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鷗友学園女子中の算数分析(2024年第1回) Column

過去問分析

鷗友学園女子中の算数分析(2024年第1回)

2024.04.02

受験者平均点 65.5点
合格者平均点 53.5点
想定合格点  60 点

世田谷区の閑静な住宅街に位置する鷗友学園女子中学校。
生徒達は穏やかで挨拶も心地良く、非常に雰囲気の良い女子校です。
3日に1度の席替え、毎年のクラス替えで「学年みんなが友達!」という生徒の団結力も魅力で、女子校らしからぬ熱気あふれる運動会も納得ですね。

2024年春の進学実績としては、東大合格者数13名が光ります。
女子校では桜蔭・女子学院・豊島岡女子学園・洗足学園に次いで5位。
医学部への合格実績も高く、先生方の高い指導力の証明と言えるでしょう。

もちろん中学受験においても難関校の一角です。
入試問題も個性的で、4科目全てで記述力が重視されることが特徴です。
またバランスよく学習して欲しいという意識の表れとして、4科目100点ずつの均等配点となっています。
多くの私立中学校が算国重視の傾斜配点を課している中学受験界において珍しいと言えるでしょう。

合格ラインは280点前後/400点になることが多いです。
記述が中心で難度も高い出題にしては、かなり高めの数字となっています。
ここからも受験生のレベルの高さが伺えますね。

さて、ここからは2024年の鷗友学園女子中の第1回の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを見ていきましょう。

〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) 〇

標準的な計算問題です。
2.75や5.25を分数に換算して、短時間で確実に正解する必要があります。

(2) 〇

標準的な逆算です。
(1)と同様に1.875を分数に換算して、時間をかけずに正確に処理しましょう。
見直しの際には▢に数値を代入することで、正解しているという確証を得られます。

大問2

(1) 〇

標準的な難度の相当算です。
今回は、やりとりの前後で「和が一定」なので、丸数字と▢数字を、1つの記号で統一することが出来ますね。
決して易しい問題ではないですが、鷗友学園女子中では比の文章題は最頻出テーマなので充分に練習を積んできた受験生にとっては取り組みやすかったことでしょう。

(2) 〇

(1)の続きです。
丸・三角・四角、逆三角…と使っていくと記号のバリエーションが尽きてきて大変ですが、発想自体は難しくはありません。
今計算しているのがどの記号なのかを常に意識しながら、丁寧に処理しましょう。

大問3 △

「折り返しと角度」という頻出テーマですが、折り返した後の図が描かれていない点が目新しく感じられた受験生も多かったことでしょう。

まずは「だいたいこのくらい」という図を自分で描き、条件や数値を記入することで状況を正確に把握しましょう。

「折り返す前と後が同じ形」「二等辺三角形」など、利用する解法ツールは平易です。

大問4

(2) 〇

6個で1段の規則性の問題ですが、1段で1つずつ各段のスタートとゴールがズレていることが取り組みにくさの要因になっているかもしれません。
解答例のように各段の最初の数と最後の数字に注目すると、結局6段で周期になっていることに気が付くでしょう。
あとは100段目がどこから始まってどこで終わるのかを確認すれば良いだけです。
易しくはないものの、鷗友学園女子中への合格を目指すならば正解しておきたい問題です。

(2) △

(1)と同じように考えると、まずは2024が何段目にあるのかが分かります。
その次に338段目はどこから数字が始まるパターンなのかを確認しましょう。
注意すべき点が多く、答えもズレやすいので正解を出し切れない受験生も少なくなかったことでしょう。
ただ方針を立てるだけなら決して難しくはないので、多くの受験生が部分点を拾うことが出来たのではないでしょうか。
鷗友学園女子中を目指すなら「面倒だから後回し」としないことは当然です。

大問5 〇

立体図形の回転体です。
まずは直線lを対象の軸とした線対称な図形を描き、それから見取り図に落とし込みましょう。
その後は様々な解答方針がありそうですが、解答例では
・下は円すい台
・上は円柱-円すい
と考えました。
図にきちんと数値を記入し、式を立て、×3.14でまとめるという、いつもの手順を踏みましょう。
やや面倒ではありますが、こちらも確実に正解したい問題です。
もし計算が煩雑になって答えが出せなかったとしても、部分点は取りやすいので後回しにするわけにはいきません。

大問6

(1) 〇

当然ながら今年も出ます、鷗友学園女子の算数の名物とも言える「具体的な長さの与えられていない平面図形と比・相似」です。
AH:HK:KCは「2種類の相似を用いて」「比あわせ」という典型手法で求まります。
特に補助線は必要ではないですし、鷗友学園女子合格を目指す受験生なら、お手のものでしょう。

(2) △

やや処理量は多いものの、方針も立てやすく取り組みやすい問題です。
解答例では(1)と同様の着眼点でAI:IJ:JGを求め、△AJKから△AIHを除くという方針を選択しました。
答えの数字がやや汚くなりますが、この程度の分数なら鷗友学園女子中の過去問演習で慣れていることでしょう。
(1)を(2)につながる誘導だと捉えて上手く利用しようという意識も、持ち合わせておきたいところですね。 

大問7

(1) △

2024年第1回の鷗友学園女子の最終問題は、頻出テーマの速さとグラフになりました。
まずは問題文で与えられている条件をグラフに書き込んでいきましょう。
全く労せずに学さんの家から、A駅・友子さんの家・C駅までの距離を整理することができます。
距離と時間が具体的に与えられているので、電車の分速も容易に求めることが出来ますね。
電車の分速が求まれば、A駅からB駅の距離もすぐに求められることでしょう。
正解に至るまでの作業量は少し多いものの、順番に丁寧に求めていけば特別な発想も必要なく正解に至ることのできる問題です。
最後の大問とはいえ、丁寧に取り組んで正解しておきたいところです。

(2) △

(1)の続きです。
7時52分に友子さんが何m地点にいるかを求めたら、普通の追い越しの旅人算として処理することが可能です。
ダイヤグラムと比、相似などを使わなくて良いので、鷗友学園女子の最後の問題としては易しめです。

総論

このような出題となった2024年第1回の鷗友学園女子中の算数の出題は、
受験者平均点が53.5点、合格者平均点が65.5点と、例年と比べてやや低めの水準となりました。
特別に難しい問題は無かったものの、大問3から大問7まで「やや難しい」「やや面倒」な問題が並んだことが、多くの受験生にとって点数を伸ばしにくい要因となったと言えそうです。

合格ラインは60点でしょう。
易しめの大問1、大問2、大問6(1)が正解できれば、まず37点。
残り63点のうちの1/3で得点できれば、ほぼ60点に届きます。
配点が大きく、そこまで難しすぎない大問3、大問4、大問7あたりで完答できれば、合格をグッと引き寄せることが出来たと言えそうです。

2024年の第1回の出題は例年と比べると、
・比の問題は若干ながら少なめ
・処理量の多い問題が目立った

ということが特徴として挙げられるでしょう。

2025年以降に鷗友学園女子中への合格を目指す受験生の皆さんは、まずは通っている塾のカリキュラムに沿って、基礎学力の養成を図りましょう。
決して奇をてらわない鷗友学園女子の算数は受験算数の王道です。

充分な基礎学力を身につけた上で、
「比の文章題や速さ、平面図形など様々な場面において比を使いこなす力」と、
「論理的に説明する力」を磨き上げることが出来れば、対策としては完成です。

過去問との類似性も高いです。
第1回と第2回の問題を何年分も遡ることで、鷗友学園女子での頻出テーマを感覚として捉えられるようになり、最善の対策を講じることが出来るようになるでしょう。
配点や採点基準など学校からも情報公開も多く、対策が非常に活きる学校の代表例とも言えるでしょう。

鷗友学園女子中への合格を目指すなら、是非とも自律学習サカセルにご相談ください。
人間性も学力も豊かに醸成してくれる鷗友学園女子中への最短ルートを示します。

鷗友学園女子中の2022年の算数の分析はこちら


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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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