受験者平均点 50.7点
合格者平均点 60.7点
想定合格点 55点
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2022年の東大合格者数も圧倒的な大差をつけて第1位、これで41年連続となりました。
日本を代表する進学校という地位は、揺らぐ気配すらありません。
もちろん開成の魅力は勉強面だけではありません。
熱気あふれる運動会や、各種科学オリンピックやクイズでの活躍も目覚ましく、400人の個々の才能を存分伸ばすことができる環境が、どこよりも整っていると言えるのではないでしょうか。
これからも様々な分野に開成で育った骨太な人材を輩出し続けることでしょう。
もちろん中学入試、高校入試においても全国最難関校として知られています。
今回のテーマである算数は一定の傾向が見られず、明確な対策を取りにくいことが特徴として挙げられ、毎年の入試問題が中学受験業界でも注目の的となっています。
ここからは2022年の開成中の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。
分数⇔小数の計算の工夫を心掛けることが大切ですが、あまり処理量は減りません。
丁寧に解いて確実に正解しましょう。
(2) 〇
それぞれの数を9で割った余りを考えましょう。
どの数字も「1234567」で構成されているので「9の倍数+1」と言い換えることができますね。
こちらも適切な解法で確実に正解すべき問題です。
(3) △
4=2×2より「4が含まれる場合」や「偶数が2つ以上含まれる場合」に4の倍数になることが分かります。
ただ場合分けで処理するのは面倒なので「余事象」で考えることがポイントです。
問題で与えられている全1296通りから「奇奇奇奇」「2と奇奇奇」「6と奇奇奇」を除くと考えられると良いでしょう。
(4)
① 〇
条件より、イの半円の半径は10×2×3.14÷2=31.4cmになります。
3.14を2回かける計算はあまり見かけませんが、発想自体は易しいので確実に正解する必要があります。
② △
①より弧TAは31.4-9.577=21.823cmになります。
あとは解答例のように立式し、丁寧に処理しましょう。
やや計算量が多いものの難しい問題ではないので、答えを出し切りたいところでした。
大問2
(1) 体積 〇 表面積 〇
×3.14で整理することは開成中の受験生ならば常識です。
その上で相似比・面積比・体積比の関係を利用し、出来る限り計算を簡略化することを心掛けましょう。
表面積は体積と比べてやや計算量が増えますが、この程度の処理量ならば確実に正解しておくべき問題です。
(2) 体積 〇 表面積 △
体積は(1)と同様に比を利用して丁寧に処理しましょう。
こちらは易しいです。
(2)の表面積は計算量がますます多くなってしまいますが、開成中合格を目指すならば頑張って答えを出し切りたいところです。
大問3
(1) 〇
「上下上下上下上」か「下上下上下上下」の2種類になります。
題意の確認問題にすぎないので、ここで失点してしまった開成中受験生は皆無だったことでしょう。
(2) (ア) 〇 (イ) 〇 (ウ) ×
(ア)は書き出していっても良いですが「2列目」と「4~7列目」のカタマリで分けて考えられると、(イ)以降にもつながり、なお良いでしょう。
(イ)は「1~2列目」「4列目」「6~7列目」で分けて考えましょう。
易しい問題ではありませんが、開成中合格を目指す受験生ならば正解しておきたい内容です。
(ウ)は丁寧な場合分けが必要です。
(ア)と(イ)が丁寧な誘導になっているので方針を立てることは難しくないですが、処理量が多いので完答できなくても仕方がないかもしれません。
(3) (ア) 〇 (イ) △ (ウ) △
(1)(2)とは観点が異なる問題で、「前の結果を利用する」よくある発想を利用します。
フィボナッチ数列やトリボナッチ数列、攪乱順列のような要領で、表で条件を整理しましょう。
もし解法が浮かばなかった場合は(ア)だけ正解できていれば充分です。
大問4
(1) 〇
長針の5分は30度ぶんなので、長針が短針より30度前にいる時を考えましょう。
題意さえ把握できれば、時計算の導入レベルの問題です。
最後の大問ですが、落ち着いて取り組みましょう。
(2) △
様々な解法が考えられますが、解答例では2つの状況を1つの図に落とし込みました。
開成くんの時計と正しい時刻の短針と長針が、それぞれどこからどこまで動いたのかを正確に把握しましょう。
(3) △
(2)と同様に、時刻Aと時刻Bそれぞれの場合で、条件に合う時刻を1つの図に落とし込んで整理しましょう。
時刻Bの状況が図では少し整理しにくいかもしれません。
開成中の最後の問題としては易しめなので、算数が得意な生徒なら是非とも正解しておきたいところですね。
このような出題となった2022年度の開成中の算数の合格者平均点は60.7点で、受験者平均点は50.7点になりました。
合格者平均点が約7割、受験者平均点が約6割というのは、開成中の算数として標準的な難度と言えるでしょう。
合格者平均点と受験者平均点の得点差は10.0点。
15点前後の差がつくことが多い開成中の算数としては、比較的得点差がつきにくい出題だったということが出来そうです。
得点差が小さかった要因としては、算数に苦手意識のある生徒でも得点をかき集めやすい問題が並んだことが挙げられます。
年度によって出題内容に大きな差が出る開成中の算数ですが、2022年度は典型題が多くを占め、努力が報われやすい出題となりました。
このように明確な捨て問が無い出題となった2022年度の開成中の算数で合格点を勝ち取るためには、まずは取れる問題を確実に見抜ける判断力が問われたと言えるでしょう。
また計算量がやや多めだったこともあり、早く正確な作業力が例年よりも問われているとも言えそうです。
上記の力を備えていて、〇の箇所を全て拾うことが出来れば、それだけで50点弱の得点に届きます。
あとは自身の得意な分野や内容の△の箇所で、1~2問ほど正解することが出来れば、算数に関しては充分に合格ラインに達することが出来るでしょう。
このように振り返ってみると、2022年の開成中の算数の出題は開成中を目指す生徒以外にも男女問わずに是非とも取り組んでみてほしい、難関校の算数のお手本のような問題構成となりました。
ただ2023年以降に開成中合格を目指す受験生の皆さんは、思考力・発想力寄りの問題にも数多く接しておくためにも、開成中の過去問を可能な限り遡っておきましょう。
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