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SAPIX4年生 10月度マンスリーテストはどう対策する?算数編 Column

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SAPIX4年生 10月度マンスリーテストはどう対策する?算数編

2024.09.24

暑すぎた夏も終わり、過ごしやすい季節になってきました。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋…皆さんにとっては何の秋でしょうか。受験生にとっては勉強の秋かもしれないですね。
個人的には修学旅行や紅葉、運動会などがありすごくワクワクする季節でした。ただ、この仕事を始めてからは受験が近い季節というのもあって爆速で過ぎ去ってしまうので、幻の秋といったところでしょうか。
さて、相変わらず普段の学習も大切ですが、学校のイベントも多い秋です。どちらもしっかり充実させましょう!

【テストの概要】

〈制限時間:50分〉
〈満点:150点〉
〈直近3年の平均点〉
2021年:87.3点
2022年:86.8点
2023年:83.7点
〈試験日:10月8日(火)または9日(水)〉
〈試験範囲〉
410-19:場合の数②
410-20:和差算とやりとり算
410-21:消去算
410-22:小数
410-23:分数
基礎力トレーニング9月号

【各テキストのポイントとテスト対策】

〈はじめに〉
各テキストの頭脳トレーニングは特に触れなくても問題ありません。単元の内容をしっかりこなしていきましょう。分からなかった問題はテキストの解説及び授業で板書した解説をしっかりと読み、解き直しを必ずしましょう。
また、計算力コンテストは欠かさず訓練してください。偏差値50を目指す人は(1)~(30)まで、それ以上を目指す人は(50)まですべて解きましょう。

そして、計算ミスの直し方について詳しく載せているので、こちらをご参照ください。

〈テストでの戦略〉
大問1は確実に正解したいところです。特に計算問題は1問1分以内で解くことを目指しましょう。計算問題以外の問題については、取れる問題を確実に取ることが重要です。「ある程度時間をかけても解法が思い浮かばない」場合は潔く飛ばしてください。個人的には2分くらい考えてもダメだったら飛ばすことをオススメします。また、後半の問題だからと言って必ずしも難しい問題とは限りません。問題にはしっかり目を通しましょう。
そして、計算問題に限りませんが、失点の主な原因が「計算ミス」である人も多いでしょう。また、「時間が足りない」せいで解けない問題があった、という人も多いでしょう。テストで確実に点数を取るためには「正確かつ速い」計算が必要となります。速さを求めすぎるがあまり、「字が汚すぎて自分でも読めないせいで失点した」「見直しを全くしていない」という人も多くいます。解くのに時間がかかりすぎてしまう人は、「単純に計算が遅い」という他には、「字を丁寧に書きすぎている」、「見直しに時間がかかっている」というパターンが多いでしょう。他の教科にも言えることですが、「字の綺麗さ」と「字を書く速さ」のちょうどいいバランスを見つけましょう。「走り書きではあるけどしっかり識別できる字」を目安にすると良いです。個人的には速さ7、綺麗さ3くらいがちょうどいいと思っています。
そして、「見直し」も非常に重要ですが、ここに時間をかけすぎては本末転倒です。計算ミスの確認方法は「ただ検算する」だけではないということを知らない人は意外と多いのではないでしょうか。もちろん完全な検算と比べると正確性は落ちますが、確認の速さは段違いです。
では具体的にどうすれば良いのかという話ですが、計算ミスをしないためにはただ「注意する」という抽象的な意識だけではなく、具体的な確認法を修得する必要があります。

①一の位は合っている?
例えば、34×48=1632のところを34×48=1634としてしまいました。 ここで、一の位に注目すると
4×8=32より、計算の答えの一の位は”必ず”2になります。しかし、1634だとーの位が4になってしまっているので絶対に間違っていると分かります。

②本当にその数はあり得る?
例えば、23×64=1472のところを、23×64=1272としてしまいました。64より小さくて64に一番近いキリの良い数は60です。23×60=1380なので、23×64の答えは当然これより大きくなるはずですね。しかし、1272は1380より小さいので、計算ミスをしていると分かります。
同様に、43×78も考えてみましょう。43×78=3354のところを43×78=3554としてしまいました。78より大きくて78に一番近いキリの良い数は80です。43×80=3440なので、43×78の答えは3440より小さくなるはずですね。しかし、3554は3440より大きいので、計算ミスをしていると分かります。

学年が上がると他にも計算ミスの確認法を使えるようになりますが、まずは上の2つを習得してみてください。そうすれば計算ミスも減り、試験時間に余裕ができるので、これだけでテストの点数が大きく変わる人もいると思います。

〈410-19 場合の数②〉
夏休み前に扱った内容です。夏期講習のN41-11と内容はほとんど同じなので、詳しくはこちらをご覧ください。
場合の数は苦手な人が多い単元です。樹形図を綺麗に書くことや、順列・組み合わせの計算での解き方がなぜその式になるのか説明できるようにしましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まで、偏差値60以上を目指す場合は★3まですべて解けるようにしましょう。

〔41A-20〕
p.5
大問1
枠を3つ考えて、それぞれ何通りの数が当てはまるか求めます。

p.13
(1)
三角形は一直線にならないような3つの頂点を結ぶことでできます。今回はGを使うのは確定しているので、残りの2個を正六角形ABCDEFから選ぶことになります。6個の頂点から2つ選ぶので、そのパターンは6×5÷(2×1)=15通りです。ここで気を付けたいのは初めにも書いた「一直線にならないような3つの頂点を結ぶ」ということです。今回は正六角形の対角線になってしまう場合を除けばいいので、15-3=12より、12個となります。

(2)
Gを使わない三角形の数を求めて、Gを使う三角形の数を足せばいいですね。Gを使わない場合、6つの頂点から3つ選ぶことになるので6×5×4÷(3×2×1)=20より、20通りです。
三角形の合計個数は12+20=32より、32個です。

〈410-20 和差算とやりとり算〉
「和差算」の部分は410-08の復習です。忘れていないかここでもう一度確認しておきましょう。やりとり算で2回以上やりとりがあるときは、状況を分かりやすく図にまとめる意識を付けましょう。
偏差値50以上を目指す場合はBテキストとAテキストの★2まですべて解けるようにしましょう。

〔41B-20〕
p.5
大問2
長方形の周りの長さを考えるときに「縦と横を1個のL字として考える」という意識ができるようにしましょう。長方形の周りの長さはL字2個分なので、L字1個すなわち縦と横の長さの和は32÷2=16となります。つまり、差が4、和が16の和差算を解くことになります。

p.7
まずは解答のような目盛りを付けた線分図を上手に描きましょう。慣れてきた人は、N41-08に出てきた分配算の考え方を使って効率的に解いてみましょう。実際、例えば「一方がもう一方の100倍になった」などの条件になった場合、目盛りを書くのは現実的ではありません。算数が得意な人はやってみてください。

p.9
大問1
兄が弟に300円あげたということは、「兄の所持金は300円減り、弟の所持金は300円増えた」ということです。つまり元の所持金の差は600円、和は2400円となります。

p.11
大問1のように状況整理できるようにしましょう。人数が増えても書くことが多くなるだけで解き方の本質は変わりません。

大問2
最後の全員の金額が分かっているので、逆から求めていきましょう。やりとりがなかったところはそのままの数を書くということを意識しましょう。また、今回は3人の中でお金が移動しているだけなので、3人の合計金額が変わらないという意識を持ちましょう。

p.13
大問1
分配算での解き方を載せておきます。

大問2
「そのとき持っているお金と同じ金額だけあげる」という言い回しで分からなくなる人が多いと思います。もし分からないときは一度具体例を考えて分かりやすくするのが重要です。国語でも必須の解法の「具体と抽象」ですね。例えば「500円持っている人に、その持っているお金と同じ金額だけあげる」として考えてみます。当然500円あげるので、所持金は500×2=1000で1000円となります。
つまり、お金をもらう前の金額は現在の半分と分かります。それが分かれば最後の所持金からさかのぼって解けます。
このように、具体例を考えれば「なんだ当たり前のことじゃん」となることがあるので、そういう意識を身につける練習をしていきましょう。

〈410-21 消去算〉
今後の複合問題でよく使うツールの一つです。数学の連立一次方程式と同じです。差に注目する方法では、式全体を掛け算して同じ数に合わせることに慣れましょう。また、代入法では「イコールは本当に全く同じもの」という当たり前の認識を改めて持ちましょう。
偏差値50以上を目指す場合はBテキストとAテキストの★2まですべて解けるようにしましょう。

〔41B-21〕
p.3
同じものを左右から消して考えるのが重要です。以下のように何を消せばいいか見えるようになればOKです。

p.5
p.3の問題と本質は変わりません。

p.7
大問2
図が描かれていない状態でも解けるようにしましょう。慣れていない人はまず図を描いてから式を考えましょう。慣れてきた人はそのまま式を考えましょう。

p.9
個数が同じものがない問題で、初めは苦戦する人も多いと思います。p.7までは個数が初めから同じだった場合を考えていましたが、これを図ではなく式で考えてみましょう。
p.7
大問1

これを踏まえたうえでp.9の問題を考えます。まず、個数を合わせるためにはそれぞれの個数の最小公倍数に合わせればいいですね。そして式全体を何倍かしますが、りんごの個数に合わせるのかみかんの個数に合わせるのかについては、計算しやすいほうに合わせましょう。今回はりんごに合わせたほうがいいですね。

p.11
前述の通り、「イコールは本当に全く同じもの」をしっかり意識しましょう。
大問2
か=た×3
か×3+た×2=770
となり、「か」を「た×3」と置き換えればいいですね。

p.13
まず長方形の周りの長さは「たて+横のL字」が2個分と考えることができました。よって、それぞれの場合のL字の長さが求まります。そこから式を立てて消去算を解きましょう。以下の通り、たてと横でどちらも倍率があっていないので、たてに合わせてみます。(今回は横に合わせても計算の手間は変わらないのでどちらでも大丈夫です)

〔41A-22〕
p.13
これもイコールをしっかりと意識すれば解けます。(〇+▢)×△=〇×△+▢×△の分配法則のやり方を忘れていないか確認しましょう。

〈410-22 小数〉
N41-06の続きです。まずは掛け算のやり方を忘れていないかしっかり確認しましょう。小数点の扱い方が要なのは割り算も同じです。掛け算と割り算のやり方を混同する人が多いので気を付けましょう。少なくとも掛け算、割り算のやり方については解けないといけないものなので、絶対に完璧にできるようにしてください。
偏差値50以上を目指す場合はBテキストとAテキストの★2まですべて解けるようにしましょう。

〔41B-22〕
p.8
小数の割り算では、割る数が整数になるまで小数点を動かし、割られる数の小数点も同じだけ動かします。これを掛け算でもしてしまう人がいますが、気を付けましょう。

p.10
小数点を動かしたあとの余りの処理ができない人が非常に多いです。動かす前の小数点を絶対に見ることを意識しましょう。

p.11
小学校で習う計算においては、割り切れない数は必ず循環します。つまり、並ぶ数は周期的になっているので、周期算で解けばいいということです。

p.13
場合分けが必要な問題です。「もし~のときはどうなる」という感覚を養うことが重要です。
(1)
割る数の候補が4種類なので、それぞれを当てはめて成立するものを選びます。
(2)
(1)と同様、かける数の候補が4種類なので、こちらも当てはめます。

どちらも候補の少ない方を基準に考えることを意識しましょう。

〔41A-23〕
p.13
6+▢=7.2や6▢0.5=12のように、分からないところが一つだけの部分から解きましょう。+-×÷のどれを入れるかについては、実際に当てはめて考えましょう。

〈410-23 分数〉
N41-07の続きです。今回は掛け算と割り算がメインの内容になります。約分を完璧に理解できているか確認しましょう。分数の掛け算と割り算及び小数から分数、分数から小数に直すのも合わせて解けないといけない単元なので、絶対に完璧にできるようにしてください。
偏差値50以上を目指す場合はBテキストとAテキストの★2まですべて解けるようにしましょう。

〔41B-23〕
p.3~10
帯分数の掛け算と割り算は、まず仮分数に直してから計算します。そして途中で約分できるものは先にしておきましょう。約分忘れで間違える人が非常に多いので、常に「約分約分約分約分…」と頭の中で唱えてください。

p.11
2.35のような数を分数に直す際は、2と0.35に分けて考えましょう。235/100にしてから約分する人がいますが、整数部分と小数部分に分ける意識を付けましょう。例えば極端な話、1523.25のような小数を分数に直すときに152325/100とするのは得策ではありません。1523+0.25と考えて0.25を1/4とすればすぐに分数に直せますね。

p.13
大問1
分数の四則演算を利用した問題で、知識はほとんど必要ありません。必要なのは指示されたとおりに実行する力です。また、必ずしも条件の順番に解かなければいけないわけではないということに注意しましょう。

大問2
こちらも指示通りに解きましょう。その通りに式を立てれば単純な四則演算になります。

【まとめ】

今回は今まで扱った内容をより深めたものが多いです。その場しのぎの勉強を続けていると段々と苦しくなるというのが感じられるいい機会です。日々の学習が少しずつ繋がってくるという感覚が分かるようになってくると、今後伸びていくでしょう。
また、繰り返しですが小数や分数の四則演算は完璧にしておいてください。書店やネットで調べればドリルがすぐ手に入るので、できない人は反復練習して身につけましょう。


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T. S.

この記事を書いたのは...

T. S.

今まで別の個別指導塾で主任講師として、中学受験では4教科+適性検査型を担当してきた。自身で指揮を執り、全科目の指導、カリキュラムの作成、面談など、中学受験全般に関わることを行ってきた。授業が無い日もずっと校舎にいたため、周りからは地縛霊だとささやかれていた。

大会で何度か結果を残すくらいにはゲームが得意で、プロを本気で目指していた時期もあったが、コロナ禍と重なってしまい断念。ただ、今でも時々大会に出ているので、もしかしたらYouTubeのおすすめで私の顔が流れてくることがあるかも?

教え子の成長を見守るのが生きがいです。大人になった教え子たちと共に塾を開業するのが将来の夢です。

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