることに無自覚】→【かつての成功体験にあやかる】

と並べて完成です。

開成の対策を行っていれば、部分点以上は狙えそうですね。

◆まとめ

記述中心で、決められたスペースや文字数に内容を収めるために「抽象化」をするのがカギになります。

ただ、「論説文を、具体抽象を読み分けて読む」「小説文は、登場人物の気持ちの変化に注目してから読む」というのをおろそかにする、「設問の内容をよく読まずに解く」などは愚策でしょう。

学校解答がきちんと用意されている学校なので、そこを下地にして解くと「学校側の空気を読んだ状態」になると思います。

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増田 雄介

この記事を書いたのは...

増田 雄介

圧倒的な指導力、学校別の専門性の高さ、そして面倒見の良さを持つ自律学習サカセルの国語・社会の看板講師。

その驚異的な指導力を武器に、大手集団塾の開成中コースの国語担当や有名個別指導塾のリピート率1位の凄腕講師として活躍。
成績が本当に伸びる実戦的な指導に目を付けた自律学習サカセルからのスカウトを受け、満を持して文系科目の講師として指導開始。

個別指導の業界では指導力No. 1の呼び声も高く、逆転、順当のどちらの合格にも強く、生徒のレベルに関係なく指導できる幅広さを持っている。

生徒だけでなく、自分の子供の成長を見守るのが楽しみな一児の父でもある。
趣味はぽっちゃりの自分でも着られるファッションの構築。

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