合格最低点 340/500 点
算数の想定合格点 75点
筑波大学附属駒場中学校の学校の特徴や傾向分析、2018年の分析はこちら
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言わずと知れた日本屈指の進学校の筑波大学附属駒場、いわゆる筑駒。
卒業生の約半分が東京大学に現役で進学する実績は他の追随を許しません。
もちろん中学受験の入学難度も首都圏随一。
生半可な努力では到底、合格を手にすることは出来ません。
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ここからは2020年の算数の問題を通して、どのように取り組めば合格のチャンスを得られたのかを考えていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:正解できなくても問題ないが、部分点は拾っておきたい
×:完答は厳しい、数点でも入れば御の字
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) 〇
不定方程式の基本問題です。
「どちらも少なくとも1個は買う」という条件に気を付けましょう。
筑波大学附属駒場中を目指す受験生で、正解できない者はさすがにいないでしょう。
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(2) 〇
3つの不定方程式ですが、非常に易しいです。
解答例のように先に1つずつ買っておいて、表で調べていけると良いでしょう。
ここまでの2問は絶対に落とせません。
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(3) △
(2)と同様に不定方程式として力技で解くことも、解法としては悪くはありません。
ただ40分という極めて短い制限時間を考えると、他の解法を考えるべきでしょう。
XYZいずれも(2)の金額に3円ずつ足りないことを利用し、解答例のように考えると、XYZの個数の和を絞り込め、以降は3段つるかめとして解くことが可能です。
難問ではあるものの、首都圏最高峰の学力を備える筑波大学附属駒場中の受験生ならば、一定数以上が何らかの方法で完答できたと考えられます。
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大問2
(1) 〇
題意の確認問題です。
百の位に0が来ても良いという条件を意識して、作ることの出来る6個の数の総和を求めましょう。
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(2) △
解答例のように、まずは「もとの数」の3つの数字を「AAA」「AAB」「ABC」と場合分けをすることが必要です。
AAAの場合に作ることが出来る数は1個、AABの場合に作ることが出来る数は3個、ABCの場合に作ることが出来る数は6個になります。
あとは「もとの数」の百の位が1であることに注目して調べましょう。
この小問を正解しきるだけの注意力は備えておきたいところです。
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(3) ×
(2)と同じように、3種類で場合分けをして考えましょう。
今回は特にABCの場合の注意点が多いので、正解を導くことは大変です。
まずは111×(A+B+C)×2>2020より、各位の和が10以上になることを確認しましょう。
次に10□、12□、13□・・・・19□までで、各位の和が10以上で、かつ数字がそれぞれ異なるものが何通りずつあるのかを丁寧に調べましょう。
時間がかかる問題なので、後回しにしても問題ありません。
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大問3
(1) 〇
どの塾でも1度は扱う「タクシー料金」の基本問題です。
「まで」に注目し、料金が何回、加算されたのかを計算しましょう。
この小問はさすがに落とせません。
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(2) 〇
距離による加算と時間による加算を、それぞれ計算しましょう。
なお時間による加算を「時速42kmで3分で80円⇒距離2100mで80円」と言い換えても良いでしょう。
合格のためには、この小問まで確実に正解する必要があります。
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(3) △
解答に向けて様々な方針が考えられますが、いずれにせよ作業力が必要です。
解答例では(2)を踏まえて、ある程度、目星をつけてから加算のタイミングで調べあげました。
その他、280mと2100mの最小公倍数の4200mに注目し、その中で何回、加算されるかを考えても良いでしょう。
丁寧な検証を必要とする問題ですが、筑波大学附属駒場中の受験生にとっては、決して難しくはありません。
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大問4
(1) 〇
解答例では基本的な和差算として解いてみましたが「長方形の中の1点から四隅に直線を引いた時、上下の和と左右の和が等しい」という特徴で解いてみても良いでしょう。
間違える要素はありません。
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(2) 〇
解答例ではこちらも和差算で解いています。
この斜線の図形がアとイの差になる、ということからウの関係性も考えておけると(3)につながります。
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(3) ×
どこから手を付けたらよいのか気づきにくい難問です。
ただ(2)が誘導であることに気づくことが出来ると幾分、解きやすくはなるでしょう。
Qの位置を任意に設定して糸口を掴みましょう。
すると解答例のような方針が見えてきます。
ただこの問題の本質を見抜き、時間内に正解することは難しいので、他の問題に時間を割いた方が、合格のためには有効かもしれません。
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このように2020年度の出題も例年通り大問4つ、各大問に小問3つという構成になりました。
非常に難度が高かった2019年と比べると各大問の前半の小問が易しかったぶん、取り組みやすいと感じた受験生も多かったことでしょう。
ただ〇を取り切ったとしても、△以上の問題は得点差が明確につく出題なので、算数の実力差が合否に直結したと言えるのではないでしょうか。
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合格最低点が340/500で、算数は比較的点数を拾いやすいということを考えると、合格ラインは75点/100と想定されます。
大問1で 16以上/25
大問2で 12以上/25
大問3で 16以上/25
大問4で 16以上/25
は必ず得点し、ここまでで60点。
あと小問で1つと部分点を取ることが出来れば、充分に合格点。
算数が原因で不合格になることはありません。
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このように2020年は各大問の(1)(2)の易しさが合格ラインを押し上げる結果になりました。
ただ筑波大附属駒場中への合格を目指す受験生なら、2020年の出題であっても、大問4の(2)までは満点を取る気概で日々の学習にあたりましょう。
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なお大問1と大問2の整数の特徴をテーマに「調べ」「気づき」を求める問題は、開成中や駒場東邦中を目指す生徒にとっても非常に学習効果が高いと言えるでしょう。
大問3の丁寧な作業力は桜蔭中の対策にもつながります。
大問4の誘導への気づきは麻布中でしょうか。
もちろん栄光学園中など、他の難関校の対策にも役立ちます。
このような学習効果の高い良問が揃っていると、2020年の出題に関しては言えそうです。
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最高峰を目指す受験生の皆さんの健闘を祈ります。
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