豊島岡の理科
社会と合わせて50分、50点満点。大問4。
構成は例年
大問1 物理
大問2 化学
大問3 生物
大問4 地学 になっています。
社会と合わせて50分で解くにはかなり量が多いです。計算を含む問題も多いため、社会を15~20分程度で終わらせ、理科にしっかり時間を残すのが定石です。
大問1の物理と大問2の化学のどちらも重めです。読解問題は少なく、題意は分かりやすいですが「ストレートに難しい」問題が多いのが特徴です。どちらかがやや難しく、もう一方は標準的…といった構成になっている年度が多い印象です。
今年は物理がすべて選択問題だったため、時間的負担がやや軽かったでしょう。化学は2つの反応が組み合わさっていたため、理解するのが難しかったかもしれませんが、数値はとても簡単で、計算の負担は小さい問題でした。
大問3と大問4は基本~標準レベルの問題が出題されることが多く、ここは時間をかけずに確実に得点したいところです。
今年も大問3・4はとても「普通」でした。ただ、「月から見た地球の見え方」が標準的に感じるレベルに仕上げておく必要はあります。
時間配分は大問1と大問2…各10~12分、大問3と大問4…各3~5分 といったところです。
社会→大問3・4→大問1・2と進めるのも手です。
受験者平均35.53 合格者平均41.56
解説
問題のレベルは以下です。
◎:基本問題。絶対に取る!
〇:標準問題。豊島岡志望なら取るのが普通
△:差がつく問題。ここから半分以上取りたい
×:捨て問。今回はなし
問題の種類は以下に分けてあります。
知:知識問題
考:思考問題
読:読解問題
計:計算問題
選:選択問題
大問1 浮力
風船の浮力を考える問題。高度によって空気の密度や風船の体積が変わっていくのがポイントですが、豊島岡志望ならどこかで解いたことがある…という子が多かったかもしれません。
数値を答えさせる問題はありませんでしたが、グラフを選択する際に計算を要する問題です。そのため、問題の種類に「計」を入れてあります。
(1) 考 計 選 ○
浮力=空気の密度×押しのけた空気の体積 です。
高度10kmでの浮力を考えてみます。
図2から、高度10kmでの空気の密度は約0.4g/Lです。
風船の体積は5Lなので、風船にはたらく浮力は
0.4×5=2(g) です。
これに当てはまるグラフは「か」です。
解答 か
(2) 考 選 ○
風船の重さは5gなので、浮力が5gになればOKです。「か」のグラフで浮力が5gになるのは高度2kmです。
解答 あ
(3) 考 選 ○
上空にいくと温度は下がります。
→温度が下がると気体は収縮します。
→体積が小さくなるはずですが、風船が膨らむということは体積が大きくなっているはずです。
原因は大気圧が小さくなっていること、その影響が気温による収縮より大きい、と判断できます。
解答 え
(4) 考 計 選 ○
地表、高度2㎞、高度4㎞…で浮力を求めてみます。
浮力=空気の密度×押しのけた空気の体積
地表では
図2より空気の密度1.21g/Lくらい、図3より体積5Lなので
浮力は 1.21×5=6.05(g)くらい
高度2㎞では
図2より空気の密度1.0g/Lくらい、図3より体積6.1Lくらいなので
浮力は 1.0×6.1=6.1(g)くらい
高度が変わっても浮力は6.1gくらいのままほとんど変わっていないことが分かります。
解答 え
(5) 考 選 ○
(4)より風船Bにはたらく浮力はつねに6.1g程度、風船の重さは5gなので上昇し続けると考えられます。
解答 か
(6) 考 計 選 △
(4)と同様に浮力を考えていきます。
高度2㎞のとき
図2より空気の密度1.0g/Lくらい、図4より体積5.6Lくらいなので
1.0×5.6=5.6(g)
高度4㎞のとき
図2より空気の密度0.82g/Lくらい、図4より体積6.5Lくらいなので
0.8×6.5=5.2(g)くらい
これに当てはまるのは「お」です。
解答 お
(7) 考 選 △
風船の重さが5gなので、浮力が5gになるところを(5)のグラフ「お」から探すと、6㎞くらいになります。
解答 う
大問2 化学反応
2つの反応が組み合わさった反応のため、実験結果の気体の増え方が不思議な感じになっています。はじめに「どういうこと⁉」と考え過ぎると時間オーバーしてしまうでしょう。
解き進めて気体の発生量の謎が解けると気持ちいい問題です。
(1) 知 ◎
簡単な知識問題なので、解説は省略します。
解答 え
(2) 知 考 計 △
1 塩化水素25gのときは二酸化炭素が増えている途中なので塩化水素が足りなくなって気体の発生が止まっていると考えられます。→アルカリ性
2 塩化水素40g完全中和なのか塩化水素が余っているかは、この段階で判断するのはかなり難しいです。
二酸化炭素の体積は一定量ずつ増えているので、一見普通の気体発生の計算のように見えますが、加えている塩化水素は一定量ずつ増えているわけではありません。
次の問題で説明されますが、塩化水素ははじめ水酸化ナトリウムと反応し、塩化水素が余れば炭酸水素ナトリウムと反応して二酸化炭素が発生します。
塩化水素20gのとき二酸化炭素の発生量が0なのは、反応1の塩化水素と水酸化ナトリウムの反応で、塩化水素がすべて反応してしまったからです。
ここはいったん保留にしておくか、中性か酸性のどちらかを答えておけばよいでしょう。
正確な解説は後述します。
解答 ① う ② え
(3) 考 計 △
できた二酸化炭素の体積が6Lで止まっていることから
解答 21(g)
(4) 考 計 △
できた二酸化炭素の体積が2Lのとき
塩化水素は3g反応しています。この塩化水素は水酸化ナトリウムとの反応で余ったものですから
30-3=27(g)の塩化水素が反応1で水酸化ナトリウムと反応したことになります。
よって、反応1では30gの水酸化ナトリウムが塩化水素と反応したことになります。
解答 30(g)
ここで、(2)②を考えると簡単になっています。
塩化水素40gを加えたとき、水酸化ナトリウムは30gなので、これと反応する塩化水素は27gです。
この時点で塩化水素は40-27=13(g)余っています。
反応2の炭酸水素ナトリウムは21gなので、これと反応する塩化水素は
9g→13gより少ないので、塩化水素が余っていることが分かります。
(2)の段階で表だけ見て考えるのはかなり難しいでしょう。時間の短い入試ですので、1問にこだわり過ぎずに先に進めた受験生の方が得点できたと考えられます。
(5) 考 選 △
あ 水酸化ナトリウムとの反応が終わって残った塩化水素はすぐに炭酸水素ナトリウムと反応してしまうので、Pの時点では刺激臭は感じられないと考えられます。
→×
い 塩化ナトリウムは反応1でもできるので、これが水に溶けないのなら、塩化水素を加えてすぐに白いにごりが見られたと考えられます。
→×
う 二酸化炭素は反応2が始まるとすぐに発生すると考えられるので、これがPと考えてよいでしょう。
→○
え 反応1が終わると水酸化ナトリウムが残らなくなるので色が消えると考えられます。
→○
お この仮定の場合は、反応2が終わった時点で色が消えると考えられます。Pではありません。
→×
解答 う、え
大問3 植物
典型的な知識問題とど定番の計算問題が登場しています。2~3分で解き切れるよう知識を仕上げておくとよいでしょう。
(1) 知 ◎
あ まきひげをのばして体を支える植物としては ウリ科とエンドウが有名です。
い ヒマワリやヘチマは種子で冬越し、サクラは冬芽で冬越しです。
う め花とお花があるのは ウリ科、裸子植物、トウモロコシです。
え 省略
お 花の後に葉が出る植物は サクラ(ソメイヨシノ)とヒガンバナが有名です。
か 小さな花がたくさん集まって1つの花のようになるものには ヒマワリなどのキク科の他、レンゲソウやシロツメクサ(いずれもマメ科)があります。
解答 ①え、か ②あ、う、え ③お
(2) 知 ◎
帰化植物 セイタカアワダチソウ、ブタクサ、オオイヌノフグリ、ハルジオン、ヒメジョオンあたりを覚えておくとよいでしょう。セイヨウタンポポやオオカナダモは名前から判断できますね。
キキョウとススキは秋の七草に入っているので、日本に昔からある植物だと判断できます。
解答 え、お
(3) 知 ○
一般的には虫媒花→花びらがある花、花に見える花です。
イチゴ・リンゴ→虫媒花
トウモロコシ・イネ・マツ→風媒花
クロモは花びらのある花を咲かせますが、水に花粉が運ばれるので水媒花です。
解答 う、か
(4) 知 ◎
(省略) 解答 蒸散
A B C
表 × ○ ○
裏 ○ × ○
くき ○ ○ ○
4.8 3.2 7.2
表=7.2-4.8=2.4
裏=7.2-3.2=4.0
葉=2.4+4.0=6.4 解答 6.4(㎤)
大問4 月
月の出・月の入りのグラフや表は見慣れたものでしょう。「月から見た地球」も塾のテキストで触れてきた受験生がほとんどと思いますが、図がないのが少し意地悪です。さっと自分で図を描けると余裕をもって考えられると思います。
(1)知 考 ◎
満月は月の出が18時(日の入り)頃→月の出□と日の入り●が交わるところ→4日
上弦の月は月の出が12時頃→月の出□が12:00の線と交わるところ→26日
解答 満月 あ 上弦の月 え
(2)計 考 ○
2/24の夕方に出た月は2/25の朝沈みます。
2/24 17:35→2/25 7:03
(24:00+7:03)-17:35=13時間28分
解答 13時間28分
(3)知 考 △
①月から見た地球と太陽→地球の方が大きく見えます。
②月は地球にいつも同じ面を向けているので、赤い点のところにいるとして考えます。
Bが日の出、Cが真昼、Dが日の入りになります。
日の出→日の出は約30日なので、地球は30回自転します。
③図6のように
Aから地球を見ると満地球
Bから地球を見ると下弦の地球
Cから地球を見ると新地球
Dから地球を見ると上弦の地球
解答 ① い ② か ③ さ
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