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浦和明の星女子中の算数分析(2022年 第1回) Column

過去問分析

浦和明の星女子中の算数分析(2022年 第1回)

2022.11.01

受験者平均点 58.8点
合格者平均点 71.1点
想定合格点  60点

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埼玉県内の私立女子トップ校の浦和明の星女子中。

進学実績もさることながら、温かいカトリックのミッション校で豊かな人間性が育まれる教育方針が魅力です。

また首都圏女子トップ校の前哨戦として、例年2000名前後の女子優秀層が受験する激戦は中学受験の風物詩の1つになっています。

算数は基本から標準レベルを中心に出題され、受験生の基礎知識の習熟度を適切に測ることのできる入学試験として質が高いものになっています。

中でも特に問われる力は「比への習熟」です。

速さや図形などの様々な場面で、巧みに比を使いこなせるかどうかが得点差に直結します。

それ以外の分野でも学習効果の高い問題が並ぶので、算数の学習教材としても質の高い問題作りがなされています。

さて、ここからは2022年第1回の浦和明の星女子中の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。

今回使用する指標
:合格のためには必ず正解したい
:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) 〇

基本的な計算問題です。

分数・小数のどちらで計算したほうが負担が小さくなるかを考えて、工夫して取り組みましょう。

途中で計算がやや煩雑になりますが、確実に正解しておきたい問題です。

(2) 〇

基本的な仕事算です。

全体を140とおいて、太郎さんとお兄さんの1日あたりの仕事量を求め、つるかめ算で処理しましょう。

(3) 〇

基本的な比の文章題です。

「比べる量」「もとにする量」など、用語として直感的に捉えにくい内容ですが、どれとどれを比べるのかを丁寧に確認しながら進めましょう。

(4) 〇

立体の切断としては導入レベルの初歩的な問題です。

正面から見た投影図も、QGが何を示すのかを正しく捉えられれば、決して難しくはありません。

確実に正解しておきましょう。

(5) △

少々条件を整理しづらい比の文章題です。

解答例では消去算の要領で、問題文を式で整理しました。

その他、線分図で整理してみたり、やりとり算として整理してみたりしても良いでしょう。

浦和明の星女子中では、比の習熟を問う出題が数多くみられるので、解きこなせるように練習しておきましょう。

(6) △

「ルーローの三角形」と呼ばれる有名図形です。

動きの変わり目に注目して、「どこが中心」「半径は何cm」「中心角は何度」を明記しながら丁寧に作図しましょう。

(7) ① △  ② △

「長方形を対角線で切ると面積は2等分」という当たり前の発想を組み合わせて考えましょう。

解答例のように長方形ABHGを対角線で分け、そこから〇同士、×同士を除くと結局、正方形AIKEと長方形KFHLが等しいと分かります。

問題の条件から辺の比と面積比の関係に注目して計算すると、KL:LGが3:4と求まります。

あとは正方形AIKEを縦に何倍、横に何倍したら長方形ABCDになるのかを考えると良いでしょう。

やや難しい問題ですが、浦和明の星中への合格を目指す受験生なら勝負したい難度です。

大問2

(1) 〇

浦和明の星女子中で最頻出の速さと比の文章題です。

(1)は1回目に出会う場所なので線分図で整理しても容易に正解することが出来るでしょう。

ただ(2)以降を考えるとダイヤグラムで整理できると、なお良いでしょう。

(2) △

「平行」「相似」を意識して、答案例のようなダイヤグラムの続きを描きましょう。

最終的には360mを6分で進んだと捉えることが可能です。

ダイヤグラムは浦和明の星中の算数では頻出のテーマなので、難度は高くても使いこなせるようにしておきたいところです。

大問3

(1) △  (2) △

ここでも「比」の問題が課されました。

「水槽と比」も浦和明の星女子中では散見されるテーマです。

(1)では2つのプールの深さの差が9÷6=1.5倍になったことから、かかる時間も1.5倍であることに気づきましょう。

解答例のように整理すると、まずは(2)で問われている高さが求まり、それを用いて(1)の底面積の比も求まります。

(3) △

(1)(2)が出来ていれば易しい問題です。

60分でAB全体が満水になるので、AとBの底面積の比で比例配分しましょう。

途中で数値が大きくなってしまわないよう、分数で計算を工夫することも大切です。

大問4

(1) 〇

Pの右下とQの左下が出会ってから、Pの左下とQの右下が離れるまでと考えましょう。

(1)では真ん中の長方形は関係ありません。

(2) △

(1)で求めた、PとQの重なりはじめの位置関係を図で整理しましょう。

ちょうど3つが重なり始める時だと分かります。

その後「Pが長方形と離れるまで」は「Qが長方形と離れるまで」よりも先なので、Pの左下が長方形の右下を通過する状況を考えましょう。

(3) △

(2)で求めた8秒後から10秒後にかけて、面積は0から増えて、最も大きくなった後に減っていって0に戻ります。

そこで動きの変わり目に注目していくと、面積が最も大きくなるのはPの左下とQの左下が重なる時だと分かります。

やや難度は高いですが、浦和明の星女子中合格を目指す生徒なら、充分に勝負できる問題でしょう。

大問5

(1) 〇

将棋の「桂馬」のような動きの特徴を掴む、調べと論理の問題です。

(1)は題意の確認問題なので易しいでしょう。

なお数字が線対称で配置されているので、はじめの1から次の4に動かす際は2ついずれの4に動いても同じ状況になります。

(2) ① 〇  ② △

①は出来るだけ大きい数に動かす場合を考えれば良いでしょう。

最大で3ずつ大きくなることが分かります。

こちらも題意の確認問題と捉えて差し支えないでしょう。

②は途中経過は関係なく「3の次に動かすことが出来る場所だけ」を考えれば問題ありません。

「どこから来たのかは関係ない、次にどこに動かすことが出来るのか?」という(3)にもつながる発想です。

(3) ×

「そのマスからどのマスに動かせるか?」を各数字で確認しましょう。

結局「1からは4の1通り」「2からは3・5の2通り」「3からは2・4・6の3通り」「4以降は4通り」ということが分かります。

あとは樹形図で丁寧に調べていきましょう。

発想が高度で、また処理量もやや多いので、後回しにしても全く問題はありません。

このような出題となった2022年の第1回の浦和明の星女子中の算数の合格者平均点は71.1点、受験者平均点は58.8点となりました。

得点率は浦和明の星女子中の算数としては標準的ですが、△レベルの問題が例年と比べても多く、やや取り組みにくい印象を持った受験生も少なくなかったことでしょう。

この2022年の第1回の浦和明の星女子中の算数で合格ラインに乗せるための戦略を考えてみましょう。

4科目での合格最低点が186点であるのに対して、全受験者の4科総合での平均点は185.5点となっています。

約2倍という倍率の通り、平均点がほぼ合格ラインと言えるでしょう。

ただ平均点といっても女子の優秀層しか受けていないので、かなり高い水準であることは間違いありません。

算数に関しては60点に届けば、他科目次第で合格に乗せられるということが出来るでしょう。

この出題で合格ラインに乗せるためには、

「〇の8問中7問を正解して35点/40点+残りの60点から半分弱を正解して計60点」というのが一つの目安となりそうです。

△のうち、どの問題なら勝負になるのかは個々の受験生によって大きく異なることでしょう。

講師とも相談し、自分の得手不得手を把握した上で試験に臨みましょう。

2022年第1回の浦和明の星女子中の算数の問題も、学習効果の高い非常に質の良い出題になりました。

特に吉祥女子中や豊島岡女子学園中を目指す生徒にとっては出題形式や頻出分野も比較的近いので、きっと良い準備となることでしょう。

2023年以降に浦和明の星女子中の合格を目指す受験生の皆さんも、是非とも過去問演習を重ねることで高度な学力を養成し、1月女子トップ校の合格を勝ち取りましょう。

心より応援しています。


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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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