-
受験者平均点 60.6点
-
合格者平均点 73.0点
-
想定合格点 70点
駒場東邦中学校の学校の特徴や算数の傾向分析、2018年の算数の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2019年の算数の出題分析はこちら
駒場東邦中学校の2020年の算数の出題分析はこちら
首都圏最難関男子校の一角の駒場東邦中。
抜群の進学実績はもとより、男子最難関校には珍しい面倒見の良さも魅力で、多くの受験生親子の憧憬を集めます。
ただ駒場東邦中は高校募集をしていない完全中高一貫校なので、入学を希望する場合は難関である中学受験を経るしかありません。
ここ数年はチャレンジ層の受験が減っていたので実質倍率で2倍を割り込んでいましたが、2021年度は2016年度以来、久々に2倍を超える激戦となりました。
ここからは2021年の駒場東邦中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。
分数の形で処理しましょう。分母に約分しにくい7が出てきますが、最終的にはシンプルな解答に落ち着きます。
確実に正解しましょう。
(2) 〇
円とおうぎ形の基本問題です。
4年生の導入時に扱うレベルの問題なので、ここで失点した駒場東邦中の合格者は皆無でしょう。
(3) △
手掛かりが少なめの虫食い算です。
繰り上がりを考えてY=1と考えNEWを大きくするためにN=9の場合から順に、2回出てくるEに気を付けながら調べます。すると、N=8および9の場合はAに数を入れることが出来ず、N=7の時に初めて成立します。
もし方針が立たなかった場合は、いったん後回しにしても良かった問題です。
(4) 〇 △
「桁ばらし」と呼ばれる「何桁目」に注目した場合の数の問題です。
解答例のように各位で1が何回出てくるかに注目しましょう。
〈199〉は様々なテキストに掲載されている形そのままなので易しいでしょう。
〈2021〉は□□1□の十の位が1の場合と、□□□1の一の位が1の場合でミスをしやすいかもしれません。
(5) ① △ ② ×
回転させたり裏返ししたりすると同じ形になる場合が多く、見た目以上に難しい問題です。
①では「まずは3個横に並べて、あと1個をどこに付けるのか」で場合分けすると2パターンしかないことが分かります。
あとはそれぞれの場合で、どこに付けることが出来るかを、重複に注して丁寧に調べましょう。
②では、①で求めた「3個横に並べるとき」に加えて、「5個横に並べるとき」「4個横に並べるとき」「2個横に並べるとき」を、それぞれ求めましょう。
重複が生じやすく、正解することはなかなか難しかったのではないでしょうか。
大問2
(1) 〇
(2) △
和分解⇒それぞれ何通りか調べるという方法で考えても良いですが、処理量が多くなってしまいます。
フィボナッチ数列とおなじような発想で「その段に来る直前にどこにいるか?」を考えると、より短時間で正解にたどり着くことが出来るでしょう。
4段目に来るためには、その直前に1・2・3段目のいずれかにいることになるので、それぞれの場合を足しましょう。なお直前の3つの数の和が次の数になる数列を「トリボナッチ数列」と呼びます。
やや高度な知識事項ではあるものの、駒場東邦中の受験生なら経験したことのある問題でしょう。
(3) ① △ ② △
①では2回の移動でA、Bがそれぞれ(2段、6段) (3段、5段) (4段、4段) (5段、3段) (6段、2段)進んだ場合を1つ1つ丁寧に考えましょう。
特に難しい問題ではありません。
②も同じように3回の移動、4回の移動をそれぞれ丁寧に調べるだけの問題です。
この問題を完答できると、かなり合格を引き寄せられたということが出来そうです。
大問3
(1) 〇
立体図形の切断の典型題です。
「同一平面」⇒「平行」⇒「延長」のセオリー通りに取り組みましょう。
切り口が六角形になる問題も駒場東邦中の受験生ならば定番の知識ですね。
大きな正三角形から3つの頂点の正三角形を切り落とした図形と考えて、きちんと数値も記入して確実に正解したい問題です。
(2) △
少々複雑な立体図形の切断ですが、所詮は直方体の組み合わせでもあり、また切断回数も1回なので決して難しくはありません。
上は(1)で求めた形そのままなので、下の立方体を4つ合わせた直方体の切り口を考えましょう。
[図1]の下の面の切り口が、下の図形の一部になることを利用し、基本通りに「同一平面」⇒「平行」と切り口を考えていれば、すぐに図に落とし込むことが出来ます。
なお類題が平成15年の大問4でも出ています。
様々なテキストや駒場東邦中の対策プリントにも掲載されている問題なので、同じような考え方を経験したことがある受験生も多かったことでしょう。
この問題も差がついたと考えられます。
大問4
(1) 〇
駒場東邦中では2021という年号に関する問題を2つの連続数として課してきました。
(1)では10と11、11と12、12と13…98と99と考えると、まず(小大)の場合が89個だと分かります。
問題文を確認し、6564のように前の数のほうが大きい(大小)の場合も忘れずに調べましょう。
きちんと題意を把握し、確実に正解しておきたい問題です。
(2) △
1011から9899までの89個、1110から9998までの89個の平均を求めます。
一生懸命計算して正解できれば問題ないですが、等差数列の発想を応用して、
(最初の数+最後の数)×個数÷2でも求まります。
また解答例では、それぞれ同じ89個ずつであることを利用し、(小大)と(大小)それぞれの平均の、その平均として考えました。
(3) ×
2021=43×47は、2021年度の受験生なら常識として持っていた知識でしょう。
例の2021が条件に合うことはすぐに分かります。
また(小大)(大小)のいずれも101ずつ増えていくことが分かるので、101と47の最小公倍数の4747ごとに条件に合う数が出てくることも分かり、同じ(小大)の6768も難なく見つかります。
駒場東邦中の合格を目指すなら、ここまでは正解したいところです。
(大小)の場合は小さいものから調べていくのは、かなり大変です。
解答例では数学の証明の初期に学ぶ「9の倍数の成立条件」のような式変形で考えました。
その他「-2021が47の倍数だから、-2021+4747=2726」と考えても良いでしょう。
いずれにせよ数学的な式処理になってしまうので、中学受験の問題としてはあまり良い解法とは言えませんね。
このように2021年度の駒場東邦中の算数は「駒場東邦中の算数らしさに溢れた出題」になりました。
「和と差の文章題」 「比と割合の文章題」 「速さ」 が1問も出題されない構成は、いくら数と図形を重視している駒場東邦中の算数の問題としても異例と言えるでしょう。
ただ、この個性の強い構成は、駒場東邦中の算数の対策を積んできた受験生にとっては、頑張りが反映されやすかったと言えるのかもしれません。
難度はやや高めです。
合格者平均点が73.0点、受験者平均点が60.6点という点数は、ここ10年では2016年と並ぶ低めの水準となりました。
得点が大崩れしやすい場合の数が多めに出題されたこと、やや高度な知識問題が大問1(4)や大問2(1)(2)などで出題されたこと、サービス問題が例年に比べて少なかったことも一因と言えそうです。
2021年度に合格ラインに乗せるためには、
大問1(1)(2)(4)、大問3(1)、大問4(1)を確実に正解した上で、
大問1(3)、大問2(1)(2)(3)(4)、大問3(2)、大問4(2)で、どのくらい食いつけたか
が鍵になりそうです。
大問1(5)や大問4(3)は正解できればアドバンテージになりますが、合否を分ける問題ではありません。
2022年以降に駒場東邦中に合格を目指す受験生の皆さんは、今までの対策通りに数と図形の学習に力を入れましょう。
少々数学的な知識まで踏み込んで学習をすることも思いのほか効果的なので、上手く講師も利用していってくださいね。
サカセルでは、中学受験に関する皆様のご質問やご相談に中学受験のプロが回答いたします。お困りの際にはお気軽に下のお問合せフォームよりご連絡ください。
にほんブログ村にも参加しています。ぜひ下のバナーをワンクリックで応援もお願いします!