合格者平均点 90.2点
受験者平均点 80.7点
想定合格点 80点
駒場東邦中学校の併願パターンや過去の試験の解説はこちら
私立男子校として全国でもトップクラスの進学実績を誇る駒場東邦高校。
特に理数系教育に強みがあり、2023年春は最難関の東京大学理科3類に現役で5名の合格者を輩出し、この数字は開成高校や麻布高校をも上回る高水準となりました。
そんな駒場東邦高校は高校募集をしない完全中高一貫校で、入学のチャンスは中学受験しかありません。
競争率は2倍前後と一見すると高くはありませんが、腕に自信のある生徒しか受けないため首都圏でも屈指の激戦となっています。
第一志望とする受験生を集める難関校らしく、各科目で特色が強い出題が課されることも特徴です。
算数は数と図形に振り切った極端な出題で、将来の数学に対応できる力を測る選抜試験になっています。
ここからは2023年の駒場東邦中の算数の問題を通して、どのような戦略で取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
「コラッツ予想」と呼ばれる、有名な数の性質の問題です。
多くの受験生が類題を経験したことがあるのではないでしょうか。
1から順に丁寧に戻っていくだけなので、確実に正解して勢いをつけたい問題です。
(2) ① 〇 ② △
ACに補助線を引くことで直角三角形ABCが見つかります。
与えられている長方形から端の三角形3つを除き、それをAD:DBで比例配分すれば、三角形BCDの面積は容易に求まります。
②の斜線部分の面積はやや難しめです。
平行線に注目することで様々な相似に気づくことが出来るので利用しましょう。
様々な解法が考えられる問題ですが、良い発想が浮かばなければ後回しにしてしまって全く問題ありません。
(3) ① 〇 △
重複順列として式で処理をしても良いですが、0を含み2が2枚あることを考えると、樹形図で書き出した方が早くて正確でしょう。
各位の和が7になることから、書き出したもののうち7の倍数がいくつあるかを調べましょう。
少々面倒ではありますが、丁寧に割り算で確認をするだけの問題で、難しくはありません。
(4) ア × イ △
各位の和は3以上15以下になるので、
商を大きくする=各位の和を出来るだけ小さくする
商を小さくする=各位の和を出来るだけ大きくする
ことを考えて調べましょう。
一番大きい商はすぐに見つかりますが、一番小さい商はなかなか絞り込めません。
いったん後回しにしても良いでしょう。
大問2
(1) △
図形の転がり移動の典型題です。
動きの変わり目ごとに点Pがどこにいるのかを確認しましょう。
点Pの軌跡は「どこが中心」「半径は何cm」「中心角は何度」を意識しながら、丁寧に描きましょう。
右上の半円の面積に関しては「半径は求まらないが、半径×半径なら求まる」という解法を用いることは、駒場東邦中合格を目指す受験生なら常識でしょう。
真ん中の大きな直角二等辺三角形の足し忘れに気を付け、確実に正解しておきたい問題です
(2) △
(1)と同じように動きの変わり目に注目して、丁寧に図を描きましょう。
右下の半円の半径×半径も、解答例のようにマス目を利用して大きな正方形を作れば求めることが可能です。
決して易しくはありませんが、難関校を目指す受験生なら一度は見たことがある発想です。
この大問を正解しておけると、合格の可能性を大きく高めることが出来たことでしょう。
大問3
(1) 〇
等差数列の和を求めるだけの問題です。
この問題を間違えた駒場東邦中受験生はさすがにいないでしょう。
もちろん(2)を解くための下準備になっています。
(2) △
「連続数の和」という難関校で近年、散見される出題テーマです。
(1)で求めた和から2023を引いた数が「連続数の和」となります。
奇数個の場合は「真ん中×個数」
偶数個の場合は「.5になる真ん中×個数」⇒2倍して「奇数×個数」
と分けて、素因数分解をした上で積の組み合わせを考えましょう。
偶数個の場合がやや難しいので、まずは奇数個の場合を求めきって部分点を確保する戦略でも良いでしょう。
大問4
(1) 〇
立体切断の典型題です。
(1)は切り口が等脚台形になるよくあるパターンでした。
セオリー通りに切り口を描き、体積を求める際は延長して、大きな三角錐から小さな三角錐を除くと考えましょう。
駒場東邦中を目指す受験生の大多数が正解できたことでしょう。
(2) △
「同一平面」⇒「平行」⇒「延長」という基本手順では切り口を求めにくいものの、駒場東邦中の受験生ならば感覚的にも「切り口は六角形になるんだろうな」と気づけるのではないでしょうか。
切り口を延長することで、大きな三角錐から小さな3つの同じ三角錐を除くと考えることが出来るでしょう。
最後の大問としては易しめです。
総評
戦慄の高難度となった2022年の翌年、いったいどうなることやら…と心配していましたが、蓋を開けてみると受験者平均点が80.7点、合格者平均点が90.2点と従来の難度に戻りました。
出題内容は、さすが駒場東邦です。
頑ななまでに「数」と「図形」に絞り込まれています。
合格ラインを考えてみましょう。
総合点では受験者平均点が261.2点/400で合格最低点が262点/400なので、平均点の80点が基準となりそうです。
「算数で稼いで駒東に受かろう!」という受験生にとって、間違えても仕方ない問題は大問1(2)②、(3)②、大問3(2)くらいでしょう。
「極端に難度の高い捨て問が無く、全体的に易しめだった」と総称することが出来そうです。
典型題が中心だったこともあり、中学受験に向けた学習をコツコツ頑張ってきた受験生が報われやすい出題だったと言うことも出来そうですね。
なお大問1の小問集合がやや難しめで、大問2~大問4が易しめという、やや異質の構成だったので、序盤の問題だったとしても、いったん後回しにするという試験会場での判断力も合格のためには重要だったかもしれません。
ただ例年の駒場東邦中の出題では、斬新な視点が求められることも少なくありません。
2024年以降に駒場東邦中の合格を目指す受験生の皆さんは、駒場東邦中の過去問を遡ることで、様々な視点を経験しておきましょう。
開成中や聖光学院中など、他の男子難関校の問題に挑戦してみることも有効です。
駒場東邦中には2022年度は自律学習サカセルから4名の合格者を輩出することが出来ました。
この規模の塾としては我ながら健闘したと思っています。
各科目で「合格のコツ」を伝えられる自負もありますし、駒場東邦中合格を目指す皆様、是非ともご相談ください。
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