サカセルコラム

浅野中の算数分析(2018年) Column

過去問分析

浅野中の算数分析(2018年)

2018.02.28

神奈川を代表する私立男子校の1つの浅野中学。

 

学習面における面倒見が良く高い進学実績を誇る一方、運動部の活動も熱心で、文武両道を目指す受験生から高い注目を浴びています。

 

入学試験の問題も非常に堅実です。

どの科目においても基礎から難問までバランス良く、また中学受験の範囲を逸脱することなく作成されています。

普段の努力量が合否に直結するため、成績トップ層の受験生にとっては併願しやすい学校とも言えるでしょう。

 

もちろん算数の問題も選抜試験としては秀逸です。

分野に偏りなく、中学受験の典型題を中心に、様々な能力を測定できる構成になっています。

ただいつもワンパターンという訳ではなく、受験者層の変化に合わせて少しずつ出題バランスも調整していることが特徴です。

5年ほど前までは現在よりも基本問題の割合が多く、また問題数も多めで、算数の合格者平均点が75%を超える年度も珍しくはありませんでした。

ところがこの数年は難度が上がり合格者平均点も60%前後にとどまることが多くなってきました。

規則性や立体図形など、男子最難関校頻出テーマでの難問の割合が高まったことが一因と考えられます。

 

そんな中、2018年の浅野中の算数は、

合格者平均点が92.3/120 受験者平均点が75.8/120

という、かつてのような高得点勝負になりました。

 

今年の試験において、どうすれば合格ラインを越えられたのかを、個々の問題を通して確認してみましょう。

 

〇:浅野中合格のために必ず正解したい問題

△:合否の差がつく問題

×:正解できなくても合否には影響しない問題

 

大問1

(1) 〇

分数・小数混合の逆算です。

繁雑な計算で知られる浅野中にしては、かなり取り組みやすいレベルでした。

なお2016年までは計算は独立した大問として2題、出題されていましたが、2017年は1題、2018年は小問集合の中の1題となりました。

計算は出来て当たり前、より高度な問題での対応力を見たいということなのでしょう。

 

(2) 〇

内角の和に関する問題です。

内側に凹んだ形でも通常と同じように計算することが可能です。

 

(3) △

通過算ですが計算が煩雑です。

(388+オ)÷エ=21

(55+オ)÷(エ-17)55

と式で整理してから処理しましょう。

 

(4) 〇 △ (⇒まとめて△扱いとします)

時計算の典型題です。

長針と短針が対称になる場合の解法も、難関校受験生なら常識として持ちあわせておきたいところです。

 

(5) 〇 〇 (まとめて〇扱いとします)

和分解の典型題です。

抜けも重複もないよう、丁寧に処理しましょう。

 

 

大問2

(1) 〇

具体的な数値が求められる箇所を探します。

すると16分で満水になることに気づくでしょう。

 

(2) 〇

水槽と比の典型題です。

正面から見た図で、かかった時間を整理しましょう。

同じ底面積の時、深さの比と時間の比が同じになることがポイントです。

 

大問3

(1) 〇

題意の確認問題です。

装置Dの処理に気を付けましょう。

 

(2) 〇

こちらも題意の確認です。

後ろから戻って考えると、16の前は4、その前は5×525よりも小さくなれば良いので24となります。

 

(3) ×

意味を取りにくい問題です。

☆=1の時から6の時まで、丁寧に作業して範囲を絞りましょう。

少し時間がかかるので後回しにしても良いでしょう。

 

 

大問4

(1) 〇

流水算と比の基本問題です。

時間の比は15:20=3:4なので速さの比は4:3となりますね。

 

(2) 〇

(1)より1周の長さは120cmになります。

はじめは毎秒6cm、途中から毎秒7cm、合わせて18秒で120cmのつるかめ算と言い換えましょう。

 

(3) △

(2)と同様、つるかめ算に持ち込みます。

流れが反時計回りに毎秒1cmの時を2秒、時計回りに毎秒1cmの時を1秒と考えると、結局3秒で7cm進むことと同じなので、毎秒3/7cmと捉えられます。

 

 

大問5

(1) 〇

立方体の切断の基本問題です。

「同一平面」⇒「平行」⇒「延長」という基本パターン通りに処理しましょう。

 

(2) 〇

大きな三角錐から小さな三角錐2つを除くと考えましょう。

一般的なテキストに掲載される問題としては難問に分類されますが、浅野中合格を目指す受験生にとっては常識ともいえる問題です。

 

(3) △

もとの立方体から(2)Hを含む奥の図形を除くと考えましょう。

今回は切り口が交わることはないので、(2)と同様に大きな三角錐から小さな三角錐2つを除くと考えましょう。

 

 

平均点から見ても分かるように、やはりこの数年と比較すると、やや取り組みやすい出題でした。

原因は最後の2つの大問が、例年より易しかったことが挙げられます。

大問4は(2)までが非常に易しく、また大問5も典型パターン通りの出題でした。

 

この出題で合格ラインの7割(84/120)を取る方法を考えてみましょう。

 

〇は合計13問、△は合計4問、×は1問なので、

〇で11/13、△で2/4、×は0/113/18(=86.7/120)で充分に合格ラインに乗せられることでしょう。

 

ただ、この〇△×は「浅野に合格する」ことを基準に設定しています。

中学受験レベルで考えれば、序盤の小問集合から難問が並んでいるので、学力差は明確に現れる出題です。

 

来年以降に浅野合格を目指す生徒は、まずは通っている塾での学習を大切にしましょう。

典型題を数多くこなし、反射的に解法を導きだせるような訓練は必須です。

その上で過去問演習を重ねられれば、他の男子トップ校と比べると特別な準備は少なく済むことでしょう。

 

浅野は地道な努力が報われる学校です、是非とも頑張りましょう!

 

関連記事

三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

同じ筆者の記事を見る

人気の記事