サカセルコラム

桜蔭中の算数分析(2022年) Column

過去問分析

桜蔭中の算数分析(2022年)

2022.11.04

算数の想定合格点 65 点

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桜蔭高校。

言わずと知れた日本の女子トップ校です。

2022年の東京大学理科3類の合格者数は13名。

灘、筑波大学附属駒場、開成と言った名だたる男子超進学校をおさえて、初の全国1位に輝きました。

その他、国立大学の医学部医学科や東京大学の他の科類の合格実績も抜群で、最上位層の厚さは驚異的と言うほかありません。

もちろん学力だけではなく、豊かな人間性の養成にも定評がある学校です。

個々の生徒の個性を尊重した穏やかな教育環境で育ったOG達は、様々な分野で活躍しています。

当然、入学難度も女子最高峰です。

高校募集を行っていない完全中高一貫校なので、入学するためには中学受験しか選択肢はありません。

倍率は2倍弱と一見高くはないものの、最上位層しか受験しない熾烈な入学試験となっています。

ここからは2022年の桜蔭中の算数の入試問題を通して、どのように学習すれば合格ラインを超えることが出来るのかを見ていきましょう。

今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×やや難度が高く、部分点を拾うことが出来れば充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1) 〇

異常なまでの煩雑さ、数値設定の汚さで知られる桜蔭中の計算問題。

2022年度は幾分ですが解きやすい出題となりました。

分数⇔小数の換算を意識し、仮分数・帯分数どちらのほうが処理しやすいかを考えながら丁寧に解き進めましょう。

途中でほどほどに約分も出来るので、例年と比べて短時間で正解にたどり着くことが出来そうです。

(2) ① △  ② △

桜蔭中の算数で散見される図形の移動の問題。

今年度は平面図形の転がり移動という形で課されました。

正三角形の1辺ではなく高さが与えられているという珍しい設定ですが、「どこが中心」「中心角は何度か」「半径は何cmか」に注目すれば決して難しくはありません。

②も1回の転がりで結局、小さな三角形の高さ2つぶんの4cm進むことに気づくことが出来れば正解できるでしょう。

ちょっとした「気づき」を問う良問です。

(3)  ① 〇  ② △

直前の2数の関係をフィボナッチ数列の要領で調べていく規則性の問題です。

①は題意の確認問題なので落とせません。
②は文字式の形で整理していくと、不定方程式に落ち着くことが出来ました。

桜蔭中らしい出題です。

大問2

(1) 〇

時計算の基本問題です。

360°前にいる短針を長針が追いかけると考えれば問題なく正解できるでしょう。

ここで失点した桜蔭中合格者は、さすがに皆無だと思われます。

(2) △

他校の出題や塾のテキストで時々見られる問題です。

「何時台に何回」と考えていっても良いですが、解答例では(1)で求めた「720/11分ごとに重なる」と考えました。

問題文の指示も確認し、0時ちょうども24時ちょうども含まないことに気を付けましょう。

大問3

(1) 〇

流水算とダイヤグラムも桜蔭中の算数では非常によく見られるテーマです。

(1)は下りだけに注目すれば、20分で5000m進んだとすぐに読み取ることが出来るでしょう。

この分速250mが静水時④+流速①=⑤にあたるので、落ち着いて静水時④の分速を求めましょう。

(2) △

BC間で出会ったということは、上りの定期船Qは5分間の休憩を取っていないことが分かります。

Qだけが動いていた5分での750mぶんを除いた4250mを出会うと考えましょう。

計算がやや煩雑ですが、桜蔭中の算数の問題としては特に珍しくもない数値設定でしょう。

(3) △

ダイヤグラムの続きを描いて、状況を整理できると良いでしょう。

2つの定期船PとQの静水時の早さは同じなので、解答例のようにダイヤグラムにおいて「平行」を意識できると状況を把握しやすくなります。

今回はPがC地点を出発してからQがC地点を出発するまでが30分であることに注目すると、PがB地点に着いてから、QがB地点に着くまでも30分であることが分かります。

そこからAB間の往復にかかる時間を求めましょう。

簡単な問題ではないですが、ダイヤグラムは桜蔭中では頻出の解法なので、対策を重ねてきた受験生なら完答したいところです。

大問4

(1) ① 〇  ② 〇

珍しい設定の問題ですが、決して難しくはありません。

①はそれぞれの立方体が出来る限り互いに接するよう考えましょう。
②は中心の立方体の周囲4面に接する場合を考えましょう。

①よりもむしろ易しいです。

(2) ① △

(1)をヒントに、どのような状態だと円同士で接する箇所が多くなるかを考えましょう。

解答例のように考えると最大で10個の立体を積み上げられると分かります。

あとは答えの範囲にあてはまるよう、×3.14の計算の工夫を意識したうえで、円柱の個数と円錐の個数を不定方程式の要領で調べていきましょう。

やや難度が高い思考力寄りの問題でした。

(2) ② 最大 △  最小 ×

(1)①と同じように考えましょう

円錐を4個使うことはすぐに分かり、体積が一番大きくなる立体も①を利用すれば比較的考えやすいのではないでしょうか。

体積が最も小さくなる立体は検証が多くなり、またここまで正解できていないとそもそも取り組むことすら難しいので、正解できた受験生は決して多くなかったことでしょう。

総評

このように2022年の桜蔭中の出題も、2018年以降続いている大問4題という構成になりました。

難度は、今の出題形式になったここ5年の中では、やや易しめと言うことが出来そうです。

処理量がいつもよりも少なく、また発想力が問われる難問も見られず、捨て問と呼べる問題はありません。

合格ラインが公表されない学校ですが、この出題ならば65点くらい取っておかないと算数でアドバンテージは得られません。

合格ラインに乗せるための得点戦略を具体的に考えてみましょう。

まずは〇の箇所を全て正解して40点強を獲得。

△の箇所で半分正解して、なんとか65点に乗せるようなイメージでしょうか。

△の中では大問1(2)(3)や大問3(2)(3)あたりが、桜蔭中の算数の対策を積んできた受験生にとっては取り組みやすいと言えそうです。

2023年以降に桜蔭中合格を目指す皆さんにとっても、2022年の桜蔭中の算数の出題は非常に参考になることでしょう。

不定方程式やダイヤグラムの活用と言った桜蔭中の算数で頻出の単元が出題され、難度もほどほどなので学習効果も高そうです。

なお今年度に出題されなかった重要テーマとしては「素因数分解を題材とした数の性質」が挙げられます。

過去問演習を通して、自分なりの桜蔭中学の算数の合格戦略を確立しておきましょう!

その努力の先にはきっと、刺激溢れる桜蔭生活が待っていますよ。


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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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