小学3年生の2月、いわゆる新4年生から本格的に始まるSAPIXでの3年間の中学受験生活。
保護者にとっては「3年なんてあっという間!」という感覚かもしれません。
ただ、まだ10歳にもなっていない生徒にとって、中学受験は「果てしなく遠い未来の話」なんでしょう。
SAPIXに入塾した生徒達が目標にするのは、遠い未来である志望校よりも、毎月のように実施される目先のSAPIXのテストであるケースが大部分を占めます。
SAPIXのテストは基本的に算数・国語が150点満点、理科・社会が100点満点の計500点満点で実施されます。
今回は4年生以降のSAPIXのテストの名称と意味づけを、再確認しておきましょう。
SAPIXの試験一覧
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組分けテスト
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マンスリーテスト
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復習テスト
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サピックスオープン
1. 組分けテスト
毎年1月、3月、7月の前半の日曜日に実施される「試験範囲の無い」「コース昇降が無制限」のテストです。
結果次第では大幅なクラスアップが見込める一方、大きくコースを落としてしまう可能性もあります。
外部生の入室テストも兼ねているので、普段のマンスリーテストや復習テストよりも若干、受験者の数は多めです。
各テストは、
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1月⇒2月から中学受験における新年度のスタートを決める
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3月⇒春休みからの小学校における新学年のスタートを決める
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7月⇒受験の天王山の夏休みのコースを決める
という重要な節目となるので、決して手は抜けません。
試験範囲は明示されていませんが、その時点で学習している内容までしか課されないので、先取り学習は一切不要です。
またSAPIXよりも進度が遅い他塾生の履修内容と合わせるため、SAPIX生が直近で学習した内容はあまり出題されないことも特徴として挙げられます。
知識をそのまま問う出題は少なく、既存の知識をどう組み合わせて考えるかで差がつく、対策のしづらい試験と言うことも出来るでしょう。
平均点は5割強と、やや低めになることが多いです。
過去問との類似性は決して高くは無いので、もし過去問演習をするとしても出題範囲や量、時間配分の確認程度にとどめれば充分です。
2. マンスリーテスト
組分けテストの無い月に実施される「試験範囲があり」「制限付きのコース昇降もある」テストです。
試験範囲は直近に学習したテキスト5回分が標準ですが、各講習後のマンスリー確認テストでは講習内容も試験範囲に含まれるので該当範囲は広くなります。
コース昇降の幅は「校舎のコース数×0.2」が基準になります。
なお6年生の6月まではマンスリー「確認」テストで、6年生の夏期講習明けからは、マンスリー「実力」テストと名称が変わり「試験範囲無し」「昇降の制限無し」という、組分けテストと同じような位置づけになります。
マンスリー確認テストは、その月の学習事項の定着度を測るものなので、テキスト内容に沿った出題が中心です。
とは言え数値替えレベルの問題は少なく、扱った知識事項を下地に柔軟に思考を組み立てられるかが問われます。
授業中の確認テストであるデイリーチェックで得点できていても、マンスリー確認テストで高得点を上げられるとは限らない点、注意が必要です。
平均点は6割弱になることが多いです。
過去問との類似性は高いので、もし手に入れて学習する機会があれば一定の効果を見込むことは出来るでしょう。
ただ問題は毎年当然ながら新作で、カリキュラムの改定で試験内容が異なることも多いので、過去問は決して万能な教材とは言えません。
あくまでの日々のテキストをベースにした学習を心掛けましょう。
過去問の扱いに関しては以下の「SAPIXの模試の過去問って使える?」もご覧ください。
このようにSAPIXでは①の組分けテストと②のマンスリーテストの1回ぶんの点数のみで明確にコースが分けられます。
なおコース昇降に関わるテストを2回連続で欠席すると自動的に1コース降級になるので気を付けましょう。
関連記事:SAPIX5年生 5月度マンスリー確認テストのポイント (算数)
関連記事:SAPIX5年生 6月度マンスリー確認テストのポイント (算数)
関連記事:SAPIX5年生 10月度マンスリー確認テストのポイント
3. 復習テスト
組分けテストがある月に実施される「試験範囲があり」「コース昇降が無い」テストです。
「コース昇降の無いマンスリー確認テスト」と解釈すれば問題ありません。
範囲や対策は②のマンスリーテストとほぼ同じです。
なおコース昇降が無いので軽視する受験生も散見されますが、それは危険です。
SAPIXでの学習の基本は「毎回のテキスト内容をしっかり定着させること」です。
復習テストは理解度を測る絶好の機会なので、しっかりと準備をしたうえで臨みましょう。
4. サピックスオープン
サピックスの公開模試は「サピックスオープン」と呼ばれ、大きく分けると以下の5種類になります。
サピックスオープンは5種類ある
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実力診断サピックスオープン
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志望校診断サピックスオープン
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志望校判定サピックスオープン
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合格力判定サピックスオープン
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学校別サピックスオープン
サピックスオープンではコース昇降は実施しません。
ここからは5種類のサピックスオープンの特徴を確認していきます。
実力診断サピックスオープン
3年生の10月と4年生の10月と5年生の5月に実施される公開模試です。
マンスリーテストや組分けテストと比べて、その場で考える問題の比率が高く、難度も高いので、50%を切るような低めの平均点になることも多い試験です。
毎週の学習による知識獲得にとどまらない、将来的な伸びしろを測ることも出来ますが、難しすぎる問題も多く、生半可な実力では復習しても学習効果が高いとは言えません。
学力に自信の無い状況なら受験を回避しても問題は無いでしょう。
志望校診断サピックスオープン
5年生の9月と11月に実施される公開模試です。
基本的な知識の量や運用の仕方を見るAタイプと、発展的な視点や作業力、記述力を見るBタイプの問題の両方が各科目で課されます。
Aタイプ、Bタイプを加味しての志望校判定も出されるので、具体的に志望校を考える機会としても有効でしょう。
ただ特にBタイプの出題を中心に難度が極端に高いことも多いので、こちらも学力に不安があれば受けなくても良いでしょう。
判定はあくまで参考です、結果次第で志望校を変更する必要はありません。
志望校判定サピックスオープン
6年生の4月と6月に実施される公開模試です。
Bタイプの試験とAタイプの試験が午前と午後にわたって各4科目で計8科目も実施され、計1000点満点で成績を評価します。
その生徒の現時点での実力と今後の伸びしろの両方を測ることの出来る試験であり、また午後受験の予行演習ともなる貴重な機会です。
SAPIX生はこの結果をもとに前期の保護者面談も実施されるので、よほどの事情が無い限りは受験するようにしましょう。
難度はBタイプを中心に高めで、総合で5割を切る平均点になることも多いです。
なお過去問演習は、スピード部分に不安があるならば、感覚を知るために取り組んでも良いですが、基本的には不要です。
関連記事:6年生 志望校判定サピックスオープンの活かし方
合格力判定サピックスオープン
6年生の9・10・11・12月に実施される公開模試です。
幅広い受験者層に対応するため、SAPIXの試験の中では問題はやや易しめで平均点も6割強になることが多いです。
難関校を目指す受験生の基礎学力を測る指標として精度の高いものになっていて、全4回の平均偏差値と受験結果の相関は非常に高いものになります。
過去問を入手しての演習は一切不要です。
この時期は志望校の過去問演習に力を入れましょう。
学校別SAPIXオープン
各校の出題形式に沿って学校ごとに作成された公開模試です。
例年9月から12月の日曜、祝日に実施されます。
2020年は、麻布・栄光学園・桜蔭・開成・慶應湘南藤沢・慶應中等部・慶應普通部・駒場東邦・渋谷渋谷・渋谷幕張・女子学院・聖光学院・筑波大学附属駒場・豊島岡女子・雙葉・フェリス女学院・灘・武蔵・早稲田・早稲田実業・早大学院の全21校の模試が開催されました。
2回実施される学校の場合、第1回は直近の年度を下敷きにした出題、第2回は完全オリジナルの予想問題になっています。
出題された内容と同じような題材やテーマがその年度の実際の入学試験で出題されることも度々あり、改めてSAPIXの作問能力の高さに驚かされることもあります。
SAPIX生以外の受験者数も多く、特に開成・桜蔭などの合格者の多くをサピックス生が占める試験では、その学校の志望者の大多数が受験します。
実際の入学試験とほぼ同じ母集団で、同じタイプの出題なので、判定の精度も非常に高いです。
なお難度は実際の試験と同等か、やや難しいことが多いので、点数よりも順位や判定を意識しましょう。
SAPIXに関して、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
塾選びから合格(または転塾)までSAPIX完全解説
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