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受験者平均点 53.3 点
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合格者平均点 68.6 点
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想定合格点 65 点
芝中学の特徴や算数の傾向分析、2018年の算数の分析はこちら
「遵法自治」の校訓のもと、生徒の自主性を尊重した教育で知られる芝中学校。
大学受験に拘泥しないアカデミックな授業内容は、大学進学後に改めてありがたみを実感する機会も多いと卒業生から聞くことも多いです。
もちろん、進学実績も堅調です。
そのぶん中学受験における難度は高く、特に2月4日の第2回入試では1000名を超える受験生を集めるほどの首都圏屈指の激戦となっています。
ここからは2021年の第1回の問題を通して、どのような学習を重ねることで芝中学校に合格できるのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:芝合格のため必ず正解したい問題
△:合否を分ける問題なので半分くらいは得点したい問題
×:解けなくても合否に影響は与えない問題
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
標準的な計算問題です。
約分できる箇所も多いので、あまりストレスを感じずに取り組むことが出来そうですね。
落ち着いて確実に正解しましょう。
(2) 〇
分数・小数混合の、やや面倒な逆算です。
今回は分数で統一して計算しましょう。
逆算は答えが出た後、□に代入して検算が出来るので、こちらも確実におさえたい問題です。
大問2 〇
食塩水の混合の基本問題です。
解答例では、まず15%と20%を混ぜ、それから7%を600g混ぜましたが、途中で濃度が分数になってしまい、手が止まってしまう受験生もいることでしょう。
もし解法に慣れているならば、1つの天秤で3つの食塩水の混合を整理して解いても良いでしょう。
大問3
(1) △
約数の個数の典型題です。
約数が5個=1×5より、同じ素数aを4個かけた時だと分かります。
(2) △
同じく約数の個数の知識問題です。
8個=(1×8)か(2×2×2)か(2×4)になるので、あとは作ることが出来る数を解答例のように調べましょう。
決して難しい問題では無いですが「約数の個数」の求め方に習熟していない受験生には、やや苦しい出題だったかもしれません。
大問4 △
損益の文章題の典型題です。
解答例では1箱あたりの原価を①円として、3通りの売り方それぞれで式を立てて、利益を比べました。
平均の面積図と考えても良いでしょう。
注意すべき箇所が比較的多いので、受験者層を考えると差がつく問題と言えるでしょう。
大問5
(1) 〇 (2) 〇
平面図形と比の基本問題です。
Aの型の面積の処理は、芝中に合格を目指す受験生なら確実に使いこなせる内容でしょう。
辺を分ける比も△ABCと△DEFで同じなので、計算処理もあまり多くはありません。
大問6
(1) 〇
等差数列の基本問題です。
310/7が何番目かを求め、確実に正解しましょう。
(2) ×
「ガウス記号」に関する難問です。
5と7の最小公倍数が35なので、5/7から35/7までを周期として値を調べると、以降はそれよりも、それぞれ5ずつ大きい数で周期になることが分かります。
処理量がやや多く、また最後が周期ちょうどで終わらないので、注意力も要します。
答えしか求められない芝中の算数ならば、いったん後回しにすることも戦略として有効でしょう。
大問7
(1) 〇
題意に沿って丁寧に作業しましょう。
丁寧に書き出すと6回で周期になることが分かります。
(2) △
後ろから丁寧に戻って考えます。
20個以上か未満に気を付けて調べましょう。
決して難しい問題ではないですが、このタイプへの慣れと作業力で差がつきます。
大問8
(1) △
普段のニュートン算と問われ方は異なるものの、本質は同じです。
(1)は10分で180人減った⇒20分なら360人減ると考えるだけの易しい問題でした。
(2) △
5カ所の時は10分で180人減り、4カ所の時は(1)より20分で120人減ることが分かります。
あとは解答例のように消去算として式を立てれば決して難しくはありません。
この大問も、算数的読解力で差がついたと言えるでしょう。
大問9
(1) △
蛇口Aを⑤、蛇口Bを⑥とすると、排水溝Cは⑪となることは容易に分かります。
ただその先の手掛かりは少し気付きにくいのかもしれません。
今回は「半分はAだけ」で、「残り半分はAとBで」と同じ時間当たりの量の比に注目すると、逆比で時間の比が求まります。
この問題も実力差が反映されやすいと言えるでしょう。
(2) △
(1)が出来れば易しい問題です。
全体の量をCで割るだけですね。
大問10
(1) △
芝中の算数で散見される「対称性を利用した平面図形」の難問です。
「問われているものがどこか?」から逆に考えて、何が求まれば良いのかを組み立てましょう。
解答例では△APCと①の辺の比で考えましたが、他にも△AEXに注目するなど様々な方針を考えることが可能です。
(2) ×
どう求めるのか適切な方針を立てにくい難問です。
△YPRに注目しても、なかなか進みません。
解答例では△AGDから△DYMと△AYKを除いて求めました。
他には②を左右で分けて考えても良いでしょう。
(3) ×
(1)(2)を含めて、合計4種類の三角形の面積が、それぞれもとの長方形の何倍で、何個ずつあるかを根気強く求めましょう。
◆まとめ
処理量が非常に多い問題なので、後回しにして見直しに時間を割くことも戦略としては有効だったかもしれません。
このような出題となった芝中の2021年度第1回の出題は、受験者平均点が53.3点、合格者平均点が68.6点という数字としては例年と同じくらいの難度となりました。
ただ例年よりも、△レベルの差がつく問題が多めなので、得点のバラつきが多かったと思われます。
合格のためには、難度が高かった大問6(2)と大問10以外で、どのくらい確実に得点を拾えるかが鍵を握っていたと言えそうです。
算数の解法知識の多寡や難問への慣れが問われる大問3・大問7・大問9あたりで確実に点数を重ねられた受験生は、芝中への合格を近づけられたのではないでしょうか。
2022年度以降に芝中の合格を目指す受験生にとっても、2021年第1回の出題は傾向を把握する点で非常に参考になる年度と言えるでしょう。
大問10も難問ではあるものの芝中の算数では頻出の「対称性を利用した平面図形」なので、理解は必須です。
あとは速さと比やグラフの難問にも慣れておきたいところですね。
芝中の算数は傾向が明確なので、対策が活きやすいことも特徴です。
頻出分野の典型題の解法知識を押さえ、テストにおけるスピード・取捨選択・見直しの戦略を確立することでも合格の可能性を高められます。
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