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サカセルコラム
【2026年度】恵泉女学園 塾対象説明会レポート Column
こんにちは、自律学習サカセル 進学アドバイザーです。
2026年6月9日(火)、世田谷区の恵泉女学園中学・高等学校で行われた塾対象の学校説明会に参加してきました。
恵泉の基本的な魅力(自由服、メディアセンター、対話を重視する校風など)については、昨年の三宅先生が書いた「恵泉女学園 他校とここが違う!」に詳しいので、そちらをどうぞ。
この記事では、今回発表された入試結果と来年度入試の情報、各教科の先生方のアドバイス、それから当日校内を歩いて感じたことをまとめます。
それでは行ってみましょう!
案内してくださった先生は、ご自身も恵泉のOGでした。「私が生徒だった頃は」という話を交えながらの説明はとても分かりやすく、話しやすい方で、卒業生が母校に戻って教壇に立っていること自体、学校の居心地の良さを物語っている気がします。
説明会の壇上では先生方はかしこまって話されていたのですが、授業を覗くと表情は豊かで、生徒たちも楽しそうでした。すれ違う生徒たちの挨拶も快活で心地よいものです。形だけのお辞儀ではなく、自然に声が出ている感じでした。
廊下や教室では、生徒が先生に気軽に声をかける場面を何度も見かけました。高3では年6回以上の面談があるそうですが、数字以前に、困ったら相談できる空気が日常にあるのだと思います。見学の途中には「卒業生がいたら呼んできますよ」と声をかけていただく場面もありました。生徒をそのまま見せられる学校なのだな、と感じます。
自由服については、学年が上がるにつれて、それぞれが自分なりのおしゃれを楽しんでいる様子が見られました。「TPOに応じて自分で考えて選ぶ」という学校の説明のとおりです。
…そして正直な報告をもうひとつ。授業中に集中できていなかったりウトウトしていたり…という生徒の姿もちらほら(笑)。ただ、頭ごなしに管理する学校ではない、ということでもあります。任されている分、自分を律することが求められる環境です。お子さんが管理されて伸びるタイプか、任されて伸びるタイプか。学校選びの大事な軸だと思います。
おまけをふたつ。食堂のメニューはどれも美味しそうで、正直、食べて帰りたいくらいでした(笑)。それから、駅からは少し歩きますが、活気のある商店街を通っていくので負担は感じません。6年間毎日歩く道としては、むしろ楽しい部類だと思います。
今年の入試を振り返るうえで外せないのが、2026年度が「サンデーショック」の年だったことです。2月1日が日曜日にあたり、女子学院をはじめプロテスタント系の学校が試験日を2月2日にずらしました。
恵泉側の分析は明確で、影響を受けたのは2月2日午前の第2回入試。第2回は出願・受験者数ともに減少した一方、第1回・第3回は例年通りの動きだったそうです。
| 試験日 | 募集 | 応募 | 受験 | 合格 | 実質倍率 |
| 第1回(2/1 午後・2科) | 80 | 557 | 533 | 287 | 1.9倍 |
| 第2回(2/2 午前・4科) | 70 | 419 | 298 | 139 | 2.1倍 |
| 第3回(2/3 午後・2科) | 30 | 544 | 294 | 66 | 4.5倍 |
繰り上げ合格は0名。最終的に209名(5クラス)でのスタートです。
科目別のデータも載せておきます。過去問演習の目標設定にお使いください。
| 科目 | 第1回(最低点/受験者平均/合格者平均) | 第2回 | 第3回 |
| 国語(100点) | 39/58.0/65.3 | 34/56.4/62.9 | 41/49.2/60.2 |
| 算数(100点) | 38/52.4/61.7 | 32/45.8/56.6 | 53/56.4/75.7 |
| 社会(70点) | ― | 30/42.7/48.5 | ― |
| 理科(70点) | ― | 36/47.7/53.4 | ― |
第3回の算数は合格者平均75.7点、合格最低点53点とかなり高めです。最終日程は算数の出来が合否を左右したと言えそうで、第3回の過去問を解く際はこの水準を意識しておきたいところです。
併願先は、入学者ベースで最多が今年も小田急線つながりの鷗友学園女子、続いて吉祥女子と東京農大一が並んだとのこと。農大一が上位に来たことや、例年多い併願校が今年は少なめだったことについて、学校側はサンデーショックの影響と見ています。2026年度の倍率や併願データは、特殊な年のものとして少し割り引いて見るのが良さそうです。
2027年度入試は2026年度から基本的に変更ありません。
| 第1回 | 第2回 | 第3回 | |
| 日程 | 2/1(月)午後 | 2/2(火)午前 | 2/3(水)午後 |
| 科目 | 2科(国・算) | 4科(国・算・社・理) | 2科(国・算) |
| 配点 | 国算 各45分100点 | 国算 各45分100点/社理 各30分70点 | 国算 各45分100点 |
| 募集 | 80名 | 70名 | 30名 |
変更点は1つだけで、第3回の合格発表が23時から22時に1時間繰り上がります。
2027年は2月1日が月曜日なので、サンデーショックの影響はありません。通常の併願パターンに戻る年です。
説明会で案内のあった、保護者の方からよく聞かれる点もまとめておきます。
ここからが今回の説明会の真骨頂。各教科の先生が、どこで差がついたのか、採点の内側の話まで聞かせてくれました。受験生のいるご家庭は、ぜひお子さんと一緒に読んでください。
今年いちばん差がついたのは、第1回の速さ(ダイヤグラム)の問題だったそうです。文章量が多く条件整理が必要な問題で、(1)の得点率は44.3%。ダイヤグラムを描いて図形的に処理できた子と、足し引きの計算だけで乗り切ろうとした子で明確に分かれた、という先生の分析が率直でした。
また、恵泉が毎年のように出す平行四辺形の図形問題(第1回)に対し、第2回では正六角形を出題したところ、問うている内容は同じなのに正六角形の方ができなかったとのこと。見た目が変わると解けなくなる受験生が多い、ということですね。
採点面では、第2回(4科)は大問3以降の式・図・説明に途中点があります。午後入試も、設問をスモールステップに分けるなど考え方を見ようとする姿勢は一貫しています。先生からのメッセージは「答えだけでなく過程を大切に、なぜそうなるのかを考える習慣を」でした。
各回とも記述問題が合否に直結した、とはっきり明言がありました。
例に挙がった第2回の物語文(出征する兄に、いつもは怖い姉がそっとお金を渡す場面)では、兄姉に共通する家族への深い愛情と、それが自分にも備わっていると感じた感動、この2つの要素が両方そろって初めて○。「嬉しい気持ち」とだけ書いた答案は説明になっておらず△、という採点基準まで開示されました。
論説文(ろう者と手話の文章)では「異文化とは外国のことではない」の言い換えが問われ、「外国のことではない」の部分をきちんと言い換えられたかで大きく差がついたそうです。
漢字の正答率は第1回66%、第2回75%、第3回76%と回によって差があり、同音異義語の書き分け練習が推奨されていました。
合格者平均48.5点、受験者平均42.7点(70点満点)。歴史では時代名を伏せて特徴から時代を特定させる問題の正答率が低く(弥生時代の特定で30%など)、年号と用語の暗記だけでは取れない出題になってきています。
一方で先生が嬉しそうに話していたのが公民の記述です。生成AIで「ドラえもん風の漫画」を作る場面を題材に、起きる事実だけでなく、それが社会全体にどんな影響を与えるかまで書けるかを問う出題で、自分の言葉で社会と結びつけた良い答案が多かったそうです。日頃から世の中の出来事について家庭で話すことが、そのまま対策になります。
なお、本年度は歴史の記述1題で設問の前提に不適切な点があり、受験者全員を正解とする措置がとられたことも、お詫びとともに報告されました。
理科の説明はとても実戦的でした。得点率70%超の問題をすべて取れば約40点で合格最低点(36点)を超え、得点率50%超まで取りきれば約55点で合格者平均(53.4点)を超える。どこまで取れば受かるのか、具体的な目安を示してくれました。
今年差がついたのは物理の比熱と地学のフェーン現象です。どちらも、公式や定番の面積図の暗記では解けず、与えられた文章から原理を理解して計算を組み立てられたかで分かれたとのこと。サイコロの問題で単位の書き忘れによる失点が予想以上に多かった、という注意喚起もありました。
生物2題の出題は園芸の恵泉らしい長年の伝統です。30分で大問5題、1題5分のペース感覚も意識しておきたいところです。
「英語の恵泉」の看板は健在です。高2のGTEC検定版平均は1001.5点で、全国平均804点を約200点上回ります。高3の約2割が英検準1級を取得。中学では習熟度別にせず基礎を全員でじっくり固め、高校からレベル別に分ける方針で、「学校の勉強だけで英語のアドバンテージが取れる」という言葉には実績の裏付けがあると感じました。
進路面では理系比率が約4割まで上がり、直近の大学合格者数は総計226名と過去最多水準です。マレーシア8大学との提携・推薦枠など海外進学の選択肢も広がっており、芸術系への進学が1割を超えるあたりも恵泉らしいところ。課外のサイエンス研究班がコンクールで評価され、夏にマレーシアでのアジア大会で発表する話など、数字より中身の報告が多い説明会でした。
データの上では、サンデーショックで第2回が動いた年でした。ただ、説明を聞いていくと、算数では過程、国語では要素の積み上げ、社会では自分の言葉で書くこと、理科では原理の理解と、どの教科の先生も同じ方向の話をしていることに気づきます。礼拝の感話に代表される、自分で考えて言葉にする校風が、そのまま入試問題に出ている学校です。
快活な挨拶、授業中の楽しそうな表情、思い思いのおしゃれ。校内で見たものと入試で求められるものがつながっている、という印象を持って帰ってきました。
恵泉女学園は2029年に創立100周年を迎えます。気になった方は、ぜひ次の機会にご自身の目で確かめてみてください。
いずれもウェブサイトからの予約制です。穏やかな環境で、任されながらまっすぐ伸びていける6年間。おすすめですよ。
この記事を書いたのは...
進学アドバイザー
大手集団塾の入試報告会や各校の学校説明会に積極的に参加している自律学習サカセルの講師陣。
常に最新の状況に受験情報をアップデートし、日々の指導にも活かしています。
ただ、せっかくの有益な情報です。
中学受験を志す多くの皆さんにも共有したい!
そんな思いを持って、進学アドバイザーが発信します。