サカセルコラム

精読を日本語理解に活かす Column

国語の学習法

精読を日本語理解に活かす

2020.12.29

はじめに

みなさん、「精読」というものを聞いたことがあるでしょうか。聞いたことがあるとすれば、英語の授業を受けたときなのではないかと思います。実際、外国語学習の際に使用されることが多い手法でしょう。

しかし、なぜ、これを日本語の文章を読むときにも使用しないのでしょうか。外国語でこれを行うことで、結果的に文章の理解が深まり、早くなるのであれば、日本語でも精読によって、難しい文章の理解を早くしたり、その文章を思い返して議論の根拠にしたりすることが容易になるのではないでしょうか。

そこで今回は、精読をするときのポイントとして以下の5つ紹介しようと思います。

  • 1. 代名詞が何を示しているかを明確にする
  • 2. 接続詞の前後の関係を抑える
  • 3. 文章の構造を明確にする
  • 4. 文章中の筆者の主張に印をつける
  • 5. 文章を要約する

紹介するポイントを踏まえて日本語でも是非精読を試してくださると幸いです。

1. 代名詞が何を示しているかを明確にする。

英語では人称代名詞として

  • he
  • she
  • it
  • they

などが使われています。また、指示代名詞としてthis、theseなどがあります。これらが文章に登場した時はそれが人間を示しているのかどうかや、複数かどうかということでこれらの代名詞が何を示しているかを同定できました。

また、例えばフランス語では少し違い、人称代名詞に

  • il
  • elle
  • ils
  • elles

などが存在します。これらは人にも、モノにも、概念に使用できるため、少し気を付けなければいけません。その代わり、指示しているものが女性名詞なのか、男性名詞なのか、はたまた複数なのかで予測を立てることができます。また、指示代名詞も同じように文脈や文法要素から推測することになります。

これらと同じように日本語にも代名詞が存在します。それらが何を意味しているかを取り違えると文章の意味全体が変化してしまい、致命的な誤読をしてしまうことになります。それを防ぐために効果的なのは、代名詞からそれが示しているものに線を引く方法です。ほとんどの場合に、その代名詞の直前の部分に指示されているものが出てくるため、そこに注力して確認することになります。

このように代名詞からそれが指し示すものに線を引くと読み間違えない。

2. 接続詞の前後の関係を抑える

英語と同じように日本語にもたくさんの接続詞が存在します。我々はあまりに日常的に使用しているためにあまりその機能について意識することはないかもしれません。しかし、文章と文章とのつながりやその論理的関係を接続詞によって、著者はわざわざ示しているわけです。書き言葉の中、特に公文書などでは機能を厳密に使用していることがあります。そのため、それらを読むときは特に気をつけたほうがよいでしょう。

有名なもので挙げられるのは「及び」と「並びに」です。前者はただ事象やモノの羅列をしたいときに使用されるのに対し、後者は意味として違うものを並べたいときに使用するものです。普段生活している中では、あまりこの違いを意識することはないのではないでしょうか。ただ、読むときは頭を切り替えて、このような小さい違いにも気を配らなくてはいけません。

3. 文章の構造を明確にする。

今までのサカセルのコラムにも文章の書き方に関して紹介した記事は複数あります。例えば、「説明するチカラ」という記事では、何かを説明するときに以下の4つのパーツに分けて構成すると分かりやすくなるということが言われていました。

  • 結論:一番言いたいこと
  • 根拠:なぜ自分がそう考えたか
  • 具体例:伝えやすくするためにかみ砕く
  • まとめ:結論をもう一度おさらい

これはあくまで一例ですが、何かを説明する文章にもあてはまることです。つまり、文章には種類ごとにかたまりとしてそれぞれ役割が与えられていることがあるといます。

文章を書く時にこのようなことが想定されているということは、逆に文章を読む側としては、文章のかたまりごとの役割を明確にし、その関係性を明記するということが理解を深める大切な第一歩となります。

4. 文章中の筆者の主張に印をつける。

これは以前紹介した「速読」についての記事の中でも、登場した内容です。

過去記事:「大学でも役に立った速読技術とは?

ここで再び登場した理由は以前の記事と全く同じで、自分が読んでいる文章で一番大事なことは、「それを書いている人が読んでいる人に何を伝えたいか」だからです。早く読むときにそれを見逃してはいけないのに、正確に文章を読むときにそれを見逃してよいわけがありません。

もしかしたら先ほど述べた文章の構造を把握する作業を行うときに、これも同時に行うのがよい方法かもしれません。

5. 文章を要約する。

「精読」というように、読む技術のはずなのに、どうして書かなければいけないのかと疑問に思う人もあるかもしれません。しかし、私の経験だとこれが一番文章を理解し、上記の1~4を自然と進めることができる1番良い手段なのです。また、同時に一番大変な工程かもしれません。

文章を要約するということは、今読んだ文章の中からただ抜き出して、適当につなげるということではなく、筆者の思考過程や、物語の運びを自分の言葉で再現するということです。また、以前の記事で言われているように、理解したものを自分で作成してみることは、理解した内容の記憶への定着にもつながります。

過去記事:「記憶の定着

おわりに

いかがでしたでしょうか。これまで紹介した5つの点をまとめると以下の様になります。

  1. 1. 代名詞が何を示しているかを明確にする。
  2. 2. 接続詞の前後の関係を抑える。
  3. 3. 文章の構造を明確にする。
  4. 4. 文章中の筆者の主張に印をつける。
  5. 5. 文章を要約する。

これらは英語の授業などで1回は目にしたことのあることかもしれません。しかし、初めにも述べたように、日本語でこの精読を行うことで、文章の理解度は高まると思います。日本語でも哲学の本や、専門的な学術書など、初見では何が書いてあるのか分からないものを読む機会が大学などでは増えてきます。実際に私が大学で論文などを読むときにも実践していることなので、是非試してみてください!

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H.Y

この記事を書いたのは...

H.Y

慶應義塾大学4年
ハンドボール、スカッシュ、尺八と
マイナーなものをせめがち。

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