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渋谷教育学園幕張中の算数分析(2024年 1次) Column

過去問分析

渋谷教育学園幕張中の算数分析(2024年 1次)

2024.05.16

受験者平均点 37.7点
合格者平均点 54.9点
想定合格点 50点

日本を代表する共学の進学校としての地位を固めつつある渋谷教育学園幕張高校。
姉妹校の渋谷教育学園渋谷高校とともに「渋谷系」として、この20年の大学受験界で目覚ましい躍進を遂げています。

もちろん進学実績だけではなく「自調自考」の校訓のもと、自主性を大きく育む教育方針も魅力で、お膝元の千葉のみならず首都圏一円から生徒達は活き活きと通学しています。

中学受験では最難関校の一角として知られています。
塾でのテキスト学習だけでは太刀打ちできない「その場で考える力」を各科目で問われ、都内のトップ校を志望する2000人規模の生徒の前哨戦としても、大激戦が繰り広げられています。

ここからは2024年の渋谷教育学園幕張中の一次の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。

今回使用する指標

〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、捨て問と判断して問題ない

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) △

今年度の渋谷幕張中の算数の最初の問題ですが、意味を捉えにくく出鼻をくじかれた受験生も少なくなかったのではないでしょうか。

10=2×5より、結局Aは必ず5で、Bは2,4,6,8の4枚から3枚を選ぶだけの問題だと分かります。

(2) △

(1)の発想を利用すると「5と偶数」が鍵になることが分かります。
Aに5を入れた場合は「Bに偶数だけを何枚か入れた」と考えましょう。
Bに5を入れた場合も同様です。
偶数の枚数が1枚のときから4枚のときまでを場合分けをするだけなので、作業量は多くはありません。

(3) △

AとBの差が常に6以上になるように、解答例では「1と7以上」「2と8以上」「3と9」で場合分けをして考えました。
題意を捉えにくい上に抜けや漏れが生じやすいので、正解できた受験生は少なかったのではないでしょうか。
部分点がない渋谷幕張中の算数の特徴を鑑み、後回しにするという戦略も有効だったかもしれません。

大問2

(1) ① △  ② △

大問1に続いて、問題文が長く意味を捉えにくい出題です。
まずは意味の確認として、いくつか長方形を描いて題意を把握しましょう。
結局「素数×素数」で出てくる積を小さい順に書き出していくだけの問題だと分かります。
難しい問題ではありませんが、抜けや数え間違えが生じやすいので、慎重に丁寧に取り組みましょう。

(2) △

(1)と同じ発想を直方体で用います。
「素数×素数×素数」の計算結果を小さい順に並べていくだけですね。
丁寧な作業力と注意力が問われますが、決して難問ではありません。
方針が立てられたならば是非とも勝負したい問題でした。

大問3

(1) △

ここ数年「あまり見慣れないグラフの読み取り」が渋谷幕張中の一次の算数の大問3で課されていて、2024年の一次でも出題されました。

この問題のテーマは「底面積と深さの逆比」です。

アはAの高さで③cm、イはBの高さで①cmになることに注目し、かかった時間の比(=体積の比)から底面積の比を求めましょう。
比への習熟度を問う良問ですが、渋谷幕張中合格を目指す受験生にとっては易しめでしょう。
ここまで手ごたえを感じられていなかった受験生にとって、よくやく「出来た!」と思える問題になったのではないでしょうか。

(2) ア △  イ △

(1)で求めた底面積を利用し、30cmが何にあたるのかを捉えましょう。
計算量も多くはないので、是非とも完答したい問題です。

大問

(1) ×

渋谷幕張中の算数では例年、大問4で発想系の平面図形の問題が課されます。
2024年の一次では(1)が難しく、(2)(3)の方針は立つのに取り組めないという出題になりました。
この問題は「弧の長さが等しい」⇒「弦の長さが等しい」を利用して、二等辺三角形の相似に気づけるかが鍵の難問です。

数学で学ぶ「円周角の定理」を利用しても良いですが、それは算数としては面白くないですし、特に楽にもなりません。

「よく分からないけど相似っぽい」として正答を導くことが出来てしまった受験生もいたことでしょう。
なお渋谷幕張中の平面図形は、この問題のようにカンでも答えが当たってしまう場面が少なくありません。
試験本番でどうしても発想できなかったら、見た目(と経験)で当てに行っても良いでしょう。

(2) ×

(1)が出来れば難しくはありません。
辺CEを2種類の相似に注目して2通りの比で分け、その後に揃える「比あわせ」と呼ばれる手法を用います。

(3) ×

方針を立てるだけなら難しくありません。
解答例では△ACHから△AFGと△JCIを除いて五角形FGHIJを求めました。
数字は煩雑になってしまいますが、(2)で7や11が出てきているので仕方がないでしょう。
「(2)で求めた数値を使う」という誘導にも乗りましょう。

大問4は(1)が難しかったものの「見えた!」もしくは「当たった!」生徒は完答することも出来たはず。
多くの受験生が得点を諦めた中、ここで得点が取れていたら、合格の可能性を大きく引き寄せられた
と言えるでしょう。

大問

(1) △

見慣れた立方体の展開図や見取り図に、見慣れない不思議な折り目や実線が引かれています。
普段の図形とどこが違うのかを考えましょう。

図2を見て「立方体に何かくっついてる!?」ように見えないこともないですが、視点を変えると「三角錐を切り落としたうえ、更に三角錐のぶんだけ凹んでいる」ということが分かります。

合格のためにはなんとか正解しておきたい問題です。

(2) △

(2)だけが単独で課されたら「なんのこっちゃ?」となってしまいそうな問題ですが、(1)からの誘導に気づいて利用しましょう。
今回は「(お)(か)(き)(く)を側面とする四角錐が凹むか出っ張るか」の違いだと捉えることが出来ます。
四角錐の高さがどうなるのか少し難しいものの、渋谷幕張中の算数ではお得意の「カン」でも当たります。

(3) ×

(1)(2)からの誘導で「たぶん出っ張るか凹むかを考えるんだろうなぁ…」と推測しましょう。
今回は側面が4つあるので断頭三角柱を2つくっつけた形」と考えられると良いでしょう。
この問題は正しく図形が捉えられなくても「たぶん12.18.18と12.12.18だろう」と考えるだけで答えが出せてしまうので、難度の割に正答率はそこまで低くないかもしれません。

なお、この「出っ張る・凹む」は近年の灘中の1日目でも出題され、首都圏ではかつて巣鴨中でも出題されたことがありました。
ただ、あまり受験では出題されない難しいテーマで、類題を経験したことのある受験生は少なかったことでしょう。
その場での発想力が問われました。

総論

2024年一次の渋谷教育学園幕張中の算数は、このような出題となりました。
学校発表の受験者平均点は37.7点、合格者平均点は54.9点とかなり低めの水準です。
一方で合格者平均点と受験者平均点の差は17.2点となり、例年だと12点前後になることが多い一次の算数としてはかなり大きな得点差となりました。

「低めの平均点」と「大きな得点差」の要因は、

「誰にでも解けるようなサービス問題が皆無だった」
「極端な難問がなく1問1問で学力差が如実に反映される」

ことが挙げられます。

2024年の渋谷幕張中の一次は算数で決まったと言えるのではないでしょうか。

この出題における合格ラインは半分の50点で充分です。
大問3がやや易しいので完答し「作業力の大問1・2」か「発想力の大問4・5」のいずれか得意な分野で得点を拾い集めるような戦略が効果的でしょう。

本来は知識・作業系の問題で勝負するのが受験算数の基本的な勝ち方ですが、渋谷幕張中の算数では「答えのみ」が求められ、調べ上げの問題とは相性が悪いことが悩みの種。
今回の試験においても大問1や大問2で「方針は合っていたけど1つ抜けた!」という受験生も少なくなかったことでしょう。
ただ大問4に全く歯が立たなかったから勝負するしかないですし、判断力や精神力も問われる厳しい試験になったと言わざるを得ません。

なお大問4でも言及したように渋谷幕張中の算数では数字が「当たってしまう」ことも少なくありません。
2024年の一次でも大問4だけではなく大問5でも「たぶんこうなる」で完答してしまった受験生も少なからずいたのではないでしょうか。

渋谷幕張中の算数はこのような不確実要素が非常に大きく、合否も左右してしまうのが難しいところです。

2025年以降に渋谷幕張中合格を目指す受験生の皆さんは、まず基礎学力の養成に力を入れることは当然です。
通っている塾の出来る限り上位のコースに所属し、課される学習内容を徹底的に反復し、受験レベルの解法知識を定着させましょう。
渋谷幕張中の算数では「答えのみ」「1問当たりの配点も大きい」という特徴もあるので、ミスも最小限に防げるよう日々の学習から気を付ける必要があります。
日々の計算や小テストの段階から「正しい答えを出し切る」意識を養いましょう。

ただ渋谷幕張中への合格を目指すならば、テキスト掲載レベルの知識の定着だけでは不十分です。
「思考力」や「発想力」を身につけるため、渋谷幕張中の過去問はもちろん、男子難関校を中心に他の学校の過去問に取り組むことも有効でしょう。
「見たことない」っぽい問題を何問も経験していく中で柔軟な発想の仕方、着眼の仕方を磨いておきましょう。

最後に大きな要素は「カン」です。
発想が思いつかず、答えが出せない時に「たぶんこうなるだろう!」というカンを働かせられるかどうかも渋谷幕張中の算数においては重要です。
例えば平面図形において、手も足も出ない時には、今までの経験(と見た目)から、「たぶん3:4:5」「たぶん5:12:13」「たぶん相似」「たぶん合同」「たぶん同じ長さ」…など決めつけて解いてしまっても構いません。
当たれば儲けもの、くらいのつもりで取り組んでみましょう。

最後の最後、自分ではどうしようもない要素として「運」も合否に大きく影響すると言わざるを得ません。
他科目でも、扱われるテーマなどで「運」の要素が強い出題がされるので、万全な対策をしても「絶対に合格できる!」と言い切ることは出来ません。

結局、渋谷幕張中に合格するには「盤石な基礎学力」「柔軟な思考力」は必須で、並大抵の努力では勝負になりません。
ただ、それだけ頑張ることが出来る皆さんなら、運も味方にすることが出来るはず!

自律学習サカセルは共学トップ校を目指す皆さんを応援しています。
渋谷幕張中への対策に疑問があれば、是非ともお気軽にお声がけください

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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