国立中学校で唯一の男子校の筑波大学附属駒場中学、通称「筑駒」
言わずと知れた首都圏最難関校です。
その大学進学実績は、まさに驚異的。
卒業生は約160名と首都圏トップ校の中でも最少にもかかわらず、2018年の東京大学合格者数が107名で、うち現役が78名という圧倒的な割合を誇ります。
ただ生徒たちは東大合格を目指して勉強一辺倒かというと、決してそうではないことも魅力です。
高校3年生まで運動会・文化祭・音楽祭に積極的に参加し、また学校での授業内容も決して東大受験を意識したものではありません。
個々の生徒が自由を謳歌する中で課題を見つけ、真摯に取り組む姿勢が、高い進学実績はもちろん、各種の科学オリンピックでも高い実績を上げていることにつながるのでしょう。
自律学習サカセルの池尻246教室は筑駒中にもほど近く、通っている生徒を見かけることも多いですが、筑駒生の生き生きした表情は印象的です。
入学試験に目を移します。
合否は算国理社の4科目が各40分で100点ずつと調査書100点の500点満点で判断されます。
算国の比重が高い中学校が多い中、主要4科目に加えて副教科までバランス良く頑張っている生徒を評価したいという意識の表れでしょう。
各科目に共通する力は「正しく読みとって、正しく判断する力」です。
算数の出題に注目します。
例年、大問4つで記述式、それぞれの問題において「問題を読んで」⇒「作業して」⇒「気づいて」⇒「気づいたルールを利用する」という構成になっています。
制限時間と比べて作業量が多く、時間との戦いになる受験生も多いことでしょう。
難度は年度によって上下しますが、合格点の目安としては通常の年度で7割、そこから1割上下するイメージで良いでしょう。
ここからは2018年の算数の出題において、どうすれば合格点に到達することが出来たかを考えてみましょう。
〇:筑駒中合格のために確実に正解したい問題
△:合否の差がつく問題
×:出来なくても差がつかない問題
大問1
(1) 〇
筑駒中らしい書き出しを伴う規則性の問題です。
題意に沿って書き出していくと、20列で周期になっていることが分かります。
(1)に関しては書き出しの途中が問われているだけなので確実に正解できるでしょう。
(2) 〇
(1)で求めた20列の周期を利用します。
2周期とあと10列を調べましょう。
4×2+4となりますね。
(3) 〇
(2)と同様、20列の周期を利用し、2周期とあと10列を調べます。
10×2+2と、確実に正解に結び付けたい問題です。
(4) △
例年なら新しい特徴を利用させる問題が配置されますが、今年は(3)までと同じルールを利用する問題になりました。
直感的に3段目が最大だと気づいてほしいところですが、丁寧に計算して確認しておきましょう。
大問2
(1) 〇
題意に沿って場合分けをして調べてみましょう。
Aが2枚の時は、選ぶカードが1枚の時から4枚の時まで、
Aが3枚の時は、選ぶカードが1枚の時から5枚の時までで考えます。
結果として公差が4の等差数列だと、すぐに気づくでしょう。
(2) 〇
(1)の規則を利用すれば易しいでしょう。
3+4×□+3+1と一般化できます。
(3) 〇
(2)で一般化した式から考えます。
この大問も非常に易しいので確実に全問正解したいところです。
大問3
(1) ア △ イ △
平行線と相似を利用する平面図形の良問です。
図の赤い三角形の相似と、青い四角形が平行四辺形であることを利用しましょう。
(2) △
(1)の①②③にあたる補助線を引くと、3つの正三角形と3つの平行四辺形に分けられます。
あとは相似に注目して丁寧に処理しましょう。
大問4
(1) 〇
水槽の基本問題です。
正面から見た図にかかった時間を書き込みましょう。
(2) 〇
アイウの順に丁寧に処理するだけの問題です。
最終問題としては非常に易しいと言えるでしょう。
このように見ていっても、2018年は非常に易しかったと言えそうです。
筑駒受験生が間違える可能性があるのは大問1(4)と大問3くらい。
算数における合格ラインは上記の問題が半答として80点強と言えるでしょう。
算数を武器に差をつけたかった生徒にとっては厳しい受験になったのかもしれません。
2019年以降、筑駒合格を目指す受験生は、このセットなら満点を目指してほしいところです。
例年はもっと高度な気づきが合否を分けるので、難問にも丁寧に粘り強く取り組めるよう練習していきましょう。
無事に筑駒合格を果たすことが出来れば大きな自信を手に自由を謳歌することが出来るでしょう。
その上で皆さんが更に大きく羽ばたくことを期待しています。