この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。
個別指導・家庭教師の自律学習サカセル
サカセルコラム
四谷大塚・早稲アカ5年生 7月度組み分けテストはどう対策する?国語編 Column
大問1 漢字の読み書き 10問 10点分
大問2 知識問題 20〜30点分程度
大問3 初見の長文問題1 50〜60点程度
大問4 初見の長文問題2 50〜60点程度
※長文問題は論説文・小説文の出題となります。
※範囲は16〜20回です。
※2022年の平均点は約85点です。
意味を辞書的に覚えるのではなく「こういう文脈で使う言葉だ」と例文で覚えるようにしましょう。また、何度も暗唱をするよりは問題を多く解くほうが記憶の定着には効果的です。
外来語はここ2年、大問2には出題されておらず、ことわざが2年連続で出題されています。漢字とことばの中から出題確率が非常に高いです。必ず取り組みましょう。
配点は大きくないですが、出題されています。
対義語は論説文を読む上での二元論、対比の構造の理解にも繋がります。
意味とセットでこの機会に取り組みましょう。
組分けテストで点数を取ることのみを考えた場合、季語は捨てて良いです。
2点程度の配点なので、これを覚える時間で算数の1テーマに取り組んだ方が点数が上がります。
ちなみに朧月夜と入道雲は直近2年連続で登場しています。
今回の知識範囲の中で最も配点が大きいのが、敬語になります。
確実に識別できるようにしましょう。
組分けテストで出題されやすいのは「傍線部が尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれか判別する問題」です。そのため、「来る」の尊敬語は何か?といった知識の優先順位は高くありません。(もちろん一般常識として知っておいてほしいところではあります)
敬語の識別においてのポイントは「敬意の対象が誰か?」です。
・敬意の対象が相手→尊敬語
・対象が自分or身内→謙譲語
・敬意の対象が不明→丁寧語
以上で練習してみてください。
組分けテストの文章題全体の特徴として「抜き出しが非常に多い」ということが挙げられます。SAPIXのマンスリーテストでは2〜3問程度なのに対して四谷大塚の場合は7〜8問ほど出題されます。(2022年には13題!) さらに記述問題の配点があまり高くなく、90字の記述を書いても8〜10点程度しか入らないなんてことも少なくありません。「四谷大塚のテスト」で高い偏差値を取ると考えた場合、選択肢や抜き出し問題などの客観問題で稼ぐということが基本となるとお考えください。
入試での優先事項は 記述>選択肢>抜き出し となりますが、四谷大塚の組分けテストでは 選択肢>抜き出し>記述 となります。この特徴に注意をして時間配分を考えていくと良いでしょう。
抜き出し問題の攻略として意識しなければならないことは「いかに効率よく探すか」です。時間をかけずに点数を稼いでいきましょう。
解く上でのポイントとしては「探す上でのヒントを拾うこと」「捜索範囲を決めること」です。ヒントは空欄の前後や設問の中、傍線部の前後などに書いてあります。このヒントをしっかり拾いましょう。そしてその上で捜索範囲を決めましょう。
注意点は「いきなり細かく探すのはNGであること」「捜索範囲が決まらない場合はとりあえず前後を探して、そこにもない時は後回しにすること」です。
時間との戦いになりますので、捜索範囲が決まらず、前後にも書いてない場合はサクっと捨ててしまって構いません。他の設問でしっかり稼いでいきましょう。
全体を通して、四谷大塚の組分けテストはとにかく時間との戦いになります。毎年、国語の苦手なお子様が口を揃えていうのが「時間が足りなかった」です。そういったお子様は、平均点もあまり高くないことを考慮して、100%の力で問題に取り組んで時間が足りなくなるよりは、80%程度の力で良いので全ての問題を解き切る、ということを意識して取り組んでみてください。
ここからは各単元の重要な読解ポイントをお伝えしていきます。
随筆文とは「事実や筆者の体験などを通して、筆者の意見や感想を述べたもの」です。詳しくは6年生の4月組分けテストの記事と5年生の6月の組分けテストの記事に載せていますので、気になる方はご確認ください。
四谷大塚・早稲アカ6年生 4月度組み分けテスト対策 国語編
四谷大塚・早稲アカ5年生 6月度組み分けテスト対策 国語編
意見には必ず理由があります。
5年生だと、この当たり前の理屈を理解していないことがあるので、まずはそれを確認しましょう。
例
・意見
Nintendo Switchが欲しい
・理由
スプラトゥーンをやりたいから
みんな持っているから
この理由の部分を意識したことがないお子様が多くいます。まずはなんでも構わないので、上記のようにお子様に意見と理由を言わせてみましょう。また、先に意見の方を何か言って、その理由を考えさせたり、その逆をしたりするのも良いでしょう。
次に、この意見と理由が説明的文章や説明型の随筆文では必ず登場するということを確認しましょう。意見なき理由は書かれませんし、理由なき意見も書かれません。必ず意見と理由はセットで登場します。
文章を読みながら、意見の部分にチェックをさせ、その後理由がどこに書いてあるかチェックさせてみる練習がおすすめです。国語が苦手なお子様の場合、そもそも意見が何か分かっていない場合があるので、意見を捉える練習にもなり、一石二鳥です。
文と文の関係③因果関係では前述の意見と理由の練習ができます。
ぜひ取り組みましょう。
また、理由に関係する接続表現である「なぜなら・だから」が登場します。順接などの言葉はテストにも入試も出ないので覚える必要はありませんが、接続表現を正しく使えるかどうかは確認しましょう。
さらに、ここで「出来事・気持ち・行動」という内容が登場します。これは物語文における「はき気フレーム」という超重要事項です。(名称は勝手にそう読んでいるだけです)
必ず確認しましょう。
・背景
背景情報。人物像やきっかけ前にあった出来事などが入る。
・きっかけ
とある気持ちになった直前のきっかけ。必ずしも出来事とは限らないので予習シリーズに記載の「出来事・事件」という覚え方はせず、あくまで「きっかけ」で覚えておくと良い。
・(意味付け)
背景が入ったり、きっかけ→気持ちの帳尻合わせをしたりするためのもの。
御三家クラスの難関中を目指す上では必須。書かないことも多い。
・気持ち
気持ち。心情語を入れることが多い。(安心・後悔など)
・行動、反応
気持ちによる行動反応です。ここが傍線部になることが多い。
例
背景:明日の食べ物にも困るほどの貧乏な主人公
きっかけ:1月分の給料が入った財布を落とした
(意味付け:明日からどう生活すればいいのか分からず)
気持ち:絶望
行動、反応:目の前が真っ暗になった
上記のように利用します。特に記述で効果を発揮しますので、ぜひ使ってみてください。
16回の意見と理由と同じ内容です。
予習シリーズでは分けて書かれていますが、同じことなので16回で学習したことをしっかり復習しましょう。
文と文の関係④具体と抽象では、非常に重要なテーマ「具体」と「抽象」の考え方が登場します。基本的には説明的文章でよく利用する概念なので説明的文章が範囲ではない今回登場する理由はよく分かりませんが、重要なので時間があれば必ず取り組みましょう。
まず、具体と抽象の概念を理解できているか確認しましょう。
簡潔に述べると「意味が詳しく、細かいことが具体」「意味が広く、まとまっていることが抽象」です。
例
哺乳類
犬
トイプードル
トイプードルのルイ
下に行けば行くほど詳しく細かくなり、世の中に存在する数が少なくなっていきますね。逆に上に行くと、意味が広く、世の中に存在する数が多くなります。
つまり、上が抽象で下が具体です。まずはこれが単語レベルで判断できるか確認しましょう。
次にこれが文章レベルで判断できるか確認します。
予習シリーズのP184・185などの文章でも良いと思います。
そして、最終的に見極めた抽象に線を引きましょう。当たり前ですが、抽象の文を全て覚えておくことはかなり難しいです。線を引き、後で問題を解くときに使えるようにしておきましょう。
今回は物語において重要な主題を捉えるという回になります。
主題とは「登場人物(主に主人公)を通じて筆者が読者に伝えたいこと」と教えています。基本的には主人公を追っていくことが主題を捉える上で重要なのですが、2024年の開成中において主人公ではない人物が主題の中心となっていたので「登場人物」という書き方をしています。
中学受験においては、よく出る典型的な主題のパターンが6つあり、これを「6大テーマ」という名称で教えています。「成長・愛・恋・弱者・金・二元論」が6大テーマであり、これらのテンプレートを知識として知っておくことが成績向上に繋がります。
今回はその中でも超重要テーマ「成長」についてお話しします。
基本的に多くの文章において主人公は成長します。ここでいう成長は肉体的な成長ではなく、精神的な成長です。そして、何をきっかけに精神的成長を遂げたのかをしっかり追っていくことが物語の読解の骨子です。そして、この主題を問う問題が入試、とりわけ難関中では出題されます。組分けテストでも6年生の頃にはこの主題を問う問題が選択肢で数問出題されています。5年生のこの時期から意識的に取り組み、6年生に備えましょう。
難しく感じる場合は、以下の図を作りながら文章を読んでみてください。ポイントは「前の状態」「きっかけ」「後の状態」の3つをしっかり捉えられるかどうかです。
今回のテーマは主題というよりは「場面背景」について予習シリーズの中で触れられているので、国語の重要なテーマ「人物像」についてお話ししていきます。
人物像とは登場人物の「状態・環境・生い立ち・性格・時代などで形成された価値観」です。
・状態 → 難聴、盲目、義足、LGBTQなど
マイナスの状態が非常に多く出題されます。またLGBTQの話題はトレンドで、入試でも頻出です。確実に知識として知っておきましょう。
・環境 → 家庭環境、社会の状態など
父が厳格な警察官である家庭と、父が国民的俳優である家庭、父が一般的なサラリーマンである家庭では、子供の価値観は大きく異なります。生い立ちもほぼ同義ですね。
この人物像は物語において必須の情報です。例えば、「Aくんが志望校に合格した」という情報と「絶対に合格はできないと言われていた志望校に父からの強烈なプレッシャーをはね除けAくんが合格した」という情報では後者の方が物語としての厚みがあり、惹きつけられやすいかと思います。そして、主題に関わってきたり、上記で紹介した「はき気」の「背景」にあたることがあったりするので、問題にも大きく影響します。
以上の情報を文章中から拾うことが重要です。
上記の情報が重要であるという認識ができていないと、そもそも必要な情報として脳が認識せずに、スルーしてしまうことが多々あります。まずは人物像を認識するというところから始めましょう。線を引いておくことがおすすめです。
次に、本文中で拾った人物像の情報から登場人物がどういう価値観を持っているのかを掴みましょう。「この登場人物だったらAという場面でこんなことを思い、Bという場面だったらこんなことを思うだろうな」というところまで考えられるようになったら高い読解力を有していると言えるでしょう。
物語を読み慣れているお子様はこれらの作業を自然に、無意識下でやっており、それが読解力に繋がっているわけです。これが物語における感覚の正体です。(もちろん一部です)裏を返せば、この動きを意識的に行えれば、感覚が優れているお子様と同じ読解力を発揮でき、そして意識的にやっている分、ムラなく安定して力を発揮できます。これが国語の点数の乱高下を防ぐことにも繋がります。
国語の解説は以上となります。少しでもお役に立てたらと思います。もう少し詳しく聞きたいという方はお気軽にご連絡くださいませ。
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松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。