上位校を目指す中学受験生にとって、6年生前期の学力の客観的指標となるのが4月と6月に実施される志望校判定サピックスオープンです。
サピックス生のみならず、早稲田アカデミーや四谷大塚、日能研など、他塾に通う上位生も数多く受験するので、志望校における自身の現在地を把握するための非常に参考になるデータが得られることでしょう。
ただ様々な面で「難しい」テストであることは確かです。
ここでは、その「難しさ」の要因と、データの活かし方を考えてみましょう。
① 各科目ABに分かれ、難問を中心に多角的に学力を測定する出題内容
まずは算国理社の4科目が、それぞれABタイプに分けれて出題されることが大きな特徴です。
今までは例えば「算数」という1つの科目の中でAタイプとBタイプをバランスを意識して配置する出題形式でしたが、志望校判定サピックスオープンでは別の科目として扱われます。
各科目のAタイプは、中学受験における基礎知識の定着度を確認するものですが、ただ知識を持っているだけでは歯が立ちません。
知識を問題に応じて使いこなすことが求められる高度な出題だと言えるでしょう。
また制限時間もタイトなので、スピードや判断力も求められます。
その結果、試験中の手応えよりも得点が伸びない生徒が多いことにも頷けます。
Bタイプは更に個性的な問題が並びます。
開成中・麻布中・桜蔭中などを意識したような小問に分かれた大型問題が並ぶ算数。
麻布中や武蔵中などの出題で見られる、長文の読解と記述力に特化した国語。
海城中や麻布中、渋谷渋谷中などで散見されるような、リード文をもとに社会科学的視点を問われる社会。
栄光学園中や駒場東邦中、渋谷幕張中のように受験生があまり接したことのないような題材から、実験データをもとに考察を進めるような理科。
いずれも一筋縄ではいかず、平均点が30%台以下になることもしばしば見られます。
当然ながら範囲の無い試験なので、過去問を通して対策をすることの意味も薄いです。
強いて言うなら出題形式に慣れることが出来る、ということくらいでしょうか。
テストの復習に関しても扱いに困る場面は少なくありません。
個々の生徒の現在の学力や志望校に応じて、復習すべき問題も正しく判断する必要が生じます。
決して全問を解きなおして理解する必要は無い点、気を付けましょう。
受けっぱなしになってしまうのはもったいないものの、完璧に復習しようとしても、それがむしろ逆効果になってしまう点、難しいですね。
② 午前午後の超長時間の試験時間
志望校判定サピックスオープンの試験時間の合計は260分。
試験と試験の間の問題配布時間や昼食の時間を含めると、5時間を超える長丁場となります。
休日に塾や自宅で5時間くらい勉強することには慣れていても、テストの緊張感の中で5時間を過ごすと疲労度は非常に大きいことは否めません。
今まではテスト当日に直しを終えられたり、解説授業で問題を解決できたりした生徒が、復習を翌日以降に持ち越してしまうことも仕方ないのかもしれませんね。
テスト当日に学習スケジュールを詰め込みすぎないよう気を付けましょう。
2月以降の中学受験本番で午後受験を考えている生徒にとっては、良い予行演習になると捉えて欲しいところです。
③ 自分に必要な情報の見極めが困難
志望校判定サピックスオープンでは4教科8科目の成績が出て、もちろん小問ごとの正答率のデータも明示されます。
また志望校も10校まで入力し、判定することが可能です。
ただ、この多すぎるデータ量も判断が難しいものです。
たとえば社会Bの成績が良くなかったとしても、すぐに対策をとる必要はありません。
そもそもBタイプの割合が高い学校が少なく、また対策を進めるとしても秋以降で充分です。
もちろんAタイプの成績が振るわない時は心配ですが、まだまだテストへの慣れという面でも課題はありますし、あくまでも参考としておきましょう。
この時点では毎週の学習を通して解法知識の充実を図ることが最優先の学習事項です。
総合点による志望校の合否判定も気にしすぎる必要はありません。
あくまでも全受験生の共通の問題で、しかも現時点での数値に基づくものです。
実際に信憑性の高い志望校判定は秋以降に実施される各塾の学校別の公開模試を参考にしましょう。
とにかく志望校判定サピックスオープンは現状を把握するための資料として使うことが大切です。
「占い」という気持ちで気楽に望むくらいのスタンスで受けて欲しいものですね。
ただ、この占いは今後の受験勉強において参考になる点も非常に多いです。
もし具体的な見方について相談したい場合は、是非ともお気軽にお問い合わせくださいね。
今までの学習や志望校から、今後の学習方針に関してアドバイスが出来ればと思います。
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