2018年1月22日に渋谷教育学園幕張中、いわゆる渋幕の入学試験が行われました。
見事合格を果たした皆様、おめでとうございます。
悔しい結果になった皆さんも、2月2日に第2回の試験がありますし、また2月1日以降の東京・神奈川の中学校が第1志望であるケースも多いでしょう。
まだまだ中学受験は続きます、是非とも完走しましょうね。
さてさて渋幕といえば、番狂わせの多い、いわゆる「講師泣かせ」の学校です。
僕自身も「渋幕× 開成〇」「渋幕× 桜蔭〇」という生徒を数多く見てきました。
この合否が読めない原因としては
1 算数:途中経過を重視する難問なのに答えのみが採点対象
2 理科:受験勉強を超越した思考問題、算数的要素の強い問題が多い
3 社会:社会常識や意見論述など、受験勉強の枠にとらわれない出題
4 国語:文章内容が高度で語彙力も必要、出題難度自身も高い
が挙げられます。
トップクラスの受験者層にもかかわらず、平均点も非常に低く合格ラインが5割前後という厳しい試験は、受験勉強の努力量と同じくらい、渋幕の求める生徒像に合致しているか(=相性)を計るものなのかもしれません。
さて2018年の第1回の算数の出題に移ります。
算数に関しては例年よりも若干マイルドになったかな、という印象です。
合格者平均点が59.2点 受験者平均点が48.9点というのは、昨年の第1回と比べると、いずれも5点以上の上昇、小問であと1個とれたかな、という試験ですね。
(ちなみに2015年の第1回の平均点は34.4、算数の手ごたえを得られた受験生は皆無だったことでしょう)
渋谷教育学園幕張中学校の学校の特徴や傾向分析、2019年第1回の分析はこちら
ここからは各問題を見ていきます。
〇:合格するためには確実に正解したいもの
△:合否の分かれ目になるもの
×:出来なくても合否には影響しないもの
として、どうすれば合格ラインに届くのかを考えてみましょう。
大問1
(1) 〇
題意の確認問題です。
どう組み合わせても、オマケで3個以上もらうことは出来ないことを確認しましょう。
(2) 〇
12個買ってシールが12枚。
12÷6=2セット=4個 →4枚
この4枚で、あと1個もらえることに注意しましょう。
渋幕の合格を目指すならば、確実に正解したい問題です。
(3) △
〇を買うもの、×をもらえるものとして、
〇××・・・
〇××・・・
〇〇〇・・・
〇〇〇・・・
〇〇〇・・・
〇〇〇・・・
と考え、66個買って96個もらえるところまでは、多くの受験生がたどり着けることでしょう。
この後の丁寧な作業と確認は差がつきやすい部分です。
大問2
(1) 〇
Aが26点なので、Bを27点以上にする場合を考えます。
最大でも1.4.5の順列の6通りを調べるだけなので、難しい問題では無いでしょう。
(2) △
X×1+Y×2+Z×4=29になる不定方程式の典型題です。
ただX、Y、Zが1~6の範囲で、同じ数を使ってはいけないという細かな条件を見落としがちで、ミスをしやすい問題と言えそうです。
大問3
(1) 〇
グラフの1500mと1000mが、A君とCさんのちょうど半周を意味することを理解しましょう。
渋幕志望者ならば確実に正解する必要がある問題です。
(2)① ×
手を動かすことでBが1周するまでに2回で会うという状況を把握しましょう。
題意よりAが8000m、Bが7000mの、合わせて15000m進む時が求める状況になりますが、正しく把握できなかった受験生も多いことでしょう。
正解できなかったとしても不利にはなりません。
(2)② ×
①が出来たなら、ダイヤグラムの続きを書いて把握することが可能です。
ただ①が難しいので正解できた受験生は少なかったものと思われます。
大問4
(1)① 〇
(1)② △
平行線の相似を利用した典型題です。
様々な解法を選択できる学習効果も高い問題ですね。
△EGHを、どの図形と関連付けるかによって難度が変わりますが、渋幕合格を目指すなら①はもちろん、②まで正解しておきたいところです。
(2) △
同じ図形を3つ組み合わせて、大きな正三角形を作ります。
真ん中出来る小さな正三角形を利用しましょう。
類題を見たことがあるかどうかで正答率の変わる知識問題です。
もし知らなかった場合は考え込まず、次の問題に進むことが大切でした。
大問5
(1) 〇
直方体から三角錐台を引くだけの基本問題です。
数値が多少汚くなりますが、確実に正解する必要があります。
(2) ×
1:1:2の特殊な三角錐を利用することは思いついても、その先の見通しが立ちにくい難問です。
四角形PQSRを底面とする四角錐D-PQRSの高さを求める、という方針が現実的でしょうか。
非常に難度が高く、正解できた受験生は非常に少ないものと思われます。
もちろん合否には全く影響しません。
さて、ここまでを見ていくと、小問の数は合計で13個。
〇△×の内訳は、
〇が6個
△が4個
×が3個というところです。
〇の箇所が全て出来たら6/13=46.1%
〇に加えて△が2つ出来たら8/13=61.5%
と、ほぼ受験者平均点と合格者平均点になりました。
これから受験を目指す皆さんは、問題の難易度を適切に見抜く判断力も養っていきましょうね。
もちろん受験の真っ最中の皆さんは引き続き頑張りましょう!
合否にかかわらず、受けた試験の直しおよび振り返りをすることは、点数にもつながっていきますよ。
応援しています!