受験者平均点 50.0点
合格者平均点 57.9点
想定合格点 50点
浦和明の星女子中学校の他年度の解説はこちら
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浦和明の星女子中学・高等学校。
穏やかな校風にも関わらず、高い大学合格実績を誇る埼玉県トップの私立女子校です。
広大な敷地や充実した施設も魅力で、埼玉県外からの進学者も多いことにも頷けます。
また毎年1月14日に実施される第1回の入学試験は、首都圏女子トップ生の前哨戦として2000人近い受験生を集めています。
入試問題に注目すると、算数は各分野からバランス良く課される出題になっています。
特に「比」の習熟度を問う内容が多く、2月のトップ校を目指す生徒にとっては「教材」としても質が高いことでも知られています。
「浦和明の星の対策が算数の地力の向上にもつながる」という点で、入念に準備をする女子トップ生も少なくはありません。
さてここからは2025年第1回の浦和明の星女子中の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、後回しにしても問題ない
として1問ずつ見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
与えられた式が長く少し滅入ってしまいますが、基本的な計算問題であることには変わりはありません。
分数⇔小数の換算を意識し、確実に正解しましょう。
(2) 〇
相当算の典型題です。
決して易しい問題ではありませんが、浦和明の星合格を目指す受験直前期の皆さんなら①を用いた計算処理もお手の物ですね。
(3) 〇
食塩水の混合です。
手数は少し多いものの発想自体は平易なので、多くの受験生が正解できたことでしょう。
(4) 〇
面積の差は「共通部分を加えて考える」という手法は中学受験でも頻出です。
この問題も労せず正解出来た受験生が大多数でしょう。
(5) ア △ イ 〇
図形と比の典型題を細かく区切っただけの問題です。
縦の相似と横の相似をどう使うのか適切に判断しましょう。
よくある問題ではありますが苦手とする受験生も多いので、思いのほか差がつきます。
(6) △
まずは11個ずつの時と10個ずつの時に注目し、共通する個数の候補が『23+110×□』になることを把握しましょう。
あとはそれぞれの場合で9個ずつ入れていくとアメが何個余るのか、もしくは不足するのかを調べていきます。
大問1としては題意の読み込みや条件の絞り込みが難しく、いったん後回しにするという判断も賢明だったかもしれません。
大問2
(1) 〇
題意の確認問題です。
「5個で和が1」を1セットと考えるだけなので、ほぼ全員が正解できたことでしょう。
(2) △
「全ての和」から「分子が1になっている分数の和」を引くと考えると良いでしょう。
(1)が発想のヒントにもなっていましたね。
計算量は少し多いものの、決して難しくはありません。
大問3
(1) 〇
浦和明の星の算数における最頻出テーマである「速さと比・ダイヤグラム」が大問3で課されました。
まず(1)では「距離の比÷速さの比=時間の比」という、速さと比の計算処理の典型手法そのままを問われています。
長大な問題文から該当する部分を取り出して考える必要もあり、決して易しい問題ではありませんが、浦和明の星の算数の対策を積んできた受験生にとっては「いつもの問題」の範疇に入るのではないでしょうか。
(2) △
条件をダイヤグラムで整理し、視覚化しましょう。
今回のポイントは「もし兄が休まなければ同時に着く」ということでした。
あとは(1)と同様に「距離の比÷時間の比=速さの比」と考えられると良いでしょう。
比のまま考えていく難しさはありますが、合格のためには頑張りたい問題でした。
(3) △
(1)(2)で求まった速さの比を上手く用いて考えましょう。
明子が1470m地点に着く時刻を比で考えることが出来れば、この時刻を兄と比較することで正解に辿り着くことが出来そうです。
正しく浦和明の星対策を重ね、無事にこの大問を完答できた受験生は合格をグッと引き寄せられたのではないでしょうか。
大問4
(1) 〇
ツルの羽数と時間が逆比の関係になります。
ツル1羽に姉が④秒、妹が⑤秒とすると、結局「⑳秒で9羽」を1セットと考えることが出来ますね。
やや難しい問題ですが、浦和明の星の算数においては頻出のテーマです。
合格のためには正解しておきたい問題でした。
(2) △
まずは姉と妹がツルとカメをそれぞれ何羽、何匹折ったかを整理しましょう。
姉はツル17羽とカメ15匹、妹はツル13羽とカメ14匹と求まります。
姉と妹のそれぞれがツル1羽、カメ1匹あたりを折るために要する時間の比が求まっているので、あとは時間の比を消去算として処理しましょう。
やや難しい問題でしたが、女子最難関校を目指す受験生なら理解しておきたい発想です。
(3) △
(1)(2)より具体的な所要時間が求まるので、あとは丁寧に調べていくだけです。
細かな作業力が問われ、時間もかかる問題ですが(2)まで正解できているなら頑張ってほしいもの。
大問4は中学受験レベルでもかなりの難問ですが、女子トップ校を目指すならば自力で解けるだけの学力は備えておきたいところです。
大問5
(1) 〇
「直径の長さと回転数が逆比になる」ことを利用しましょう。
Aが90°回転する時、Bは60°、Cは45°回転します。
回転の向きにも気を付ける必要がありますが、このレベルならなんとか正解しておきましょう。
(2) △
Bの18がCに付く状況を考えましょう。
(1)よりBが180°回転する時にCは135°回転することが分かり、以降Cがちょうど1周すれば側面のすべてに塗料が付くことが分かります。
したがって塗料が付き始める時に真上にある数字を求めれば正解です。
発想はやや高度ですが、作業量は多くはないので「合格のためのあと1問」として勝負したい問題でした。
(3) ×
(2)の応用ですが注意すべき点が非常に多い難問です。
まずは(2)の状況を考えるとBは18~2に塗料が付き、Cは9から3に塗料が付くことが分かります。
ただ以降はBからAに付くインクの可能性を考えたり、CからBに付くインクの可能性を考えたりすることが厳しいでしょう、捨て問にしてしまって構いません。
なおこの問題では結果としてインクの戻りは考えずに済みましたし、Cは90°ずつ塗っていくことは自明だったため「答えは3,9,15,21のいずれかだろう」と勘を働かせられた受験生も少なくなかったと思われます。
総論
例年の受験者平均点は65点前後、合格者平均点は75点前後になることが多い、浦和明の星中の第1回の算数。
ご覧の通り今年度は大問2から重い問題が続き、苦戦を強いられた受験生も多かったようです。
結果として学校から発表された受験者平均点は50.0点、合格者平均点は57.9点と、かなり低めの水準となりました。
この数字は学校のホームページで発表している浦和明の星中の第1回の算数の試験結果の中では過去最低です。
さて、このような出題となった浦和明の星の今年度の試験で合格ラインを上回るための戦略を考えてみましょう。
合計の合格最低点は166点/300点で、受験者平均点は170.2点/300点なので、平均点の50点を取れていたら算数で足を引っ張ることは無かったと言うことが出来ます。
『〇と易しめの△の、大問1(1)(2)(3)(4)(5),大問2(1),大問3(1),大問4(1),大問5(1)を2ミス以内に抑えて、残りの問題から2問くらい正解する』
が結果として合格を勝ち取った受験生の得点パターンだったのではないでしょうか。
大問3か大問4のいずれかを完答できると大幅なリードを得られたことでしょう。
2026年以降に浦和明の星中合格を目指す皆さんにとっては「難しめの年度の例」としては参考になることでしょう。
大問3の「速さと比・ダイヤグラム」は浦和明の星中の算数の出題における最頻出テーマの1つで、来年度以降も重視されることは必至です。
併願する生徒も多い豊島岡女子学園中の算数でも毎年のように課されるので、充分に練習を積むことが出来ると学力向上の面においても良いですね。
大問4の「逆比の利用・規則を利用した上での調べ上げ」も女子トップ校を目指すならば絶対に克服しておきたいテーマです。
復習の際は大問5(2)まで頑張って取り組んでおきましょう。
なお出題のセットとしては2025年の第1回は重すぎて、あまり参考にはなりません。
例年の出題では大問2~4で容易に完答できるものが配置されているケースがほとんどなので、難度の見極め・取捨選択も浦和明の星中の算数で合格点を取るためには非常に重要な視点となります。
過去問演習の際は少なくとも3年分に取り組み、自分なりの戦略を確立できると良いですね。
効率よく力をつけたいけど、どう進めたら良いんだろう…という際は、是非とも自律学習サカセルにお声がけください。
個々の生徒に合った合格戦略を共に考え、実践します。
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