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渋谷教育学園幕張中の算数分析(2018年 1次) Column

過去問分析

渋谷教育学園幕張中の算数分析(2018年 1次)

2018.01.24

2018122日に渋谷教育学園幕張中、いわゆる渋幕の入学試験が行われました。

 

見事合格を果たした皆様、おめでとうございます。

悔しい結果になった皆さんも、22日に第2回の試験がありますし、また21日以降の東京・神奈川の中学校が第1志望であるケースも多いでしょう。

まだまだ中学受験は続きます、是非とも完走しましょうね。

 

さてさて渋幕といえば、番狂わせの多い、いわゆる「講師泣かせ」の学校です。

僕自身も「渋幕× 開成〇」「渋幕× 桜蔭〇」という生徒を数多く見てきました。

 

この合否が読めない原因としては

1 算数:途中経過を重視する難問なのに答えのみが採点対象

2 理科:受験勉強を超越した思考問題、算数的要素の強い問題が多い

3 社会:社会常識や意見論述など、受験勉強の枠にとらわれない出題

4 国語:文章内容が高度で語彙力も必要、出題難度自身も高い

が挙げられます。

トップクラスの受験者層にもかかわらず、平均点も非常に低く合格ラインが5割前後という厳しい試験は、受験勉強の努力量と同じくらい、渋幕の求める生徒像に合致しているか(=相性)を計るものなのかもしれません。

 

 

さて2018年の第1回の算数の出題に移ります。

算数に関しては例年よりも若干マイルドになったかな、という印象です。

合格者平均点が59.2点 受験者平均点が48.9というのは、昨年の第1回と比べると、いずれも5点以上の上昇、小問であと1個とれたかな、という試験ですね。

(ちなみに2015年の第1回の平均点は34.4、算数の手ごたえを得られた受験生は皆無だったことでしょう)

渋谷教育学園幕張中学校の学校の特徴や傾向分析、2019年第1回の分析はこちら

 

ここからは各問題を見ていきます。

〇:合格するためには確実に正解したいもの

△:合否の分かれ目になるもの

×:出来なくても合否には影響しないもの

として、どうすれば合格ラインに届くのかを考えてみましょう。

 

大問1

() 〇

題意の確認問題です。

どう組み合わせても、オマケで3個以上もらうことは出来ないことを確認しましょう。

 

() 〇

12個買ってシールが12枚。

12÷62セット=4個 →4

この4枚で、あと1個もらえることに注意しましょう。

渋幕の合格を目指すならば、確実に正解したい問題です。

 

() △

〇を買うもの、×をもらえるものとして、

〇××・・・

〇××・・・

〇〇〇・・・

〇〇〇・・・

〇〇〇・・・

〇〇〇・・・

と考え、66個買って96個もらえるところまでは、多くの受験生がたどり着けることでしょう。

この後の丁寧な作業と確認は差がつきやすい部分です。

 

大問2

() 〇

A26点なので、B27点以上にする場合を考えます。

最大でも1.4.5の順列の6通りを調べるだけなので、難しい問題では無いでしょう。

 

() △

X×1Y×2Z×429になる不定方程式の典型題です。

ただXYZ16の範囲で、同じ数を使ってはいけないという細かな条件を見落としがちで、ミスをしやすい問題と言えそうです。

 

大問3

(1) 〇

グラフの1500m1000mが、A君とCさんのちょうど半周を意味することを理解しましょう。

渋幕志望者ならば確実に正解する必要がある問題です。

 

(2)① ×

手を動かすことでBが1周するまでに2回で会うという状況を把握しましょう。

題意よりA8000mB7000mの、合わせて15000m進む時が求める状況になりますが、正しく把握できなかった受験生も多いことでしょう。

正解できなかったとしても不利にはなりません。

 

(2)② ×

①が出来たなら、ダイヤグラムの続きを書いて把握することが可能です。

ただ①が難しいので正解できた受験生は少なかったものと思われます。

 

大問4

(1)① 〇

(1)② △

平行線の相似を利用した典型題です。

様々な解法を選択できる学習効果も高い問題ですね。

EGHを、どの図形と関連付けるかによって難度が変わりますが、渋幕合格を目指すなら①はもちろん、②まで正解しておきたいところです。

 

(2) △

同じ図形を3つ組み合わせて、大きな正三角形を作ります。

真ん中出来る小さな正三角形を利用しましょう。

類題を見たことがあるかどうかで正答率の変わる知識問題です。

もし知らなかった場合は考え込まず、次の問題に進むことが大切でした。

 

大問5

(1) 〇

直方体から三角錐台を引くだけの基本問題です。

数値が多少汚くなりますが、確実に正解する必要があります。

 

(2) ×

1:1:2の特殊な三角錐を利用することは思いついても、その先の見通しが立ちにくい難問です。

四角形PQSRを底面とする四角錐D-PQRSの高さを求める、という方針が現実的でしょうか。

非常に難度が高く、正解できた受験生は非常に少ないものと思われます。

もちろん合否には全く影響しません。

 

さて、ここまでを見ていくと、小問の数は合計で13個。

〇△×の内訳は、

〇が6

△が4

×が3個というところです。

 

〇の箇所が全て出来たら6/13=46.1%

〇に加えて△が2つ出来たら8/13=61.5%

と、ほぼ受験者平均点と合格者平均点になりました。

 

これから受験を目指す皆さんは、問題の難易度を適切に見抜く判断力も養っていきましょうね。

もちろん受験の真っ最中の皆さんは引き続き頑張りましょう!

合否にかかわらず、受けた試験の直しおよび振り返りをすることは、点数にもつながっていきますよ。

 

応援しています!

 

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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