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フェリス女学院中学の算数分析(2018年) Column

過去問分析

フェリス女学院中学の算数分析(2018年)

2018.02.07

今回は2018年2月1日に実施されたフェリス女学院の算数の入試問題を見てみましょう。

今年度は僕も2名のフェリス女学院志望の生徒を指導する機会に恵まれ、特に力を入れて対策をした学校です。

こうして迎えた合格発表の2月2日、無事に2人とも合格を果たしてくれました。

ありがとうございます、合格の連絡ホントに嬉しかったです!

 

 

さて、フェリス女学院の算数の出題ですが、例年「楽しいなぁ、上手いなぁ~」と思わせてくれる問題が多いことが特徴です。

 

桜蔭や雙葉、鴎友をはじめとする女子難関校は

「問題の条件設定が複雑」

「方針は立てやすいが処理が煩雑」

という発想力よりも作業力が問われるケースが多いです。

 

一方、フェリス女学院の算数は、特に数と平面図形において柔軟な視点や発想、前問の誘導の利用などが特徴として挙げられます。

問題の種類としては麻布などの男子難関校に近いのかもしれません。

頭を使うことを楽しめる生徒が欲しいというメッセージなんでしょうか。

 

では今年度の出題を見てみましょう。

平均点は48/100なので例年通りの低さというイメージです。

内容を見てみると、平面図形は例年通りの発想力を問われる、解いていて楽しい難問でした。一方、特に数の分野はひねりの無い出題で、フェリスを熱望し準備をしてきた生徒の学力をきちんと測ることが出来たのか、気になりました。

 

ここからは各問題を見ていきます。

〇:合格のためには必ず正解したい

△:合否の分かれ目になる

×:難問で解けなくても合否に影響しない

として合格戦略を考えてみましょう。

解答例はこちら

 

大問1

(1) 〇

特にひねりの無い計算問題です。

落とすわけにはいきません。

 

(2) ×

少ない条件の中、図形的な特徴を利用する、思考力の問われる難問です。

△AEFと△DFCの合同に気づくだけでも大変、その上でさらに発想が必要なので方針が立たない場合は後回しにしても良いでしょう。

大問1の(2)で足止めを食らってしまった受験生も多いのではないでしょうか。

 

(3) 〇

非常に易しい相当算です。

(2)との落差が激しいので、ペースを崩されないよう気を付けましょう。

 

(4) △

差集め算、過不足算の標準問題です。

ただ箱Bを①箱として式を立てたほうが効率良く解けそうですね。

 

(5)ア △

「桁ばらし」と呼ばれる中学受験頻出テーマです。

1桁×9個+2桁×90個+3桁×79個=426個と考えましょう。

もし知識不足の場合、正解することは難しいでしょう。

 

(5)イ △

2桁×□+3桁×△=2018となる不定方程式です。

□が90までであることに気を付けましょう。

 

 

大問2

ア 〇

Pを4°/秒、Qを5°/秒と考えると計算量を減らすことが出来そうです。

合わせて180°の時だから、Pが移動した角度は80°です。

 

イ 〇

3.6と4.5が底辺と高さになる時を考えましょう。

アで遠回りな解法を選択していても確実に正解したい問題です。

 

ウ △

Pが4周、Qが5周する1440秒までと考えましょう。

角POQが90度になるのは、はじめが10秒後で以降は20秒ごととなり、基本的な等差数列として解くことが出来ますね。

 

 

大問3

(1) △

フェリスらしい思考力の問われる良問です。

Pの移動前の場所をP’とすると、OP‘Rは正三角形になります。

 

(2) イ ×  ウ ×

大きな弧に注目することがポイントです。

Rの移動先のR’とPの移動前のP‘が同じ場所だと考えましょう。

イメージの捉えにくい難問です。

 

 

大問4

(1) △

直角二等辺三角形になるものが4つと、二等辺三角形になるものが3つです。

GHの中点を選ぶ場合が捉えにくいかもしれません。

 

(2)ア △

ひとつの正方形の面積を①としましょう。

今回は差に注目するので、共通する切断面を考える必要はありません。

 

(2)イ 〇

小さいほうは全体の1/4倍、大きいほうは3/4倍になります。

アよりも易しい問題で、落とせません。

 

(3)ウ 〇

立方体の切断の典型題です。

演習不足で適切な数値がふれなくても、五角形であることは分かるでしょう。

 

(3)エ △

「同一平面」⇒「平行」⇒「延長」の「延長」まで用いるケースです。

辺BFと辺DHを2cmと4cmに分ける点を通ることを確認しておきましょう。

 

 

大問5

(1) 〇

小学校低学年レベルの割り算です。

後半の問題の布石となっている、麻布のような出題方式ですね。

 

(2) 〇

こちらも小学校低学年レベルの逆算です。

間違えるわけにはいきません。

 

(3)① △

題意を捉えにくい問題です。

「仮に」という条件から、問題で与えられている2010年の数値を無視すれば、

1.728=1.2×1.2×1.2という(1)の発想を用いた倍率を求めることが出来ます。

 

(3)② △

①が出来ていれば計算するだけの問題です。

 

 

今年の出題は小問で21個となりました。

〇:8問

△:10問

×:3問

合格のためには 〇で7/8と、△で5/10、合計12/21=約57% が目安となりそうです。

出題内容に多少の偏りがあっても、合格ラインは例年通りの結果になってくるのは、さすがフェリス女学院ですね。

 

来年以降にフェリス女学院合格を目指す皆さんは、まずは通っている塾での教材を通して、基本パターンの習熟に努めましょう。

 

その上で、

① 比を使いこなす (速さや相当算などの文章題)

② 点の移動を小問ごとに丁寧に追う (例年は大問として配置されることの多い分野です)

③ 平面図形の発想パターンを増やす (過去問のさかのぼりが効果的です)

などのフェリスらしい頭の使い方に慣れていくことが効果的です。

 

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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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