サカセルコラム

武蔵中の国語分析(2021年) Column

過去問分析

武蔵中の国語分析(2021年)

2022.08.26

男子御三家の一角として有名な武蔵中。

非常に独特な校風であることでも有名であり、その独特さやこだわりの強さは国語の入試問題にも色濃く反映されています。

そんな特徴のある武蔵中の国語の入試問題を今回は解説していきます。

◆各種データ

受験者平均 61.7点
合格者平均 69.6点

◆出題形式

試験時間 50分  100点満点

◆大問2題構成

◆問題の種類

・記述 46%
・選択肢 8%
・漢字 46%

試験時間に関しては足りなくなるということはないでしょう。

大問2の漢字の問題をさっさと片付けてしまい、たっぷり大問1の読解に時間を投入しましょう。

点数は年度によって大きくばらつきがあります。

特筆すべきは、近年度の国語では合格者平均点と受験者平均点の差が2桁にはならないことですね。それに対して算数は2桁、それも年度によっては20点以上離れることがあるので、算数が苦手なお子様は要注意ですね。

伝統的に文章題が一題の構成です。

以前は「武蔵といえば物語文!」という、物語文しか出さない学校として有名でしたが、ここ10年くらいを見ると「説明的文章・物語文・物語文」というサイクルを繰り返しています。(正確には物語文の部分で物語文型の随筆が1度だけ混じっています)

2021入試が説明的文章だったことから、来年度は物語文…?と予想することも可能です。

いずれにせよ、武蔵中を物語文の学校とはもう言えないですので、ご注意ください。

問題傾向を見ていただくと分かるように、武蔵は記述を好んで出題する学校です。さらに、文字数制限がない自由記述であることも抑えておかなければなりません。

沢山書けば良いというものではないですが、ある程度の長い記述を書くことが要求されます。

意外と知られていないのが、武蔵の模範解答は意外と抽象化されており、短かったりします。

2021入試で特筆すべきは、理由の記述しか出されていないということですね。

物事の因果関係を理解し、説明する力が要求されます。

余談ですが、どんなに字が汚くても全てしっかり読んでくれると武蔵中の先生がおっしゃっていました。これは字が汚いお子様にとっては朗報ですね。

ここまで概要についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか?

ここからは具体的な問題の解説に移らせていただきます!

今回使用する指標

:合格には確実に取れてほしい問題
:合格の勝負所・差がつく問題
×:落としても合否には大きく影響しない問題

解答例はこちら

大問1  「五感の哲学」 加藤博子 2016年5月発売

説明的文章です。

論説文ではなく、説明文となっております。

具体や抽象がはっきり分かれており、非常に読みやすい文章でした。

6分〜8分程度で読めると良いでしょう。

問1  ○

理由の記述です。因果関係の理解が重要になります。

 まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます
 記述の要素となる、下線部の理由・原因を探します
 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう

まず、下線部の「そんな言葉はもう最近はまったく使われなくなりました」の「そんな言葉」を文中から探します。すると直前部分に「田舎の香水」とありますね。つまり、田舎の香水が最近ではまったく使われなくなった理由を本文から見つければ良いわけです。

では、早速探しにいきましょう。

まずは前後と同じ意味段落(形式段落ではありません。内容で分ける段落のこと)を探すことが基本となります。

すると、下線部の4行後に「田舎の香水という言葉が消えたのは、それが田舎への差別表現だからという理由だけでは無さそうです。」とありますね。

つまり、1つ目の要素として、

A〈田舎への差別表現だから〉

という部分を取ることができます。

次に、

「田舎への差別表現だからという理由だけでは無さそうです。」

とあるので、別の理由も探しにいきます。

すると、その直後に

「生活水準が〜求められてきたのです。」

という部分が見つかりますね。

ここが2つ目の要素Bになります。

B〈生活水準が向上していく中で、臭いことは撲滅すべき悪であり、無臭と芳香が求められるようになった〉

それでは発見した2つの要素を繋いでいきましょう。

繋げる時のコツは、「問いに1つの要素で答えるとした時に相応しいものを最後にする」と考えてあげることです。

それでは、Aの要素とBの要素のどちらが相応しいでしょうか?簡単ですね。Bの要素が最後に来ます。

あとは、AとBをまとめていきましょう。

〈田舎の香水という言葉が差別表現〉であり、その上〈生活水準が向上していく中で、臭いことは撲滅すべき悪であり、無臭と芳香が求められるようになったから。〉

問2  ○

理由の記述です。問1と同様に、

 まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます
 記述の要素となる、下線部の理由・原因を探します
 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう

水洗式のトイレだと清潔一方になってしまいつまらない、と谷崎が感じる理由が聞かれている内容ですね。また、谷崎があげる具体例にも触れなければなりません。

以上2点を探しに行きましょう。

まず、下線部の前後を見ていきます。

すると下線部の直後に、

「かつて風雅な人は微細な匂いの差異に気づき〜谷崎は惜しみ憂いていたのです。」

とありますね。

この部分から2つの要素が拾えます。

A〈風雅な人は微細な匂いの差異に気づき、多彩な文化の風合いを感じ取っていた〉が、B〈清潔だけを目指して(トイレを水洗式に)画一化してしまうこと〉が進むことに谷崎は憂いているとありますね。

そして画一化が進むことで、何が起きるのでしょうか?

C〈匂いが失われる〉わけですね。(下線部4行前)

この一連の流れに対して、谷崎がつまらなさを感じていることが分かりますね。トイレの没個性化と言っても良いでしょう。

さらに具体例を用いて肉付けをしていきます。

Aの要素の具体例が下線部の直前に2つありますね。

「便所の匂には一種の懐かしい甘い思い出が伴うものである。……」
「谷崎は、ある友人が名古屋のお屋敷から……」

の2つですね。

ここをまとめていきましょう。

要素D〈(故郷の我が家の)便所の匂いに一種の懐かしい甘い思い出が伴う〉
要素E〈(他人の家の)便所の雅な匂いに感心した〉

それではまとめていきましょう。

まとめ方は先程と同じです。

〈故郷の我が家の便所に匂いに一種の懐かしい甘い思い出が伴ったり、〉〈他人の家の便所の雅な匂いに感心したりと〉いったように〈風雅な人は微細な匂いの差異に気づき、多彩な文化の風合いを感じ取っていたが、〉〈清潔だけを目指してトイレを水洗式に画一化してしまうこと〉で〈匂いが失われるから〉。

問3 △

こちらも理由の記述です。やることは同じですね。

 まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます
 記述の要素となる、下線部の理由・原因を探します
 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう

本物の薔薇の香りを嗅いでも、日頃(合成)の答え合わせができたとしか思えない、と筆者が考える理由が問われています。

まず前後から探していきましょう。

すると、下線部2行前からこう書いてあります。

「実は私も、薔薇の香りは合成〜香りを楽しんでいます。」

※4行より前は谷崎の話であり、意味段落が変わっていますので後回しで探してください。

ここから

A〈薔薇の香りは(本物よりも)合成の方を先に知った〉
B〈本物の薔薇の香りに包まれた経験が一度もない〉
C〈日常生活では科学的に合成された薔薇の香りを楽しんでいる〉

という3つの要素が拾えますね。

そして、下線部の直後の

「あぁ、やはりこういう匂い〜正解だったのだな、」

という部分から、本物の薔薇の香りに対して新鮮さを受けていない様子が読み取れます。

D〈本物の薔薇の香りに新鮮さを感じなくなってしまうから〉

というように繋げていきましょう。

筆者自身も〈薔薇の香りは本物よりも合成の方を先に知り、〉〈本物の薔薇の香りに包まれた経験が一度もない〉のにも関わらず、〈日常生活では科学的に合成された薔薇の香りを楽しんでおり、〉〈本物の薔薇の香りに新鮮さを感じなくなってしまうため。〉

問4  △

理由の記述+比較の記述の組み合わせになります。

両方の要素を拾いながら、因果関係をおさえましょう。

① まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます
② 記述の要素となる、下線部の理由・原因を探します。同時に、比較する対象の要素も探しましょう
③ 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう

 Bは〇〇だが、一方でAは〇〇である(から)

という比較の記述のフレームを予め知っていると迷わずに書けますね。

嗅覚が機械技術に適合しにくい理由
味覚はどうか?

の2点が聞かれている内容です。

まず前後から探していきますが、すぐに見つからないですね。

しかし、直後に都甲の話(具体)があることから、下線部の直後には無さそうと分かります。下線部4行後にも

「なぜ「香譜」は難しいのでしょうか。」

とありますね。

そして、都甲の話を追っていくと下線部8行後に「こうして化学的には〜からである」の部分から

A〈香りには基本臭がないから〉

という要素が抜けます。Aは理由ですが、これだけではよく分からないのでもう少し肉付けをしていきます。

すると、要素Aの直後から再び詳しい具体的な内容が始まっており、これらがまとまっている部分が空欄Dの6行後

「この普遍化になじまない〜香りが電波に乗らない理由でしょう。」

の部分に当たります。ここを読んでいただければ、

B〈(嗅覚は)要素にまとめることが難しい性質のせいで、嗅覚は数値化してデータにすることが困難であるから〉という要素がとれますね。

※「普遍化に馴染まない性質、抽象化できにくい在り方」を抽象化して「要素にまとめることが難しい性質」としています。

これで嗅覚の要素は終了です。

次に味覚の要素を探しにいきましょう。

下線部9行後に

「味ならば、〜できました。」

とあり、味覚についての要素が見つかりましたね。

C〈(味覚は)6つの要素に分け、数値化することが可能〉

そして、下線部13行後に

「味覚ではある程度は要素としてまとめることができるのに……」

とあるので、ここを使い

D〈味覚はある程度の要素としてまとめることが可能〉

という要素が拾えます。

それではまとめていきましょう。

まず比較対象で重要ではない方の味覚、次に嗅覚の順番で書いていきましょう。

〈味覚は6つの要素に分けられ、数値化し、〉〈ある程度の要素としてまとめることが可能であるが、〉一方で〈香りには基本臭がなく、〉〈要素にまとめることが難しい性質のせいで、数値化してデータにすることが困難であるから。〉

問5  ○

語彙の空欄補充ですね。

しっかり前後をチェックし、空欄に入るものを考えていきましょう。

問4よりもこちらを先にやってみてもよかったかもしれません。

「香り」=
「要素に分けることが困難、数値化が困難」
「具体的すぎて、まとめることが難しい」

「味」=
「6つの要素に分けられ、数値化が可能」
「抽象化が可能」

という点をおさえられれば、簡単だったのではないでしょう。

空欄A

直前に

「「甘い」というような[A]的な……」

とあるので空欄には、味覚に関する言葉が入りますね。そうすれば、「抽象」に関連する言葉が入るということが分かりますね。

この時点で選択肢のイ、オに絞られます。

次に選択肢のイ、オの違いがある空欄Dを見ていきましょう。

※Cを見ても構いません。Dの方が見分けが楽なので優先しています。

空欄D

直後に

「[D]的にバニラや沈丁花や乳の香りがする」

とありますね。

ここから空欄Dには香りに関する言葉が入ります。

すると「具体」に関する言葉が空欄に入ることが分かりますね。

よってイが正解になります。

問6 △

再び理由の記述です。

 まずはしっかりと設問を読み、聞かれていることをはっきりさせ、何をするかの方針をはっきりさせます
 記述の要素となる、下線部の理由・原因を探します
 見つけた要素を繋ぎ合わせていきましょう

下線部から、嗅覚のない映像という擬似体験を多く重ねることが悪い状況に向かっている理由を探しましょう。

ポイントは映像によって人間が悪い状況に進むということです。

つまり、映像=マイナスと書かれている部分を見つけ出すことが重要です。

まず大きい視点で見ていきますと、その四のページ全体が映像に関しての意味段落となっていますね。そして、その四のページの前半部分が具体例となっていることから、後半部分に抽象的なまとめの文があると考えられます。

その考えで見ていきますと、その四の5段落に

「しかし、嗅覚を取り除いて考える〜想像で補う必要があります。」

という部分があります。

ここが映像のマイナス部分を指摘する部分になります。

ここから

A〈(嗅覚の無い映像において)生き物の本質を問う場面で重要な要素を欠く〉

という要素が抜けますね。

しかし、本文では想像でこれを補えば問題ないとあります。それでは我々現代人は想像で補うことは可能なのでしょうか?

その答えが次の抽象部分に書いてあります。

下線部6行前

「おそらく私たちは身の回り〜弱体化させてしまったのでしょう。」

とありますね。ここが抽象の部分になります。

ここから

B〈(現代人は)身の回りから悪臭を遠ざけると同時に、匂いに対する感受性や想像力をも弱体化させてしまった〉

という要素が拾えます。

つまり、想像で補うことは難しいわけですね。これをまとめていきます。

〈現代人は身の回りから悪臭を遠ざけると同時に、匂いに対する感受性や想像力をも弱体化させてしまい、〉その結果、〈嗅覚のない映像において、生き物の本質を問う場面で重要な要素を欠いた〉擬似体験を積むこととなるから。

大問2  ○

漢字です。

少し難しかったかもしれません。

トメハネハライに気をつけて、丁寧に書きましょう。


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松田 浩志

この記事を書いたのは...

松田 浩志

自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。

大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。

現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。

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