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SAPIX4年生 8月マンスリーはどう対策する?算数編 後編 Column

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SAPIX4年生 8月マンスリーはどう対策する?算数編 後編

2024.08.23

8月マンスリー対策後編です。新出単元が若干多いですが、内容はそこまで難しくないので安心して取り組みましょう。後編では
N41-08:文章題①
N41-09:立体図形①
N41-10:立体図形②
N41-11:場合の数①
N41-12:文章題②
N41-13:立体図形③
N41-14:場合の数②
を解説していきます。

〈N41-08 文章題①〉
411-08の復習回です。和差算では線分図を正確にかけるようになりましょう。その際に大小関係を間違えてしまわないよう、問題文をしっかり読みましょう。
また、ここでは新たに分配算が出てきます。中学受験でおなじみの①を使う考え方です。やっていることはほぼ比なので、ここでマスターできると後々大きくリードできます。
偏差値50以上を目指す場合は★2まで、偏差値60以上を目指す場合は「入試問題に挑戦」を除く★3まですべて解けるようにしましょう。

p.7
大問1
「頭を柔らかく使う問題」などでよく見かける問題ですね。
一つ目の解き方としては、どちらも正方形なのでそれぞれの1辺をアとイと置いてみます。そうすれば図のように、和と差の関係が分かるので和差算になります。

二つ目の解き方はまさに頭をやわらかくする方法です。小さい方の正方形の下の一辺を右に移してみると、図のようになります。そこからは簡単に解けますね。

大問2
平面図形の心得、同じ長さと同じ角度を意識しましょう。ひし形なのですべての辺の長さが等しいですね。よって、角AとBを含む三角形は二等辺三角形と分かります。そこからは3つの和差算を解けば答えが求まります。

p.9
分からない数を①と置いて色々解いていくわけですが、①とはそもそも何か理解しておきましょう。普段、分からない数があったら□などの記号で置き換えていましたが、それらと本質的に全く同じです。
大問1の場合、弟の金額を①と置くと兄の金額はその2倍の②と置けます。二人の合計金額は丸を使って表すと③となり、合計金額が1800円なので、
③=1800という式が成り立ちます。よって、①=600なので、兄の金額は②=1200となり、答えは1200円です。
これを弟の金額を□、兄の金額を□×2と置いても全く同じことです。二人の合計金額は□を使って表すと、
□+□×2=□×(1+2)=□×3となり、合計金額が1800円なので、
□×3=1800という式が成り立ちます。よって、□=600なので、兄の金額は600×2=1200となり、答えは1200円です。
以上のように、①や②はただ□×1、□×2の別表記に過ぎませんが、基本的には①を使って解きます。単純に画数が少ないのと視覚的にイメージがしやすいからですね。

p.11
大問1
AB間の距離を①とすれば、BC間は④、CA間は④×5=⑳です。よって、全体は①+④+⑳=㉕なので、
㉕=4000という式が成り立ちます。①=4000÷25=40なので、④=40×4=160より、答えは160mです。

p.13
大問1
(1)
等差数列の和の問題ですね。ただし、1から始まる奇数の和なので、もっと簡単に解けますね。
1+2×(□-1)=29より、□=15となるので、15番目までの和を求めることになります。よって、15×15=225となり、答えは225です。
(2)
問題文の通り、カードの表と裏の合計は33です。よって、5の裏は33-5=28なので、28-5=23より、全体の合計は23だけ増えたと分かります。(1)より、225+23=248となり、答えは248です。
(3)
225-208=17より、一枚裏返した結果17減ったということなので、そのカードの表より裏の方が17小さいと分かります。よって、表と裏の和が33で差が17の和差算になりますね。
(4)
259-225=34より2枚裏返して34増えるような組み合わせを考えます。最大で31しか増えないので、一方が増えてもう一方が減る組み合わせはありません。考えられる組み合わせは、以下の通りとなります。

〈N41-09 立体図形①〉
新出単元です。立体は空間把握能力が必要なので、特に得意不得意が分かれます。慣れていない人は実際に紙で展開図を作ってみたり、レゴやマイクラなどで立体的な見方を強化してみましょう。また、頭の中でやるだけでなく、立体を考えずとも解き方を知っていれば解けるものもあるので、それだけでも最低限習得しましょう。
また、表面積の問題は今後の立体図形の問題の基礎になるので、きっちり解けるようにしましょう。また、表面積の概念は理科で度々出てきますし、日常生活でも意識したほうがいいときがあるので、教養として身につけたほうが得でしょう。
偏差値50以上を目指す場合は「入試問題に挑戦」を除く★3まですべて解けるようにしましょう。

今回、とにかく覚えたいのは「重なる頂点の考え方」です。頭の中で組み立てるのではなく、解き方を覚えましょう。2つ考え方を紹介します。
1つ目の方法は、1×1のL字の端同士が重なる点であることを利用し、残りの点を考えていくやり方です。

そしてもう一つの方法です。まず、元の立体を見ると、一番遠い点の一番遠い点は自分自身と分かります。そして展開図と見比べると分かりますが、一番遠い点は2枚並べたときの対角線の先にあります。

つまり、展開図上で重なる点というのは2枚分の対角線を結び、さらにそこからもう2枚分の対角線を結んだ先の点だと分かります。それが理解できれば、展開図の残りの点を書くのも簡単な作業になります。下の図のように対角線が見えるようになれば完璧です(見やすくするために解説には対角線を書き込んでいますが、実際に解くときは書かなくて大丈夫です)。
ちなみに重なる辺についてはしっかり重なる点の順番を元の辺に合わせて書きましょう。

p.5
上の解法を理解できていれば問題ありません。
大問1

大問2

p.7
直方体や立方体の問題の表面積では、積み上げた・切り取った立体の表面積を求めるときの練習として、上下、左右、前後から見たときどうなっているかノートにメモしてみましょう。メモをする癖をつけておかないと、もっと形が複雑になったときに自分が何を求めているか分からなくなってしまいます。

p.9
このようにまっすぐ切り取った場合、結局上、右、正面から見たときの面積は切り取る前と変わらないので、切り取る前の立体の表面積を求めればいいと分かります。

p.11
今回のように隠れてしまう部分がある場合は気を付けましょう。上、正面から見たときの面積は切り取る前と変わりませんが、切り取った内側の側面2枚分が増えているので、元の立体の表面積に増えた分の面積を足し忘れないようにしましょう。

p.13
こちらもp.5と同じように考えれば解けます。どんどん2枚分の対角線を考えていきましょう。頂点が分かれば(2)も解けます。

〈N41-10 立体図形②〉
立体図形の続きです。今回は体積を考えます。体積を考える際に直方体から習うことが多く、その際に「たて×横×高さ」だけを覚えてしまい、少し形が変わると解けなくなる人が多いですが、直方体や立方体、L字のような立体のように、底面の形をそのまま積み上げていったものの体積は、「底面積×高さ」を意識できればその問題は解決します。ただし、三角形や平行四辺形などの面積を求めるときの底辺の考え方でもそうでしたが、底面は必ずしも下にあるとは限らないということは意識しましょう。
偏差値50以上を目指す場合★2まですべて解けるようにしましょう。

p.5、7
N41-05のp.3でも書いたことですが、「知っている式を使って逆算を解くだけ」の使いどころです。□を使って体積を求める式を書き、逆算しましょう。

p.13
(1)
小さいほうと大きいほうで分けて考えると、体積の和は32×25×20=16000㎤で差は8000㎤なので、和差算で解けばいいと分かります。

(2)
逆算を使いましょう。

〈N41-11 場合の数①〉
411-19の復習回です。樹形図で整理するのも大切ですし、計算で求める方法も重要です。また、順列と組み合わせでそれぞれなぜその式になるのかは説明できるようにしておきましょう。p.2をよく読んで理解しましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まで、偏差値60以上を目指す場合は「入試問題に挑戦」を除く★3まですべて解けるようにしましょう。

p.3
0の扱いに注意しましょう。枠を考えてそこに入れられる数字の候補を考えれば解けます。
大問2

p.5
(1)
まず百の位を固定して考えます。1▢▢の場合、4×3=12個となります。2▢▢だとまた12個となり、15を超えてしまします。なので、十の位も同時に固定して考えます。
40▢のとき、3個
となり、ちょうど15個目になります。よって、406が答えです。

(2)
5の倍数になるのは一の位が0か5のときです。0の存在が厄介ですが、上手く場合分けをできるようにしましょう。
①▢▢0のとき、もう0は残っていないので、4×3=12通り
②▢▢5のとき、0は百の位で使えないので、3×3=9通り
よって、12+9=21となり、答えは21通りとなります。

p.7
同じカードがあるタイプの問題です。場合分けが必要なので気を付けましょう。樹形図での解き方は解答をご参照ください。ここでは計算での解き方を紹介しておきます。
やり方はかなり難しいものになるので、難しければ樹形図で処理してください。

大問1
すべて異なる数字と、3つのうち2つが同じ数になるときとで場合分けをします。
①すべて異なるとき
まず並べるものを〇△▢として考え、その並べ方を考えます。3×2×1=6で6通りですね。
次にそれぞれの記号に当てはまる数の組み合わせを考えます。今回は1、2、3の中から3つを選ぶので1通りです。
よって、この場合は6×1=6より、6通りとなります。
②2つが同じ数になるとき
まず並べるものを〇〇△として考え、その並べ方を考えます。(〇、〇、△)(〇、△、〇)(△、〇、〇)の3通りですね。
次にそれぞれの記号に当てはまる数の組み合わせを考えます。〇に入る候補は1、2の2通りで、△に入るのは〇に使った数以外なので2通りです。よって、組み合わせは2×2=4より4通りです。
したがって、並べ方が3通りでその数字の組み合わせが4通りなので、全体の並べ方としては3×4=12より、12通りとなります。
①、②より、6+12=18となり、答えは18通りです。

大問2
0の扱いに気を付けて場合分けをしましょう。大問1と同じ考え方のところは簡略化して表記します。
A:0を考えない場合
①すべて異なるとき
使える数字は1、2、3のみなので、3×2×1=6で6通りです。
②2つが同じ数になるとき
並べるものを〇〇△として考えたとき、その並べ方は大問1と同じで3通りです。
〇に入る候補は1のみで1通り、△に入るのは2、3の2通りです。よって、組み合わせは1×2=2より2通りです。
したがって、全体の並べ方としては3×2=6より、6通りです。

B:0を考える場合
①0を含み、すべて異なるとき
並べるものを0△▢として考えたとき、百の位に0は使えないのを考慮します。順列は2×2×1=4より、4通りです。そして△▢に入る数は1、2、3の中から2つ選ぶことになります。3つの中から2つ選ぶというのは、3つの中から仲間外れの1個を選ぶのと同じなので、その組み合わせは3通りです。
したがって、全体の並べ方としては4×3=12より12通りです。
②0を2枚使うとき
並べるものを00△として考えたとき、その並べ方は△00のみの1通りです。
△に入る数の候補は1、2、3の3通りです。よって、全体の並べ方としては1×3=3より3通りです。
③0を1枚使い、残り2つが同じになるとき
並べるものは011のみです。その並べ方は(1、1、0)(1、0、1)の2通りです。
A、Bより6+6+12+3+2=29で、答えは29通りです。

p.13
9を6としても使えるということでかなりややこしいですが、しっかり場合分けして考えましょう。偶数になるには一の位が2か6になればいいですね。そのあとの場合分けは解答の通りでもいいですが、別の考え方を載せておきます。
A:一の位が2のとき
①〇△2のとき、使える数は1、6、9なので、並べ方は3×2=6で6通りです。
②△△2のとき、△に使える数は1、6、9なので3通りです。

B:一の位が6のとき
①〇△6のとき、使える数は1、2、6、9なので、並べ方は4×3=12で12通りです。
②△△6のとき、△に使える数は1、6、9なので3通りです。
A、Bより6+3+12+3=24で、答えは24通りです。

〈N41-12 文章題②〉
411-17・18の復習回です。ほとんどがつるかめ算と過不足算の基本的な問題となっているので、ここで改めて完璧に理解できているか確認しましょう。つるかめ算では表でのやり方と面積図でのやり方どちらも重要なので、どちらでも解けるようにするのが理想です。また、弁償算が新しく出てくるので、どんな規則性があるか理解できるようにしましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まですべて解けるようにしましょう。

p.13
大問1(4)
初めは表でやってみると可視化できて理解しやすいと思います。ここで大事な考え方は一旦一方に集中させるというやり方です。今回はまず15問すべてが正解で300点だった場合を基準にします。そしてそこから1問間違えるごとに、合計点数がどうなっていくか考えます。もらえるはずだった20点を失った上に10点減らされてしまうという追い打ちをかけられるので、合わせて30点減ることになります。
すぐる君の点数は180点なので、全部で120点減っています。よって、120÷30=4より、4問間違えたと分かります。したがって正解した問題数は15-4=11より、11問です。

〈N41-13 立体図形③〉
立体図形の続きです。容積という考え方が出てきますが、結局は体積です。底面積×高さが理解できていれば問題ありません。Lと㎤の単位換算は完璧にしましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まですべて解けるようにしましょう。

p.9
内のりに気を付けましょう。底面のたてと横の長さは、元の板のたてと横の長さから厚さを2つ分引いた分で、深さは厚さを1つ分引いた分です。そこがクリアできればあとは普通の体積の問題です。

p.11
水の中にものを入れると、その体積分だけ水を押しのけて水位が上がります。お風呂の浴槽に浸かるとお湯の水位が上がりますが、それと同じです。

大問1
水位が4cm上がっているので、その分の水の体積が石の体積になります。底面積は15×20㎠なので、体積は15×20×4=1200で1200㎤となります。

p.13
(2)
あとどれくらいの水が入るかまず考えます。残り3cm分なので20×24×3=1440で1440㎤です。石の体積は12×15×12=2160で2160㎤なので、あふれる水の体積は2160-1440=720より720㎤です。

〈N41-14 場合の数②〉
p.5以降は中学入試でよく見かける道順です。作業に手間がかかりますが、その交差点につながる直前の点までの行き方を地道に足していくだけです。考え方自体は難しくないので、何度も解いてやり方をしっかり身につけましょう。
偏差値50以上を目指す場合は★2まですべて解けるようにしましょう。

p.7
(3)
「Cを通らない行き方」を「全体の道順からCを必ず通る行き方を引く」と変換する考え方が重要になります。倍数の問題で「1~100の数の中で3で割り切れない数の個数」を求めるとき、全体から3の倍数を引く考え方をしますが、それと同じです。

p.9
大問1(2)
AからD、CからBの行き方をそれぞれ求めます。ちなみにDからCは1通りしかないですね。


大問2
交差していないところはどうなるのかとなるかもしれないですが、単純に直前までの行き方がそのまま反映されるだけです。

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p.11
立体の道順ですが、前述の通り「その交差点につながる直前の点までの行き方を地道に足していく」が意識できていれば解けるはずです。とりあえずスタート地点の点を含む平面上だけ先に考えるとやりやすくていいでしょう。
大問2

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p.13
大問1
再び「その交差点につながる直前の点までの行き方を地道に足していく」です。わかりやすいように色を付けてみたので、参考にしてみてください。

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大問2
不要な点に惑わされないようにしましょう。行ける点の範囲を結んであげれば、単純な道順の問題になります。

【まとめ】

以上が8月マンスリー対策後編になります。範囲こそ多いものの、基礎的な内容が多いです。ここで土台が作れるか否かで今後の新出単元や複合問題の解きやすさが変わってくるので、日々の学習を大切にしましょう。そしてこれから内容が進んでも怪しそうな単元があれば前のテキストに戻って反復練習しましょう。
長期休暇での学習の重みが何となく理解できた人も多いのではないでしょうか。5、6年生の夏期講習ではさらに内容が難しく、重くなります。今回の講習でしっかり目標を達成できた人はその調子で次回も頑張りましょう。残念ながらサボり気味だった人はしっかり反省をし、気持ちを切り替えて挑んでください。もちろん遊びと両立するのは忘れないように!


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T. S.

この記事を書いたのは...

T. S.

今まで別の個別指導塾で主任講師として、中学受験では4教科+適性検査型を担当してきた。自身で指揮を執り、全科目の指導、カリキュラムの作成、面談など、中学受験全般に関わることを行ってきた。授業が無い日もずっと校舎にいたため、周りからは地縛霊だとささやかれていた。

大会で何度か結果を残すくらいにはゲームが得意で、プロを本気で目指していた時期もあったが、コロナ禍と重なってしまい断念。ただ、今でも時々大会に出ているので、もしかしたらYouTubeのおすすめで私の顔が流れてくることがあるかも?

教え子の成長を見守るのが生きがいです。大人になった教え子たちと共に塾を開業するのが将来の夢です。

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