【試験の範囲】
640-11 日本国憲法② 基本的人権
640-12 三権分立①(国会)
640-13 三権分立②(内閣と裁判所)
640-14 三権分立の仕組みと選挙制度
【平常授業のテキストで扱うべき問題と順番の一例<いつも通りなので再掲>】
SAPIXの各種テストは、一問一答形式で出題されることがほとんどありません。
リード文や設問から「関連する知識を引っ張り出す→設問の条件に当てはめて答える」形式がほとんどです。
つまり、ここで出ている知識事項については盤石にしておく必要があります。
平常テキストは
授業の確認問題 基礎
→授業の確認問題 発展
→授業の確認問題 実戦
と進めて、入試問題で出題されるレベルまで抑えてから、
→デイリーステップ パート1・2 で全体を改めて復習、とするのがおすすめです。
【試験範囲から考える注意点】
公民のみが出題されるという珍しい回となっています。
前回のマンスリーテストの公民の大問で点数がしっかり作れていたかどうかで明暗が分かれそうですね。
「どの憲法の条文が、どの内容にあたるのか」をベースに、一般的に「入試に出やすい」と言われる言葉の意味や仕組みなどをきちんと理解することが大切だと思います。
【各回のトピックス】
640-11 日本国憲法② 基本的人権
①基本的人権の尊重
基本的人権=侵すことのできない永久の権利のことです。
<1776>アメリカ独立宣言でⅠ自由権が主張される
<1789>フランス人権宣言でⅡ平等権が主張される
→自由と平等を手に入れたのに、ホームレスの大量発生
<1919>ワイマール憲法でⅢ社会権を規定
→社会的弱者を守る制度を作った
という背景があるので、セットで押さえると良いでしょう。
残りは、
Ⅳ「基本的人権を守るための権利」である参政権と請求権
Ⅴ「憲法に記載のない新しい人権」である環境権・知る権利・プライバシーの権利・自己決定権
となっています。
Ⅱ平等権
法の下(もと)の平等という言葉の意味をおさえておきましょう。
「労働力調査のM字カーブ」の意味についての出題も多めです。
なぜM字カーブを描くのかは、【結婚・出産→子供が大きくなってから職場に復帰】というのをおさえておきましょう。
<1985>男女雇用機会均等法
→雇用(職場)について決めています。
罰則があるため、「看護婦→看護師」などの表記が日本社会全体に浸透しました。
<1999>男女共同参画社会基本法
→雇用以外全てについて決めています。
<2018>候補者男女均等法
→国会議員、地方議会議員の候補者の割合が男女均等になるよう努力する義務を規定した法律です。
候補者のほとんどが男性であることが問題となっています。
②自由権と社会権
●自由権で最も問われるのは「用意された具体例がどの自由にあたるのか」という問題です。
ⅰ身体の自由
ⅱ精神の自由
ⅲ経済の自由
という3つの大枠を押さえます。
ⅲ経済の自由は
「財産の不可侵(財産権の保障)」
「職業選択の自由」
「居住・移転の自由」
の3つです。
「経済」→お金関係
と想起できれば
お金関係→「財産」
「財産の不可侵」
→向いている仕事で稼ぐ方が効率が良い
→「職業選択の自由」
→自分の職場が東京から福岡になったらどうするか?
→「居住・移転の自由」
のように繋げると良いでしょう。
この3つを覚えてしまえば、あとは楽に判別できます。
ⅰ身体の自由は「身体に関わる系」です。
不当に逮捕されない、奴隷的拘束などを受けないなどの話がここにあたります。
ⅱ精神の自由は「考える系」です。
思想および良心の自由、信教の自由、集会・結社・表現の自由、学問の自由がここにあたります。
信教の自由の話は「政教分離」ともセットで出てきます。
●社会権に関しては、ⅰ〜ⅳの名前を具体的にきちんと言えるようにしましょう。
ⅰ生存権
憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」として規定されていますが、名前・憲法の何条か・中身の3つの面で出題があります。
正直、最も中学入試で出題される条文と言っても良いでしょう。
ⅱ教育を受ける権利 ⇔ 子どもに教育を受けさせる義務
権利の方は、全ての国民が教育を受けるという話です。
義務の方は、保護者が子どもに教育を受けさせるという話です。
主語がそれぞれ違うので、注意しましょう。
ⅲ勤労に関する権利 ⇔ 勤労の義務
納税の義務を果たしてもらうために、勤労の義務を設定しています。
また、勤労の権利は基本的に「賃金労働者(サラリーマン)」向けになっています。
使用者(社長)に認められているものではないのです。
ⅳ労働三権〜「労働者」に保障された3つの権利
団結権 …労働組合を作る権利
団体交渉権…労働組合が使用者(社長)と対等に話し合う権利
団体行動権…労働者がその要求を貫徹するために集団的に仕事を放棄するストライキなどを行える権利
となっています。
③参政権と請求権、新しい人権
●参政権は選挙権・被選挙権、国民審査・国民投票の違いをきちんとおさえましょう。
●請求権はお金を請求する「請求書」という表現を知っておきましょう。
何かマイナスのことが起こり、それが裁判所に認められた場合、
「お金」で解決することがほとんどです。
「請求権」は「裁判を受ける権利」と考えて良いでしょう。
●新しい人権は主に法律が根拠となっている権利です。
ⅰ環境権…より良い環境で暮らす権利です。
環境権
→日照権
→公害対策基本法から環境基本法に
→環境庁から環境省への昇格
と関連させておさえましょう。
ⅱ知る権利…国民が国の政治などに対し、情報の公開を求める権利です。
ⅲプライバシーの権利…みだりに個人情報を公開されない権利です。
知る権利→情報公開法
プライバシーの権利→個人情報保護法
とセットでおさえましょう。
640-12 三権分立①(国会)
①三権分立と国会の仕組み
国会が何月から何月までの実施なのか、イメージを掴んでおきましょう。
1月〜6月 通常国会
10月〜12月 臨時国会 です。
国会…衆議院+参議院 のこと
「国権の最高機関」「唯一の立法機関」とも規定されていますね。
●二院制〜衆議院+参議院の間接民主制
議員定数・任期・解散の有無・選挙権・被選挙権・選挙名 全てが出題されます。また二院制の理由である【審議を慎重に行うため】もきちんとおさえておきましょう。
二・三など、「複数の機会」を設けているのは、「慎重さ」に関わりがあります。
ちなみに、イギリスで「下院の方が強い」のは、日本で「衆議院が強い」のと同じです。
②国会の役割
●国会の種類
ⅰ通常国会…毎年1回、1月から150日間、主な議題は予算
ⅱ臨時国会…内閣が必要と認めたとき、衆議院か参議院のどちらかの総議員の4分の1の要求で開かれる
ⅲ特別国会…衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に実施、議題は新しい内閣総理大臣の指名
ⅳ緊急集会…衆議院が解散中に参議院のみで実施、衆・参議院両方で審議をしないので「国会」ではなく「集会」
●国会の仕事〜衆議院の優越を認める
衆議院の優越を認める理由は、入試問題の場合、記述での出題が多いです。
【衆議院は参議院よりも任期が短く、解散もあるため、国民の意見(世論)を反映させやすいから。】はきちんとおさえておきましょう。
また、仕事の種類を頭文字で覚えるのがコツです。
簡単な問題なら、選択肢の1文字目だけで答えられますが…
条約の承認か締結か、などの引っかけもサピックスでは出てくるので注意です。
<優越あり> 条・法・内内・予(ジョウ・ホウ・ナイ・ヨ)
ジョウ 条約の承認
ホウ 法律の制定
ナイ 内閣総理大臣の指名
ナイ 内閣不信任の決議<衆議院のみ>
ヨ 予算の議決
<優越なし> 憲・弾・国(ケ・ダ・コ)と覚えます。
ケ 憲法改正の発議
ダ 弾劾裁判所の設置
コ 国政調査権
③衆議院の優越
●国会の審議の順序
原則として、多数決の原理により過半数の票で成立します。
図①〜③は全て大切です。
◆両議院の議決が異なる場合
法律案:両院協議会は開かなくてもOKです。
衆議院で出席議員の3分の2以上で再び可決すると、衆議院の議決が国会の議決となり法律が成立します。
参議院が60日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となります。
予算・条約・内閣総理大臣の指名:両院協議会を開きます。
↓
◆両院協議会の議決が異なる場合
予算・条約:参議院が30日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となります。
内閣総理大臣の指名:参議院が10日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となります。
640-13 三権分立②(内閣と裁判所)
①内閣の仕組み
内閣とは、内閣総理大臣+国務大臣のチーム全体のことです。
●議院内閣制…内閣は国会の信任に基づいて成立し、国会に対して連帯責任を負う仕組み
サピックスのテストには頻出です。
●内閣が辞める場合
こちらも頻出です。
・内閣不信任決議
↓10日以内
A.衆議院の解散 B.内閣総辞職
↓40日以内(全国各地で行うので、1ヶ所で行う特別国会より期間が長い)
・衆議院議員総選挙
↓30日以内(1ヶ所で行うので、全国各地で行う総選挙より期間が短い)
・特別国会
②内閣の仕事と行政機構
●内閣の仕事…国会の仕事とリンクしている部分が多いです。
頻出なのは「予算案の作成」「条約の締結」「天皇の国事行為に助言と承認」「最高裁判所長官の指名・その他裁判官の任命」「衆議院の解散」「国会の召集」です。
「条約の締結」とは、条約を結ぶこと。
これが国会の仕事だった場合、衆議院議員465名+参議院議員245名の合計710名が全員外国に移動して、条約の締結を行う必要が出てきます。
だから内閣は条約の締結、国会は条約の承認(国内でその決まりを認めること)なのです。
●内閣の行政機構 1府11省
全て覚える必要があります。
特に注意すべきは総務省の仕事。
法務省などと違い、名前から仕事が結びつけにくいので、「地方自治・選挙・郵便・消防」はきちんとおさえておきましょう。
また、貿易は経済産業省の仕事です。外務省ではありません。
※ちなみに、小麦の輸入などは農林水産省の管轄ですが、細かすぎて出ないので、【貿易=経済産業省】と覚えておけば良いでしょう。
③司法権と裁判所
下記、下線箇所はよく出題されます。
憲法76条
①司法権の独立
すべて司法権は、最高裁判所及び法律によって定めるところにより設置する下級裁判所に属する
③裁判官の独立
すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
憲法78条
裁判官の身分保障
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
●違憲立法審査権
違憲立法審査権が最高裁判所のみの権利であるというのは頻出のひっかけです。正しくは、全ての裁判所がもっています。
●裁判の種類〜原則的に公開して行います。
民事裁判は原告vs被告、刑事裁判は検察官vs被告人です。
ちなみに、国を訴える行政裁判というのもあります。
●三審制…判決に不満があるときは裁判を3回受けることができます。
「裁判を慎重に行うため」という理由は頻出です。
Ⅰ最高裁判所…「憲法の番人」 全国1ヶ所
Ⅱその他の下級裁判所
高等裁判所…各地方に1つずつで全国8ヶ所、「横浜・京都・兵庫」にはありません
地方裁判所…北海道に4ヶ所、都府県に46ヶ所で全国50ヶ所、裁判員制度
※裁判員制度…重大な刑事裁判の第一審で、裁判官3名と裁判員6名で実施します。判決には最低でも裁判官1名の支持が必要です。
家庭裁判所…全国50ヶ所、少年法を適用します
簡易裁判所…全国438ヶ所、交通違反などを扱います
640-14 三権分立の仕組みと選挙制度
640-12と640-13のまとめ回となっています。
①三権分立の仕組み
それぞれの→の中身を押さえましょう。
「法の精神」のモンテスキューはフランス人です。
②選挙制度
●選挙の原則〜インターネットを使っての投票はダメだが、選挙活動はOK
Ⅰ普通選挙…18歳に達したら納税額などに関係なく選挙権が与えられる
Ⅱ平等選挙…1人1票
※「18歳に達した者に選挙権を与える原則=平等選挙」という引っかけが、マンスリーテストで出たことがあります。注意です。
Ⅲ秘密選挙…誰に投票したかをわからないようにする
Ⅳ直接選挙…直接投票箱に本人が投票する
●選挙制度の違い
Ⅰ衆議院「小選挙区比例代表並立制」
小選挙区と比例代表のどちらにも立候補できるので、小選挙区で落選、比例代表で復活というのが可能です。
ちなみに、そういった経緯で当選した議員を通称「ゾンビ議員」と言います。落選した候補者に入れられた票を「死票」と言うので、相関関係を感じますね。
Ⅱ参議院「選挙区選挙」+「比例代表選挙」です。
参議院は鳥取県+島根県、徳島県+高知県を合区として、それぞれ1つの都道府県としています。ですので、45都道府県で実施となっています。
◎比例代表制について
基本的に候補者ではなく「政党」に投票する仕組みとなっています。
衆議院では事前に政党が当選の順位名簿を出す「拘束名簿式」
参議院では事前に政党が当選の順位名簿を出さない「非拘束名簿式」を採用しています。
参議院ではどうやって順位を決めるのかというと、投票の際に「候補者名」の記入も可能となっているのがポイントです。
「候補者名を集めた順ランキング」がそこで作成できるので、当選の順位名簿の代わりとしています。
参議院は、以前は「非拘束名簿式」ではありませんでした。
人数の多い「強い政党」に所属していれば、選挙活動を一切しなくても「クビにならない参議院議員」になれてしまったのが問題視されたのです。
③日本の選挙の問題点と政党
Ⅰ「投票率の低下」
対策である「期日前投票」と「在外投票」の違いはきちんとおさえておきましょう。
Ⅱ「一票の格差」
人口が多いエリアと人口が少ないエリアで、1票の価値が変わる問題です。
分数にしてみて、「20分の1」と「50分の1」はどちらが小さいか、とすると見やすくなると思います。
Ⅲ政党
「政党」「与党」「連立内閣」「野党」はきちんと意味をおさえるようにしましょう。現在の与党については、きちんと漢字で書けるように。
また、現在の総理大臣の名前・東京都知事の名前はマンスリーテストで出題されたことがあります。漢字で書けるようにしておきましょう。
SAPIX6年6月マンスリーについては以下もご覧ください。
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