-
受験者平均点 34.0 点
-
合格者平均点 43.8 点
-
想定合格点 40 点
栄光学園中学の特徴や傾向分析、2018年の分析はこちら
栄光学園中学の2015年の算数の入試問題の分析はこちら
首都圏を代表する男子進学校で、神奈川男子御三家の筆頭としても知られる栄光学園。
特別な知識を必要とせずに受験生の柔軟性を測る算数の独創的な出題でも知られる難関校です。
ここからは早速、2021年度の問題を見ていきましょう!
今回使用する指標
〇:栄光学園合格のため必ず正解したい問題
△:合否を分ける問題、部分点がある場合は確実に拾いたい
×:解けなくても合否に影響は与えない問題で、部分点も少し取れれば充分
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
見える面は1、4、5になります。
頭の中で想像して回転させられれば良いですが、そこまでの立体感覚が無い場合は解答例のように頂点を記入して論理的に考えましょう。
4の面と5の面は辺クキで接していて、1の目はクを含む面に位置しているので、解答例のような配置になることが分かります。
(2) 〇
(1)の頂点を利用して考えましょう。
キクの位置関係が分かるので、順番に頂点をふっていきましょう。
(3) 〇
順に1、3、4、6の目が出たことが分かります。
(1)の図1から頭の中で回転させて解いても良いですし、解答例のように頂点をふって考えても良いでしょう。
正面から見た2の向きが、1と6、3と4が同じになることも確認しておきましょう。
(4) 〇
解答例のように1回目は1か2、2回目は3か4、3回目は4か6の目が出たことが分かります。
(1)(3)から2および3の面が正面に来た時の位置関係が分かるので、出た目を絞り込むことが可能です。
大問1は理屈よりも感覚で満点を取っておきたい内容でした。
5分程度で大問を完答できた受験生も多々いたことが考えられます。
大問2
(1) 〇
円の転がり移動の基本的な問題です。
解答例のように「動きの境目」に注目して、丁寧に図で整理しましょう。
栄光学園合格のためには絶対に落とせません。
(2)① 〇
(1)と同様、動きの境目に注目した丁寧な作図が必要です。
誘導も丁寧なので確実に正解しましょう。
直線部分は円と接線に注目し、曲線部分は円周に対応することが分かります。
(2)② 〇
①の図をもとにして丁寧に処理しましょう。
上手く等積変形すると、1辺50cmの大きな正方形から、円の半径である1辺10cmの小さな正方形を除くと考えることが出来ます。
この考え方が(3)の誘導にもなっています。
(3) ×
正方形の周りを円が通過する面積は容易に式を立てることが出来ますが、円の周りを正方形が通過する面積は、なかなか考えにくいかもしれません。
(2)の発想を利用して解答例のように等積変形すると、
20×20×3.14+20×□×4が、斜線部の4つ分だと分かります。
斜線部は10×□×2個+正方形なので、正方形の面積が求まります。
その他の方針も考えられますが、□×□の計算を多用する数学的な発想になりがちであることも踏まえると、かなりの難問と言えそうです。
(4) △
丁寧な作図力が問われる良問です。
(2)の発想を利用して、直線部分と曲線部分を丁寧に作図しましょう。
全体の1/3周まで丁寧に描けば、あとは同じ状況を繰り返すことが分かります。
(3)とのつながりは薄いので、もし(3)が解けなかったとしても目を通す必要がありました。
大問3
(1) 〇
題意の確認問題です。
数直線で状況を整理しましょう。
この問題で黒い部分と透明な部分で1つの周期と考える視点を持っておきましょう。
(2) △
(1)より10cmがBの周期の長さの倍数になっていることが分かります。
4~5cmが黒になるので、黒の部分が1cm以上になることを確認した上で、10÷1、10÷2、10÷3…と順に調べましょう。
4~5cmが黒になっているかの検証も必要な難問です。
おそらく少々の抜けがあっても部分点はもらえるので、分かった範囲で答えを書いておくことも大切です。
(3) △
(2)と同じように考えます。
Bの周期の長さの倍数が29/3cmになるので、同じ内容に注意しながら丁寧に調べていきましょう。
今回は4周期まで調べれば、答えを求めることが可能です。
(4) ×
発想の種類は(2)(3)と同じですが、注意すべき内容が増えます。
今回はBの周期の長さの倍数が14cm以上15cm未満になり、4cm~5cmと9cm~10cmが黒になる必要があります。今回は最大で7周期なので、それぞれの境目の状況を調べていきましょう。
検証すべき量が多く、完答することは非常に難しい問題でした。
大問4
(1) 〇
2以外の素数はすべて奇数なので、2×7番目の奇数の素数となります。
題意の確認レベルなので、失点した受験生はほぼいないでしょう。
(2) 〇
論証の問題ですが易しいです。
4つの連続数のうち1つは4の倍数⇒4=2×2 という要素を含んでいれば満点答案です。
4の倍数と言うことにしか言及していなければ減点対象となったことでしょう。
(3) △
やみくもに調べて行っても正解できますが、解答例のように素積数を分類すると調べやすいでしょう。
別のグループから3つ選択すると考えると、5×〇を手掛かりに、あまり時間をかけずに正解することが出来そうです。
(4) △
(1)(2)(3)が鮮やかな誘導になっている良問です。
・7つの連続数のうち6つが素積数 ⇒ (2)より1つは4の倍数
・4の倍数以外の2つの偶数の差は4 ⇒ (1)より2×差が2の素数(双子素数)
あとは(3)より100以下の整数には存在しないことを確認し、双子素数が(59,61) (71,73) (101,103) (107,109) (137,139)…と調べていきましょう。
本年度も2018年以降と同様に大問4つの出題となりました。
小問数は実質16問で、こちらも例年通りと言ったところでしょう。
ただ難度は高めで、この5年では最も平均点の低い結果となりました。
出題の内容や受験生に求めている力は例年と同じか、むしろより色濃いものになっているので、より「栄光学園の選抜試験」としては適切な出題だったということが出来そうです。
平均点が下がった要因としては、
「ほぼ全員が正解できるというサービス問題が例年より少ない」
「中学受験における典型題が大問として出題されなかった」
「時間内に完答できそうな大問が大問1しかない」
などが挙げられそうです。
そんな2021年度の栄光学園の算数において合格点を取るための戦略を考えてみましょう。
全16問の小問の内訳は〇が9個、△が5個×が2個なので、〇の箇所を確実に正解することが出来れば、合格の可能性を高めることが出来たようです。
大問1を完答できたかどうかが、合否を分けたと言えますね。
もし大問1を完答できなかった場合は、△の箇所でかなりの得点を積み重ねる必要があり、かなりの苦戦が想定されます。
2022年以降、栄光学園への合格を目指す受験生の皆さんは、2021年の難問のセットにおいても一通り発想や作業の仕方を理解する必要があります。
栄光学園が求める柔軟な思考力や丁寧な作業力、そして「気づき」を身につけられるよう頑張る皆さんを心より応援しています。
サカセルでは、中学受験に関する皆様のご質問やご相談に中学受験のプロが回答いたします。お困りの際にはお気軽に下のお問合せフォームよりご連絡ください。
にほんブログ村にも参加しています。ぜひ下のバナーをワンクリックで応援もお願いします!