【はじめに】
小田急線「経堂駅」から徒歩15分ほどの閑静な住宅街に佇む、東京農業大学第一高等学校中等部(以下、農大一中)。校長先生が「本校のシンボルは桜ですが、住所も世田谷区桜1丁目なんですよ」と笑顔でお話しされていたのが印象的でした。その言葉通り、校章や文化祭の名称(桜花祭)に至るまで、学校のあらゆる場面で「桜」が大切にされています。
今回の説明会では、同校が掲げる教育理念「知耕実学(ちこうじつがく)」を基盤とした多彩な教育活動、入試情報、そして2026年秋に完成予定の新3号館の魅力的な計画について、具体的なお話を伺うことができました。本レポートでは、生徒たちの活気あふれる学校生活の様子と、進化を続ける学習環境の魅力をご紹介します。
【学校生活について】
農大一中の教育の根幹をなすのが、「知耕実学」という理念です。「実学で知を耕す」をテーマに、机上の学びだけでなく、手と足を動かし、五感で感じること、つまり「本物に触れる体験」を通して知的好奇心を刺激し、自ら問いを立て探究していく姿勢を何よりも重視しています。
3つの育みたい力
この理念に基づき、同校では以下の3つの力を育むことを目標としています。
1."想造"力(想いを形にする力)
「巨大な恐竜を段ボールで作りたい!」「友達と協力して亀を育ててみたい!」。そんな生徒たちの純粋な好奇心を、学校全体で応援する土壌があります。体育祭名物の「大根リレー」で一番を目指す姿など、生徒一人ひとりの「やってみたい」という思いを尊重し、それを形にするためのサポートを惜しまない姿勢が随所に見られました。
2.突破力(逆境に打ち克つ力)
高いレベルの課題に粘り強く取り組むことで、困難を乗り越える力を養います。この力は、後述する高い大学合格実績にも確かに繋がっています。
3."考動"力(考えて動く力)
ただ動くだけでなく、自ら考え、判断し、仲間と協力しながら行動する力を育てます。卒業生が社会の様々な分野でリーダーシップを発揮しているのも、この教育の賜物です。
スローガン「共創し、新たなステージへ」
同校のスローガンは「共創し、新たなステージへ」です。先生は「今年の1年生は、特に『これがしたい!』という強い思いを持つ生徒が多く、非常にエネルギッシュです」と熱を込めて語っておられました。その言葉を裏付けるように、私が校内を見学した際、教室や廊下では生徒たちが仲間と楽しそうに語り合っており、学校全体が明るく活気のある雰囲気に満ちていました。
多彩な体験学習と国際教育
「知耕実学」を最も体現しているのが、豊富な体験学習です。田植えや味噌づくりといった農業体験はもちろん、企業と連携したプロジェクトや地層観察、動物の解剖など、五感をフル活用する学びの機会が数多く用意されています。特に理科の授業では、約半分が実験に充てられており、実験好きの生徒さんにはたまらない環境と言えるでしょう。私も実験好きなのでとてもうらやましいです。
国際教育にも力を入れており、中学ではイングリッシュキャンプや、3年次に全員が参加するシンガポール・マレーシアへの海外研修が実施されます。高校ではオーストラリアへの希望制留学プログラムもあり、世界に視野を広げる機会が豊富です。
【施設について】
2023年に完成した新2号館は、陽光が差し込む明るく開放的な空間でした。1階には生徒たちが集う広々としたラウンジ、集中して学習できる自習室、そしてまるでコンビニのような品揃えの購買があります。昼休みには多くの生徒で賑わい、和気あいあいと食事を楽しむ姿は、まさに青春の一コマでした。
校舎で特に印象的だったのは、教室の廊下側の壁が全面ガラス張りになっている点です。「常に見られている」という学校側の意図通り、生徒たちは皆、真剣な眼差しで授業に臨んでいました。教員も生徒も互いに見守られているという心地よい緊張感が、集中力を高めているようでした。
そして、現在建設中の、2026年秋に完成予定の新3号館について言及されました。
● 図書館:新3号館の1階、生徒が必ず通る動線上に設置されます。「廊下のような図書館」というコンセプトで、日常的に本に触れる機会を創出します。本棚の間を通り抜けるたびに、新しい知識との出会いが待っている、そんなワクワクする空間になりそうです。
● 大講義室:学年集会や講演会に使用できる本格的な講義室です。
● 実験室:化学、物理、生物それぞれの専門実験室が設けられ、生徒たちの「なぜ?」を形にするための最高の舞台となるでしょう。
● サイエンスストリート:自分たちの研究成果を仲間と共有し、次の探究へと繋げるための展示スペースも作られます。
● 屋上プレイコート:新3号館の屋上にも、生徒がのびのびと過ごせる空間が生まれます。
既存の1号館5階にある図書館も、蔵書約6万冊を誇り、「カエル特集」といった農大らしいユニークなコーナーも魅力的でした。
【入試について】
入試担当の先生から、2025年度入試の振り返りと2026年度入試の概要について説明がありました。
2025年度入試の振り返り
2025年度入試から、新たに2月1日午前に第1回入試が新設され、非常に注目度が高いことが証明される形となりました。
● 第1回(2/1午前):4教科入試。第一志望の熱意ある受験生が多く、レベルの高い争いとなりました。
● 第2回(2/1午後):算数・理科または算数・国語の選択制。算数の難易度を上げた結果、男子の合格者がやや増加する傾向が見られました。
● 第3回(2/2午後):算数・理科または算数・国語の選択制。算数の問題数を増やし、処理能力も問われる形式でした。
● 第4回(2/4午前):4教科入試。記述・論述が中心で、例年通り高倍率の厳しい入試となりました。
2026年度入試の概要
2026年度入試の形式や日程に大きな変更はありません。その他の詳細については以下のようになります。
● 募集定員の表記変更:各回の募集定員が「約〇〇名」という表記になります。これは、併設の稲花小学校からの内部進学者数に応じて、外部からの募集定員が変動するためです。
● 特待生制度:各回で成績優秀者は特待生として認定されます。目安は得点率85%以上で、認定されると1年間の授業料が全額免除となります。
出題傾向と対策
● 国語:長文読解力が鍵となります。特に新設の第1回は、4000字程度の骨太な文章が出題されるため、第4回の過去問演習が不可欠です。
● 算数:回ごとに明確な特徴があります。
● 理科・社会:基本的な知識と思考力を問う問題がバランスよく出題されます。特に社会では、資料を読み解き、自分の言葉で説明する記述力が重要です。
【合格実績について】
「突破力」を育成する教育の成果は、高い進学実績にも表れています。2025年度大学入試では、以下のような結果を残されました。
● 国公立大学:62名(うち東京大学5名、1名は模擬国連や企業グランプリでの活動が評価され、学校推薦型選抜で合格)
● 早慶上理:169名
● GMARCH:333名
● 東京農業大学:51名
特筆すべきは、併設の東京農業大学への進学状況です。合格者51名のうち、内部進学制度を利用して進学した生徒は8名でした。これは、学年全体の生徒数から見るとごく一部であり、付属校でありながらも、ほとんどの生徒が自分の目標に合わせて外部の難関大学に挑戦していることを明確に示しています。「付属校だが様々な進路を考えられる学校」という先生の言葉を裏付ける、力強い実績です。
【まとめ】
今回の説明会を通して、農大一中が「知耕実学」という確固たる教育理念のもと、生徒の主体性を引き出し、未来を切り拓く力を育むことに全力を注いでいる学校であることが改めて確認できました。
最新の学習環境、稲花小学校からの内部進学者との「共創」によって生まれる新しい化学反応、そして何よりも生徒一人ひとりの「やってみたい」を全力で応援する先生方の熱意。これらすべてが、農大一中を唯一無二の魅力的な学校にしています。
説明会の最後にあった「本校に入学したら絶対に後悔はさせません。ぜひ、廊下を歩いている生徒に満足度を聞いてみてください」という言葉には、学校への強い自信と愛情が込められていました。実際に校内を見学すると、生徒たちは皆、生き生きとした表情で学校生活を楽しんでおり、その言葉が真実であることを物語っていました。体験を重視し、知的好奇心旺盛な生徒さんにとって、これ以上ない環境が整っていると心から感じた説明会でした。
実際の施設の風景や生徒の姿を見るのはとても新鮮なので、皆さんも是非一度学校に足を運んでみてください!
※あくまでサカセルでまとめた内容だという点にご留意ください。詳しい内容は直接学校にお問い合わせするか、説明会に参加してみてください。