受験者平均点 106.9点
合格者平均点 85.1点
想定合格点 100点
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2022年春の東大合格者数は91名で全国4位。
卒業生における東京大学への現役合格率は約33%と、東大合格者数で41年間トップをひた走る開成と並ぶほどの合格実績を誇る聖光学院。
進学実績だけではなく、礼儀正しい生徒像や、自由放任な教育方針が多い首都圏トップ校随一の学習面の面倒見の良さ、施設の充実などでも中学受験生からの羨望を集め、都内から通学する生徒の割合も年々増加傾向であるそうです。
入試問題は各科目で中学受験の基本に沿った決して奇をてらわない難問が課され、上位生の学力を明確に測ることの出来る質の高いものになっています。
ここからは2022年 第1回の聖光学院中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきます。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつくので、可能な限り正解したい
×:正解できる生徒は少数、後回しにする判断も効果的
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。
分数⇔小数の換算も意識して、確実に正解しましょう。
(2) 〇
問題に与えられた条件に沿って立式しましょう。
基本的な消去算として処理することが可能です。
こちらも聖光学院中への合格を目指す受験生にとっては易しいでしょう。
(3) 〇
何をどう設定するのか判断に迷う仕事算の問題です。
解答例ではA・Bそれぞれのグループが何分仕事をすれば全体を終えるかに注目して立式し、逆比で処理しました。
決して易しい問題ではないですが、聖光学院中を目指す受験生は比の文章題の練習は充分に重ねてきているはずなので、合格者の大多数が正解できたことでしょう。
大問2
(1) △
聖光学院で頻出の場合の数の問題です。
題意に沿って具体的な数字をいくつか考えてみると、0を含む場合が条件を満たすことはすぐに分かるでしょう。
0を含まない場合も考え、911が抜けないよう気をつけたいところです。
(2) △
(1)より0を十の位か一の位に含む数は百の位が1~9までの、それぞれ19個ずつあることが分かります。
上手く誘導に乗りたい問題でした。
(3) △
(1)の911をヒントにして、111・211……911までは気づくことが出来るでしょう。
●21の場合も気づきたいところです。
(4) △
(1)~(3)の誘導に沿って考えます。
(3)の順番替えを正しく処理できれば正解するチャンスも充分にある問題です。
この大問は聖光学院中合格を目指す受験生でも差がついたと言えるでしょう。
大問3
(1) ア 〇 イ △
PとQそれぞれがCD上にいる時間を求め、共通する箇所から丁寧に調べましょう。
PがCに着く10秒後、30秒後、50秒後に注目できると処理量を減らすことが出来そうです。
(2) ウ △ エ △
どのような状況か掴みにくい難問です。
解答例ではダイヤグラムで整理し「10秒後に1往復目の帰り道にC」の場合と「15秒後に2往復目の行き道にD」の場合を考えました。
中学受験の問題としてはかなり高度ですが、首都圏トップクラスの精鋭が集う聖光学院中の受験生ならば、勝負したい問題です。
(3) △
(2)よりも方針を立てやすい問題ですが、やはり難度は高いです。
35秒後に点QがDに着けば良いので、15・25・55・65・95・105・135・145…cmの時を考えましょう。
問題の条件に沿うと2×35の70cmよりも進み、4×35の140cmよりも少ないので、条件に合うのは95・105・135の時だと分かります。
それぞれの状況で秒速を求め、1回目の条件を満たすことも確認しましょう。
たしかに難問ではありますが、こちらも聖光学院中への合格を目指す受験生なら正解を目指したいところでした。
大問4
(1) 〇
赤の中での順列と、白の中での順列を考えるだけの問題です。
こちらは易しいですね、落とせません。
(2) (ア) 〇 (イ) △
(ア)は易しいでしょう。
百の位の1を3色から選び、十の位の4を3色、一の位の4を2色から選ぶだけの問題です。
イは方針は立てやすいものの、処理量の多い問題です。
18の倍数のうち各位の数字が1~5だけで構成されているものを丁寧に書き出し、(ア)と同じ方針で1つ1つ調べましょう。
聖光学院の算数では途中式が採点対象とはならず、答えだけが求められるので、後回しにしても良い問題でしょう。
(3) △
千の位、百の位、十の位、一の位を並び替えると、全部で24通りの色・数の組み合わせが出来ることが分かります。
その平均が4444となることから、各位の和が16になる組み合わせを考えましょう。
なお今回は3色しかないので、4444が答えにならないことにも気を付けましょう。
大問5
(1) ア 〇 イ 〇
それぞれの動きの境目に注目してグラフに落とし込んでいきましょう。
動きは比較的単純なので易しく、また(2)の重大な手掛かりにもなるので確実に正解しておきたい問題です。
(2) ウ 〇 エ △
(ウ)は(1)で正しいグラフを描くことが出来ていれば非常に易しいです。
横が6cmで縦が4cmと簡単に読み取ることが出来ますね。
(エ)は(1)のグラフを重ねるだけですね。
聖光学院中の最後の問題としては拍子抜けするくらいの易しい問題でした。
誘導に乗って正解できた受験生も多かったのではないでしょうか。
このような出題となった2022年の聖光学院中の算数の出題は、
「合格者平均点が106.9点、受験者平均点が85.1点」
という、聖光学院中としては標準的な難度となりました。
難しすぎず、易しすぎない適切な難度設定の作問力はさすが聖光学院です。
合格ラインは100点前後でしょう。
この年度で合格ラインを越えるためには、まずは〇の箇所でほぼ完答することが必須でしょう。
ただこれでは70点ほどにしかなりません。
その後、△でどのくらい得点できるかが勝負になります。
この年次では捨て問レベルの難問は配置されていないので、自身の取れそうな問題を適切に見抜けるかがポイントです。
大問2や大問4の数の問題で満点近い点数が取れれば、合格をグッと引き寄せられたのではないでしょうか。
聖光学院中の2022年度の第1回の算数の出題は標準的な難度で、2023年以降に合格を目指す受験生にとっても非常に参考になることでしょう。
このレベルの問題なら間違い直しの際に解説を参考にすることで、全ての問題の解法を理解しておきたいところです。
なお聖光学院中の算数では「ダイヤグラムで整理すると状況を捉えやすい、条件の多い速さと比」や「難度の高い立体図形」が頻出です。
過去問演習を通して典型解法を確認しておきましょう。
聖光学院中は押しも押されもせぬ最難関校ですが、算数の出題は中学受験の基本に則った質の高い問題で構成されています。
対策がそのまま受験算数の学力向上にもつながりますし、是非とも良い準備を重ねていきましょう!
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