自律学習サカセルの池尻246教室からもほど近い駒場東邦中学。
面倒見も良く、東大や医学部をはじめとする大学進学実績も抜群の男子進学校です。
かつては「男子新御三家」と称されることもありましたが、今やもう1段階、格が上がって開成中や麻布中と並ぶ首都圏男子トップ校として確固たる地位を築いています。
入試難度の高騰は一時期と比べると落ち着きつつあるものの、やはり多くの男子の憧れであることは変わりありません。
そんな駒場東邦の算数の入試問題はこの十数年でも大きな変遷を遂げてきました。
証明や作図、高校数学のアレンジなど「数学」的な要素の強かった平成10年代。
数と図形を中心に、中学受験「算数」を突き詰めた平成20年代前半。
出題分野のバランス良く、算数の基本的な考え方や数への親しみに重きを置いた平成20年代後半。
こうして迎えた平成30年度の入学試験。
合格者平均点は87.3/120、受験者平均点は79.9/120という結果になりました。
受験者500名に対して合格者284名、この2年はチャレンジ層が回避するケースも増えたため、競争率は低めです。
優秀層しか受験しなくなったので、あとは受験者の平均点に乗せられれば合格です。
さて今年の問題は数と図形が大部分を占め、平成20年代前半のような出題バランスに戻りました。
ただ内容は算数の範囲を逸することはなく、大問4は算数的な思考への親しみという意味でも興味深い、きちんと力が反映される出題だったと言えそうです。
ここからは各問題を通して、駒場東邦中の合格を勝ち取るために必要な合格パターンを考えてみましょう。
〇:駒場東邦中合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題、ここでの正答率が鍵
×:出来なくても合否に影響はない
大問1
(1) 〇
基本的な損益算です。
分数で適切に処理すれば、間違えることはないでしょう。
今年はこの1題で文章題と比の出題は終了です。
(2) 〇
計算問題ですが意外に面倒です。
最後は綺麗な数字になるので、解き終えられれば安心できそうですね。
(3) 〇
上下の円錐台に分けて考えます。
この程度の立体図形の処理は駒場東邦受験生ならお手の物でしょう。
(4) △
単位分数の和という頻出テーマですが、やや面倒です。
aは18より大きく36より小さいということに注目して、1/18=2/36=3/54=4/72…として調べてみましょう。
大問2
(1) 〇
四角錐の切断という難関テーマですが、この問題は易しいでしょう。
LNと、Mを通る直線の平行を利用します。
(2) 〇
点の動ける範囲という中学受験頻出テーマです。
60°の扇形4つという平易な問題でした。
(3) ×
問題の条件が複雑で正しく把握できなかった受験生も多かったのではないでしょうか。
OLを半径とする中心角60°の扇形と、棒を中心とする半径がOLの1/3の2つの円に分けて考えます。
大問3
(1) 〇
計算すると(0,4,4,0)を繰り返すだけだと、すぐに確認できるでしょう。
この程度の規則性は落とせません。
(2) 〇
(1)で気づいた規則を利用します。
この問題も落とせません。
(3) △
同じように調べると、はじめの0の後は(3,1,9,7,5)を繰り返します。
1番目の扱いで、答えがずれてしまわないように気を付けましょう。
(4) △
6は、はじめの06の後の(36,16,96,76,56)の5個、7は(07,49,43,01)の4個を繰り返します。
最小公倍数の20個の中に、該当するものが何個あるか丁寧に調べましょう。
この大問で完答できると、かなり優位に立てたのではないでしょうか。
大問4
(1) 〇
順番ではなく、組み合わせなので易しいでしょう。
真ん中を含む、縦・横・斜めです。
ビンゴゲームで皆、一度は想像する出方ですよね。
(2) △
真ん中を含む場合と、含まない場合に分けて考えます。
真ん中を含む場合は20×4=80通り
真ん中を含まない場合は8通りの、計88通りになります。
(3) ×
今度はなかなかビンゴにならないパターンですね。
1以外の4ヶ所、塗りつぶされないマスを選びます。
縦横斜めに注意して、ビンゴにならないよう慎重に確認しましょう。
今年は駒場東邦中の準備をシッカリ積んできた生徒が報われやすい試験だったと言えそうです。
〇が8問/14
△が4問/14
×が2問/14
の内訳なので、〇を7/8、△を2/4、×が0/2で、合計9/14=77点/120、ここから部分点で5点ほど取れれば充分に合格ラインに到達することが出来そうです。
来年以降、駒場東邦を目指す皆さんは是非とも、このセットで90点/120を取れるよう、学習を進めてみましょう。
駒場東邦の合格の鍵は「数の性質」と「図形」です。
「数の性質」では約数・倍数・規則性・場合の数など、様々なパターンに触れておきましょう。
「図形」は平面図形と比、移動と回転、立体図形の切断など幅広い分野から学習を進めましょう。
開成や聖光学院などの過去問も類題演習として有効です。
皆さんが合格を勝ち取れるよう、応援しています。