80点満点 40分
算数国語が120点に対して80点の配点は首都圏の中学としては標準的でしょう。
構成は大問5問のことが多いですが、まれに4問構成の年度もあります。総問題数は30~50問。42~43問のことが多いです。
[1]は小問集合、[2]~[5]で生物・化学・物理・地学から各1問ずつになる年度がほとんどです。いくつか特徴がありますので挙げていきます。
小問集合
駒東最大の特徴ともいえる出題です。10問前後で、その難易度にとてもばらつきがあります。とても平易なものから難問までありますので、確実に取れる問題を取り、時間をかけ過ぎないことが重要になります。
生物
動物や生態系がよく出ています。毎年良問が多く、自然を科学的にとらえられている受験生を求めているのが感じられます。
化学
典型的な化学計算も一部登場しますが、メインは原理の理解です。習ったことを身近な現象に当てはめて考えられるか、を問う問題が多く登場しています。
物理
力学(てこ、ばね、浮力)、光、運動、電流など、まんべんなく登場していますが、いずれも表やグラフからデータを読み取って考える問題になっているのが特徴的です。
地学
気象、地層、流水のはたらき、天体と、こちらもまんべんなく登場していますが、他校に比べて天体が少なめの印象です。また、他の分野に比べて問題が易しめですので、確実に得点したいところです。
密度・熱
化学と物理の中間単元であるこの2つはとてもよく登場しています。
データの読み取り
複雑な表やグラフからデータを読み取る問題は頻出です。また、グラフをかかせる問題も出ます。過去問を中心に実験結果の処理のしかたに慣れておくこと、いろいろなグラフに触れて読み取り方を知っておくことが必要です。
読解問題
リード文や図などから情報を読み取って考察する問題も登場しています。ただ、駒東レベルを受験する受験生にとって特別難しくはないのでは、と感じます。
記述問題
現象や実験結果について理由を考察する記述がよく登場しています。読解力・思考力に加えて、科学的な知識も必要な、総合問題です。
計算問題
データの処理や標準的な計算問題は登場しますが、特別難しいものは登場していません。
求められている力は科学的思考力です。習ってきた原理を深く理解しているか?身近な現象に当てはめて考えられるか?しっかりと理解しながら勉強してきた受験生には「あれ?意外と簡単…」ということもよくあります。
算数的なアプローチで難しくしたり、読解メインになる学校もある中、純粋な「理科」の入試問題を出してくれる学校です。
問題の分類
知:知識問題
考:思考問題
計:計算問題
読:読解問題
問題のレベル分け
〇:絶対に取りたい
△:この中から半分以上取りたい
×:捨てても可
[1]小問集合
(1)計 △
植物の葉1枚の気孔の数を計算する
ア (0+290)×18=5220
イ (52+68)×800=96000
ウ (175+325)×36=18000
エ (40+280)×50=16000
2番目に多いものを選ぶのでウです。
解答 ウ
第一問から少し時間のかかる問題が登場しました。計算のしかたが分からない受験生はほぼいないと思いますが、時間を取られ過ぎてこの後の時間が足りなくなってしまったり、あせったりしてしまう可能性があります。計算が遅くて不正確な場合はいったん飛ばしてもよいでしょう。後には即答できる問題が続きます。
(2)知 〇
タンポポのロゼット。
解答 ア
とても簡単な問題が出ました。植物が苦手でもこれは出来るでしょう。
(3)知 〇
「線状降水帯」、はげしい雨をもたらす雲とくれば積乱雲!
解答 イ
(4)知 〇
実験Ⅰ水を氷にしたとき 体積が大きくなるので氷の上面はもとの水面より高くなります。
実験Ⅱ水に浮かせた氷がとけたとき 氷は水になると水面下に沈んでいた分の体積になるので水面は変わりません。
解答 実験Ⅰ ア 実験Ⅱ ウ
どちらも知識として持っておき、ラクに解きたい問題です。
(5)考 読 △
沸騰水の温度のはかり方を選ぶ問題。選択肢が多く、どれもそれらしいことが書いてあるので悩んでしまうかもしれません。
ヒントは問題文の4行目「液体の温度をはかるときは、温度計内のアルコールがのぼったところまで液体中に入れてはかる」です。
しかしAもBも液体に入っているのは温度計の先の部分だけです。より近いものを探しましょう。
ア・エ「温度計の目盛りは、球部と液体部分の温度が同じ温度のときに正しい温度を示す」
イ・ウ「温度計の目盛りは、球部の温度によって正しい温度を示す」
問題文のヒントから考えるとア・エが正しいと分かります。
水が沸騰してできた水蒸気がさらに加熱されたわけでもないのに高温になるのはおかしいのでエは×。
解答 ア
(6)知 考 〇
電池を並列にしても電圧(電流を流そうとする力)は変わらないので、豆電球に流れる電流は変わりません。
解答 ス
(7)知 読 ①〇②〇③△
穴埋め問題。化石燃料を燃焼させて生じた①によって、ボイラーで高温高圧の②を発生させる。
化石燃料の燃焼によって生じるもの…二酸化炭素、水蒸気、熱、光がありますが、これによってボイラーで高温高圧の、とあるので「熱」でしょう。熱によって高温高圧の「水蒸気」を発生させ、その勢いでタービンを「回転」させています。
手回し発電機と基本的な原理は同じです。発電のしくみは簡単にでよいので知っておいた方がよいでしょう。
解答 ①熱 ②水蒸気 ③回転
(8)知
時事問題。はやぶさ2→リュウグウ 即答!
解答 エ
[2]水溶液
水溶液の液性の問題。水溶液は重そうを含んだパンケーキ、指示薬はムラサキイモパウダーになっています。中和の考え方を身近なものに対応させて考えられるかを問われています。
(1)考 知 〇
リード文から
強酸性:赤 酸性:赤むらさき 中性:むささき アルカリ性:緑 強アルカリ性:黄
緑色(アルカリ性)に酸性のレモン汁をかけているので中和反応が起こります。
アルカリ性が弱まる→中性→酸性 になるはずなので、この選択肢の中では酸性の赤むらさき色です。
解答 エ
(2)考 〇
(1)で赤むらさき色(酸性)になったので、アルカリ性→酸性のなったものを選びます。
解答 ウ、オ
(3)知 〇
重そうを加熱すると出てくる気体、石灰水を白くにごらせる
解答 二酸化炭素
(4)考 △
重そう(炭酸水素ナトリウム)の水溶液がアルカリ性であることは受験生なら知っているでしょう。しかしここでは加熱前の重そうではなく、加熱後に緑色(アルカリ性)になった、といっています。どういうことでしょう?
重そうは水に溶けてアルカリ性を示しますがこのアルカリ性は弱いため、はじめはほぼ中性だったと考えられます。
ここで(3)の情報から
炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素
この炭酸ナトリウムが水に溶けるとアルカリ性、しかも炭酸水素ナトリウム(重そう)よりも強いアルカリ性を示した…と判断できます。
選択肢を消去法で消しながら考えていければよいでしょう。
解答 オ
(5)計 〇
濃度計算。
200×10/110=18.18…整数で答えるので18g
解答 18
(6)考 記 △
25℃で水100g 重そうは10gまで溶けるはずですが、いったん70℃まで加熱した後10℃まで冷やしても、固体が出てこない。なぜか?
ヒントは加熱したとき「気泡が発生していた」
ここから 炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素 の反応が起こっていたことが分かります。これにより、炭酸水素ナトリウムが減ったのです。これを書けばよいでしょう。
ここで、炭酸ナトリウムが出来ていることが気になる受験生もいるでしょう。その場合、炭酸ナトリウムの固体も出てきていない→炭酸ナトリウムは炭酸水素ナトリウムより水に溶けやすい?と推測できます。
解答例1 加熱したことにより重そうが炭酸ナトリウムと二酸化炭素に変化し、重そうの重さがが減ったから。
解答例2 加熱したことにより重そうが炭酸ナトリウムに変化し、炭酸ナトリウムは重そうより水に溶けやすいから。
(7)考 知 〇
胃液が酸性(塩酸を含んでいる)ことは駒東志望生なら知っているでしょう。胃液が出過ぎて調子が悪いとき、重そうで中和することがあります。
解答 オ
[3]動物
海の生態系を考える問題は、駒場東邦中でよく登場します。海洋生物愛が感じられる、楽しい出題です。
(1)知 〇
ミジンコが食べているプランクトン。クンショウモ、ミドリムシですね。
ワラジムシはダンゴムシに似ていますが、触っても丸まらない節足動物(甲殻類)です。
解答 イ、ウ
(2)知 〇
サービス問題
解答 食物連鎖
(3)読 知 〇
ニューストンは水面上もしくは水面直下で浮かんでいる生物ですから、アメンボとウキクサが当てはまります。
解答 ア、カ
(4)読 考 記 △
ハマダンゴムシの幼体が波乗り行動をする利点。
図2から成体は昼間波打ち際から少し離れたところにいること、幼体は海藻の下にいることと、体の大きさの違いから、移動能力にかなり差があることが読み取れます。
幼体は成体に比べて移動能力が低い→波乗り行動、と考えられます。
解答例 エサである海藻のあるところに移動できる点
(5)読 知 〇
背骨のあるネクトン、セキツイ動物を選ぶ問題。
スルメイカ 背骨がない、ネクトン(遊泳生物)×
アカウミガメ ハ虫類なので背骨あり、ネクトン(遊泳生物)〇
ザトウクジラ、シャチ ほ乳類なので背骨あり、ネクトン(遊泳生物)〇
ミズクラゲ 背骨がない、プランクトン(浮遊生物)×
イセエビ 背骨がない、ベントス(底生生物)×
解答 イ、ウ、エ
(6)考 記 △
直接食べる以外に魚の消化管内にマイクロプラスチックが入るとき。直接でないので間接的に消化管内に入る場合を考えればよいでしょう。
解答例 魚がエサとして食べた生物の体内にマイクロプラスチックが入っているとき
食物連鎖と環境問題を組み合わせた問題は最近の中学入試でよく登場します。
(7)知 ×
深海生物のベントスを答える問題。ベントス限定ですから、チョウチンアンコウなどは答えられません。一般的に知られているのは数年前に話題になったダイオウグソクムシでしょう。何年もエサを食べないことで話題になったので保護者の方は思い出すかもしれませんが、調べてみたところ2014年のことだったようです。小学生にとっては、かなり前の出来事ですね。また、知っている気がするけど思い出せない!…とこだわってしまうと時間をロスする危険な問題です。
解答例 ダイオウグソクムシ
もちろん他のもので知識を披露しても構いません。
(8)考 記 △
本来海水に浮くはずのプラスチックが海底に沈む理由。プラスチックの密度を海水より大きくしなければいけません。考えられることは
生物が飲み込んでふんとともに排出された
生物の死がいやふんに付着した
などでしょう。
解答例 生物の死がいやふんに付着して密度が海水より大きくなったから
[4]流水のはたらき
比較的解きやすい問題が並んでいます。最近定番化しつつあるグラフを少し変えて登場させたり、岩石がもろくなる理由を考えさせる問題などはさすが駒東、です。
(1)知 〇
流れる水が岩石をけずるはたらき
解答 侵食作用
(2)読 考 記 △
岩石がもろくなる理由。なんとなく分かっても記述で表現するのが難しいかもしれません。
「鉱物によって体積の変化の大きさが異なっている」ここがポイントでしょう。
鉱物の体積変化だけに注目して書いてもいいですが、解答欄が大きめなので、水を加えてもよいでしょう。
解答例 鉱物によって体積の変化の大きさが異なるので、無理に押されたり引っ張られたりしてもろくなる。
解答例 鉱物によって体積の変化の大きさが異なるのですきまができ、そこに水が入ってこおると体積が大きくなるのでもろくなる。
(3)考 知 ①〇②〇③△④△
穴埋め問題。上流は簡単ですが、中流の答え方に少し迷いそうです。形が丸く小さいといってしまうと下流の石の特徴になってしまいます。解答欄も大きめなので「上流より」や「やや」「少し」などをつけて分かっていることをアピールしましょう。
解答例 ①角ばって ②大き ③少し丸みをおびて ④上流より小さ
(4)読 考 △
グラフ選択問題。流水の速さを変えていくと、
砂がいちばん速く流され始める→砂のところの速さの値が小さい
しばらくしてどろやれきも流され始める→どろやれきの速さの値が大きい
よって、砂のところが谷になっているイのグラフが選べます。
解答 イ
どろより砂の方が流されやすいことを不思議に思うかもしれませんが、どろは粒が小さく、すきまがあまりないため、水が入り込みにくくなっています。砂は1粒1粒がばらばらになりやすいため、流されやすくなります。
このグラフと堆積しはじめる流水の速さを組み合わせたグラフは最近の定番ですので、見たことがあった受験生も多いでしょう。
(5)知 〇
4~5年生で登場した川の断面図が出ました。
(6)考 知 〇
三日月湖のでき方。
川の蛇行がだんだん大きくなって、あるとき川が決壊して新しい川筋ができると、蛇行部分が残される、というもの。
6年生になってからはあまり触れていないかもしれませんが、内容は簡単です。
解答 イ→ウ→エ→ア
[5]熱
電熱線を使っていますが熱がメインの問題です。
(1)計 グラフ 〇
水量に対する1℃上昇させるのにかかる時間を考えるグラフ。
値がはっきりしているところを読み取ります。
50g 5℃ 2分=120秒
1℃ 24秒
100g 6℃ 5分=300秒
1℃ 50秒
150g 4℃ 5分=300秒
1℃ 75秒
200g 3℃ 5分=300秒
1℃ 100秒
これをグラフにすると図のようになります。以下がポイントです。
・点を大きくはっきり打つ
・ひとつひとつを折れ線でつながず、1本の線にする
・200gの点で止めずにグラフの枠内いっぱいに線を伸ばす
(2)考 計 ①〇②〇
1.図1(c)のグラフからも考えられますが、常識的に考えても出来るでしょう
水の量が少ないほど温まりやすい
2.(1)より、水100gのとき50秒で1℃の水温上昇ですから
水10gなら、5秒で1℃です。
解答 ①イ ②5
(3)知 考 記 〇
水に金属を入れ、しばらく経ってから温める理由。
これは、その場で考えてもよいですが、知識として持っておいた方がよい記述です。
解答 水と金属の温度を同じにするため
水と金属の温度を同じにしてからでないと正確な結果が得られません。
(4)考 知 ④△⑤〇
④水は図1の実験のときと比べて、同じ重さでは金属がある分温まりにくいのでは?と考えた受験生もいたかもしれませんが、水自体は同じように温まるはずです。□内の2行目にあるように「金属が周囲の水から熱を受け取って温まる」とあります。
つまり、電熱線→水にいったん熱が伝わり、水→金属に熱が伝わったため、水の温度が水だけを温めたときより低くなっています。
解答 ウ
⑤金属は水と比べて
図2の(f)を見ると、破線(A‘=水200g)と実線(水100g+金属100g)の温まり方の比較ができます。水100g分は共通ですから、残りの水100gと金属100gによって温度の差が出来ていることになります。
破線 A‘=水200g=水100g+水100g
実線 水100g+金属100g
実線の方が温度が高いので金属の方が温まりやすいことが分かります。
解答 ア
金属の方が温まりやすいことを知っていた受験生も多いでしょう。知識で解いても構いません。
(5)考 計 △
図2の(f)のA‘より、電熱線は5分で200gの水を3℃温めていますから、与えられた熱は
200×3=600(カロリー)
水100g+金属100gの方は5分で5℃上がっているので水に与えられた熱は
100×5=500(カロリー)
金属100gは残りの100カロリーで5℃上がったので、1/5の熱で同じ温度上昇になることが分かります。
解答 0.2
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