2022年度に改訂があった、5年生の予習シリーズ。私がこの仕事を始めてから3度、表紙が変わる大きな改訂がありました。
5年下の教材で見たことがあった国文法の内容が、5年上の第1回から登場していたり、語彙をカバーする内容が「漢字とことば」に追加されていたりしています。
以前よりもさらに難易度が上がった四谷大塚の組分けテスト。
どのように対策を取れば良いのか、こちらでは紹介していきたいと思います。
【構成(毎度同じなので再掲となります)】
50分 配点・出題形式は一例です。
大問1 漢字10点 書き取り10問
大問2 知識10点 選択肢7問
語彙7点 選択肢3問 書き取り2問
大問3 物語文・小説文66点 選択肢5問、抜き出し4問、記述2問
大問4 説明文・論説文57点 選択肢3問、抜き出し4問、記述1問
まず、設問の分量が多いです。
50分の中で40問程度の設問に取り組まなければなりません。
四谷大塚主催の模試では、「文章を読む時間がなくて、文章を読まずに解いた。」というコメントが出ることも少なくないです。
読むのに時間がかかる場合、解く設問に優先順位をつけなければならないでしょう。
記述問題に関しては、90字など文字数指定が厳しい問題であるにも関わらず、5~8点など低めの配点がつけられていることも。
入試問題において、取り組むべき優先順位は 選択肢>記述>抜き出し となることが多いです。
本番で「記述を書かない」ことは致命傷になるケースが多いのですが……。
「四谷大塚の模試で点数を取る」ということに主眼を置く場合、記述問題の優先順位を下げた方が点数が取れるということもあり得ます。
どうしてもテストが解き終わらないなど、「設問を一問でも多く解くことを目指さなければいけない」場合は知っておいてもよいかもしれません。
次に、問われる内容が多岐に渡るということです。
中学入試は、傍線部の内容説明・理由を中心に設問が作成されることが多いです。
四谷大塚の模試は、傍線の表現の意味、場面・意味段落分け、指示語の中身のチェック、▶︎マークの入った範囲の中で気持ちの変化を問うものなど、様々な内容が聞かれます。
その時、その文章でのみ当てはまる内容でなく、「時間にあたる表現があったら、文章を読んでいる最中に◯をつけておく」など、どんな動きをして答えを探すのか、自分なりに取り組み方をある程度決めておく必要があると思います。
最後に、読解の抜き出し問題が多いです。
それに伴って、選択肢問題は少なめです。
「本当は記述で出題したい」問題を「抜き出し」形式に置き換えて聞いているという印象があります。
「設問で聞かれている内容」に散りばめられているヒントが、「文章のどのあたりにあったのか」が見つけられるかどうかで正解するかどうかが決まることが多いです。
本文に線を引いたり、マークをつけたりなどして、「本文のどのあたりにどの話があったのか」を一読後、少しでもおさえられる動きが取れると良いでしょう。
【対策(毎度同じなので再掲となります)】
漢字:漢字とことばの総合回 「総合復習問題」
知識:予習シリーズの総合回 「大問3以降の知識問題」
語彙:漢字とことばの総合回 「第◯回 総合」を解く
読解:演習問題集の総合回、予習シリーズの総合回大問1・2
基本的に上記の内容に取り組めば、テストの対策になります。
読解に関しては、全く同じ問題が出るわけではありません。
「自分なりの取り組み方」を見つけて、問題演習をして精度を上げていくことが大切です。
漢字・知識に関しては、選択肢で問われていたものが、書き取りで問われるなど、少々出題にアレンジが加えられていることもあります。
とはいえ、「出題されている内容」はテストも問題集と同じなので、取り組んでおくべきでしょう。
【文章のジャンル・読解テーマ】
6回 物語・小説③ 心情変化①
・登場人物の気持ちはなぜ、どのように変化したのか
文章ジャンルは文学的文章(小説文)です。
例)ホワイトボードから大きな音がしたので、なんだなんだ?と考えた私は、視線を前に向けた。
ほんの1秒の出来事ですが、状況の説明に42文字を要しています。
こういったちょっとしたことが時間の変化とともに積み重なり、文学的文章は展開されます。
行動や気持ちがわかる表現を見つけたら、それに至った「きっかけ」をおさえることができるか、
また、それを繰り返していった中で、「主人公の精神的成長をおさえることができるか」が文章を読み取る上でのポイントとなります。
精神的成長とは、「それまでに気付けなかった・わからなかったこと」が、「変化するきっかけ」をもとにして「気付けるようになる・わかるようになること」を指す、と増田は教えています。
細かなきっかけ探しを元に、主人公の精神的成長の内容・そのきっかけがおさえられるようになれば、文章は「読めた」と判断して良いでしょう。
集団授業の場だと、カリキュラムが決まっている分、とにかく「設問の取り組み方」に終始しがちですが、この時期に「正しい読み方を学ぶこと」の方が大切だと私は考えます。
7回 物語・小説④ 心情変化②
・場面をまたいで、登場人物の気持ちは、なぜ、どのように変化したのか
文章ジャンルは引き続き文学的文章(小説文)です。
前回の内容をおさらいしながら、場面をきちんと意識できるかがポイントです。
場面とは、「時間・場所・人物」の変化に注目して、ひとつのかたまりとして切り分けられた内容を指します。
塾によっては「トキ・バ・ジン」などと習いますね。
残念ながら、この切り分けだけできても文学的文章(小説文)を読めたことにはなりません。
前回の内容である「登場人物の気持ち」を追いかけるときの助けとなる内容となっています。
場面分けが上手くできれば、「抜き出し問題」の答えを探す際に「同じ場面から探す」など、答えを探すときの範囲決めにつながることも。
文章全体をおさえる際の助けになる内容なので、「場面の切り分け」の作業は慣れた方が良いでしょう。
8回 説明文・論説文③ 意味段落①
・形式段落のつながりを考えて全体の構成を掴む
文章ジャンルは説明的文章(論説文)です。
形式段落とは、「1字下がって始まる文のかたまり」
意味段落とは、「形式段落を、内容に注目してチーム分けすること」
と増田は教えています。
7回で触れた小説文の場面分けに近く、文章全体を把握する助けになる作業です。
意味段落の切れ目は「その後何度も出てくるキーワードが初めて/最後に登場するところ」に入ります。
意味段落分けができれば、文章全体の最後/最初に注目するのと同様、意味段落の最後/最初の段落に「筆者の意見」や「抽象」が載っていることが多いので、文章全体の意見をおさえやすくなります。
いきなり文章全体を3〜4つに分けるのが難しければ、文章全体を前半と後半に分ける、などして切れ目の数を減らしてみると、作業に慣れやすくなります。
9回 説明文・論説文④ 意味段落②
・文章の組み立ての基本型
文章ジャンルは引き続き説明的文章(論説文)です。
文章の結論が最初にあれば「頭括型」
文章の結論が最後にあれば「尾括型」
文章の結論が最初と最後の両方にあれば「双括型」
という文章構成のテンプレパターンになります。
「◯◯型」という名前を正直どうでも良いです。
文章のどのあたりに結論や筆者の意見があるのか、「場所の勘どころ」を掴む回です。
8回で学んだ「意味段落分け」を習得していれば、意味段落分けで切り分けた範囲の最初/最後を見て筆者の意見を拾う、など応用することもできます。
単純に、「筆者の意見は文章の最後もしくは最初」と知っておくだけでも効果はあるでしょう。
【狙われそうな知識問題】
予習シリーズ第10回
用意された例文と同じ内容や仲間外れを探す問題は中学入試でも出題される形式です。
文法用語を正確に答えられなくても、「見分け方」がわかれば十分です。
何なら「雰囲気」で解けてしまうこともあるでしょう。
ちょっとしたポイントを列挙していきます。
予習シリーズ5年上を見ながら読んでいくと、イメージが湧きやすいと思います。
大問3 「れる・られる」の識別
「受身・尊敬・自発・可能(うけみ・そんけい・じはつ・かのう)」「受・可・自・尊(じゅかじそん)」など、これに関しては意味を音で言えるようにした方が良いです。
受身・尊敬・可能はその内容が例文とリンクしやすいです。
自発に関しては「傍線部の直前に気持ち関係が来る」とおさえておくと良いでしょう。
大問4 「う・よう」の識別
文全体が「どのような意味で使われているか」をおさえましょう。
「〜だろう」/「〜つもりだ」/「一緒に〜」のどの意味になるかをおさえましょう。
大問5 「た・だ」の識別
これも大問4と同様、文全体が「どのような意味で使われているか」をおさえましょう。
過去「〜した」/完了「〜ところだ」/存続「〜ている・〜てある」のどの意味になるかをおさえましょう。
この中で完了は「その動作を終えてからそこまで時間が経っていない」ことを表すので、【ところだ】【ばかりだ】【ちょうど】などの言葉とセットで使うことが多いです。
大問6 「ない」の識別
「ない」の直前に文節が入る→形容詞の「ない」
「ない」の直前に文節が入らず、直前の言葉が言い切れる→助動詞の「ない」
「ない」の直前に文節が入らず、直前の言葉が言い切れず意味不明→その他(形容詞の一部)と判断します。
「ない」を「ぬ」に置き換える手法を取り入れる場合、助動詞の「ない」・その他の「ない」の見分けがつかないので、増田は全くオススメしていません。
大問7 「そうだ」の識別
「そうだ」の直前がきちんとした文の形になっていて、「 」を補えるかで判断できます。
例)「桜が咲き」そうだ。 →「 」が文になっていないので自分で判断した内容〜様態
「桜が咲く」そうだ。 →「 」が文になっており、他人から「 」の内容を聞いている〜伝聞
と判断します。
「 」を補うという作業だけで難易度が急激に下がる問です。
大問8 「ようだ」の識別
例文にどの内容が補えるかで判定します。
「どうやら」が補えれば推定、
「まるで」が補えればたとえ(比喩)、
「たとえば」が補えれば例示です。
たとえ(比喩)と例示の違いは、他に代えが効くかどうかです。
例)鏡のような水面。 →反射するものであれば鏡でなくても良いので、たとえ(比喩)
リンカーンのような政治家になりたい。 →政治家なら誰でも良いわけでなく、リンカーンでないとダメなので、例示となります。
大問9 「らしい」の識別
まず、例文にどの内容が補えるかで判定します。
「どうやら」が補えれば推定の助動詞です。
推定の助動詞を判断した後、らしいの直前の言葉に注目して、
「名詞」なら形容詞をつくる接尾語、
「すば」「めず」などよくわからない言葉ならその他(形容詞の一部)となります。
大問10 「の」の識別
「の」をどの言葉に変換できるかで判定します。
「の→が」/「の→である」/「の→もの・こと」/「の→×(変換できない)」の4パターンが見分けられれば良いでしょう。
大問11 「が」の識別
今回の最難関問題です。
下に書いてある順番でチェックしていきましょう。
例)水が飲みたい。 → 述語の内容に「〜たい」「好き/嫌い」「上手/下手」「できる/できない」がくる〜対象語
考えたが、わからない。 → 「が」の前後が逆の内容になる〜逆接
彼は金持ちだが、優しい。 → 「が」の前後の内容を入れ替えても文意が同じ〜並立
例の件ですが、調査中です。 → 「が」の前後の内容が逆の内容でなく、入れ替えられない〜単純な接続
皆が何と言おうが、僕は行くよ。 → 「が」の直前に「〜う/よう」が来る〜仮定の逆接
上記の5つに当てはまらない〜主語 と判定します。最初に主語と判定すると、対象語と混ざるので注意しましょう。
大問12 「さえ」の識別
大問11の次に難しい問題です。
下に書いてある順番でチェックしていきましょう。
例)水さえあれば、数日は生きられる。 → 「〜さえ〜ば」の組み合わせになったら「仮定成立」
小学生でさえ理解できることだ。 → 「さえ」の前に極端な例が来れば「一例から類推」
気温が低いうえに、雪さえ降りはじめた。 → 「さえ」の前に同じような内容がくる「添加」となります。
大問13 「と」の識別
「と」にどんな内容が含まれているか、から判定します。
例)君が行くと、きっと皆喜ぶよ。 → 「もし〜すると」の意味が含まれる〜順接仮定
秋になると、紅葉が見られる。 → 「いつでも必ず」の意味が含まれる〜順接一般
窓をあけると、目の前は雪だった。 → 「〜したとき」の意味が含まれる〜その時/場合
何をしようと、約束には間に合わない。 → 「と」の直前に「〜う/よう」がある〜仮定の逆接
大問14 「で」の識別
「で」の直前の内容で判断します。
例)五時で閉店する。 → 「時間」
バイクで学校に行く。 → 「手段」
風邪で学校を休む。 → 「原因・理由」
高温で煮沸する。 → 「状態」
四谷大塚・早稲アカ5年生 4月度組み分けテストについては以下もご覧ください。
四谷大塚・早稲アカ5年生 4月度組み分けテストはどう対策する?算数編
四谷大塚・早稲アカ5年生 4月度組み分けテストはどう対策する?国語編
四谷大塚・早稲アカ5年生 4月度組み分けテストはどう対策する?理科編
四谷大塚・早稲アカ5年生 4月度組み分けテストはどう対策する?社会編
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