サカセルコラム

SAPIX偏差値の読み方 Column

SAPIXの活かし方

SAPIX偏差値の読み方

2023.10.13

2021年4月30日投稿
2023年10月13日更新

SAPIXの母集団のレベルの高さは中学受験界で広く知られています。

SAPIXの偏差値表では40台半ばに位置している学校が、高校受験では偏差値70前後にランクされることも、もはや当たり前。

例えば、

開成高校:SAPIX偏差値68 ⇒ 高校受験偏差値 77
巣鴨高校・SAPIX偏差値47 ⇒ 高校受験偏差値 72
城北高校:SAPIX偏差値47 ⇒ 高校受験偏差値 70

中学受験を志す生徒達は同年代の生徒の上澄みだけで、SAPIX生はその中でもさらに上澄みだけなので、偏差値の数値は非常に大きな差となっています。

他の中学受験塾が発表している偏差値と比べても、SAPIXの母集団の優秀さ、そしてそれにともなう偏差値の出にくさは群を抜いています。

開成中に加え、自律学習サカセルから近い男子難関校2校を例に挙げても、

開成中:SAPIX68 四谷大塚71 首都圏模試78
駒場東邦中:SAPIX61 四谷大塚65 首都圏模試74
世田谷学園:SAPIX44 四谷大塚56 首都圏模試66

というように、大きな差がついています。

このようにSAPIXの母集団のレベルの高さは異常と言っても良いのかもしれません。

【SAPIXの模試は当然ながら高難度

SAPIXの試験は上位校を目指す生徒の学力差を明確にする必要があるので、当然ながら難度は非常に高いです。

基本的な知識をそのまま課す問題はほとんどありません。

例えば算数では冒頭の計算問題から、分数⇔小数の換算や計算の工夫をきちんと考える必要のある問題が課されます。

理科や社会の暗記分野に関しても、基本的な知識を問うものであっても、視点や表現を変えて出題されます。

あれだけ勉強しているSAPIX生達が、未習の知識を問われているわけではないのに平均点で6割も取れないような出題になっています。

ただ決して回によって難度が乱高下するわけでもないので、作問側の講師の力量の高さも反映していると言えるでしょう。

【SAPIXの偏差値は万能ではない】

SAPIXの試験における偏差値は、必ずしも全ての中学受験生にとって参考になるわけではありません。

模試での偏差値は40~60の生徒の学力の優劣を明確にするものです。

そのレンジから外れている偏差値は、正しく個々の生徒の学力を反映しているとは言えない状況も散見されます。

僕自身が今まで見てきた生徒でも、SAPIXでは同じような偏差値帯に位置しながら、基礎学力の差が大きかったケースは多々ありました。

例えばSAPIXでは算数の偏差値が30台の複数の生徒達に首都圏模試を受けてもらったケースを挙げてみましょう。

SAPIXでは同じように、せいぜい偏差値30台後半しか成績を出せなかった生徒達。

首都圏模試では算数の偏差値で70前後を叩き出す生徒達がいる一方、首都圏模試でも偏差値50前後しか出せない生徒もいて、基礎学力には明確な差が現れました。

実際の受験結果も、首都圏模試で好成績を残すことが出来た生徒達は、SAPIX偏差値では10くらい届かなかった学校に余裕を持って合格を果たしました。

一方で首都圏模試でも好成績を残せなかった生徒達は、秋が深まった段階でも基礎知識の獲得に注力せざるを得ず、志望校対策が充分にできなかったので、結局SAPIXの偏差値相応の学校に進学することになりました。

このように母集団にトップ層が少なく出題内容も素直な基本問題が中心となっている首都圏模試では、基本的な知識や計算力をより正確に測定できたと言えるでしょう。

SAPIXの模試では同じくらいの偏差値でも、実は学力差が非常に大きいというケースは珍しくありません。

四谷大塚の合不合判定テストはSAPIXと首都圏模試の間の、中学受験生のボリュームゾーンをカバーする模試として位置しています。

ただ近年は問題が難化していて、難関校志向が強まっているように思います。

結局のところSAPIXの模試における偏差値は、あくまでもトップ層の中での自身の立ち位置を測るものであって、必ずしも中学受験における基礎学力の優劣を測るものではありません。

SAPIX生だとしても、6年生の後半以降は場合によってSAPIX以外の模試を受けるという選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。

【実際の入試と模試との関係性】

入学試験における最終的な合否は模試での成績ではなく、その学校独自の当日の出題での得点によって決まります。

当たり前と言えば当たり前の話ですね。

模試はあくまでも様々な学校を目指す受験生の中での自身の学力を客観的に示すもの。

基本的な解法知識を身につけたら、あとは学校の求める学力に合わせて必要な力を磨いて合格の可能性を高めていきましょう。

ここで気を付けておきたいのは「基礎学力を養成してから⇒志望校対策」という順番です。

順番が逆になったり、無理やり同時並行しようとしたりしても結局、問題の難度を適切に判断することが出来ず、得点力の向上にはつながりません。

その学校を目指す基礎学力がついている目安としては、志望校の偏差値の-5くらいでしょうか。

なんとか6年生の夏休み明けの時点で、勝負が出来るラインまで基礎学力を養成したいものです。

もし6年生の秋の時点で10以上偏差値が届いていないならば、さすがに志望校の再考が必要になってくることは否めません。

なおSAPIXが出している学校の偏差値は合格率80%の数字です。
6年生後半の合格力判定SAPIXオープンなどでは、合格率50%の偏差値や合格率20%偏差値もデータとして出ているので、より詳細に自分の立ち位置を確認することが出来るでしょう。

【SAPIX偏差値の捉え方と志望校合格まで】

SAPIXの偏差値をどう捉え、受験に向けてどのように準備を進めて行けばよいのか、話を整理しようと思います。

まず志望校合格に向けて、高い基礎学力を養成することが何よりも大切です。

6年生の夏休みまでは、とにかく平均偏差値を上げること(=コースを上げること)に注力しましょう。

志望校の出題傾向は一切気にしなくても構いません。

なんとか自身の持ち偏差値(=直近5回の4科総合の平均偏差値)を志望校の80%偏差値-5以内に持っていくよう努力しましょう。

9月以降は志望校対策です。

関連記事:中学受験、いつから過去問を始めるべき?

持ち偏差値が志望校の80%偏差値を上回っていても、実際の志望校の出題では得点できないケースも珍しくないので油断は禁物です。

逆に偏差値では届いていなくても、相性が良く思ったよりも得点出来る場合もあります。SAPIXの模試の偏差値には捉われ過ぎず、過去問での得点率に注目していきましょう。

学校に応じた適切な対策を重ね、志望校合格を勝ち取れるよう、受験生の皆さんを応援しています。

SAPIXに関して、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
塾選びから合格(または転塾)までSAPIX完全解説


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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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