この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。
個別指導・家庭教師の自律学習サカセル
サカセルコラム
豊島岡女子学園中の国語分析(2022年 第1回) Column
◆各種データ
合格者平均 75.51
受験者平均 69.24
国語想定合格ライン 7割程
◆出題形式
試験時間 50分 100点満点
◆大問2題構成
◆問題の種類
漢字・語彙 20%程度
記述 30~40%程度
抜き出し 0%
選択肢 40~45%程度
その他 5%程度
今回使用する指標
〇…合格には確実に取れてほしい問題
△…合格の勝負所・差がつく問題
×…落としても合否には大きく影響しない問題
◇方針◇
選択式の脱文挿入です。接続語とキーワードと指示語に注目して考えていきましょう。
「ところで」…話題の転換です。前の内容との繋がりが薄い部分が怪しいですね。
「利益・売上・収入・費用」…これらの内容と関連のある部分が正解になるでしょう。
以上からCが正解です。
A・B・Dに関しては利益等々の話は出てないので×。
Eは利益の話は出てきますが、話の順序としてよく使う用語の説明を最後の方でするのはおかしいので×。
◇方針◇
費用の具体例としてふさわしくないものを問われています。費用の定義を本文から見つけ、選びましょう。
費用の話は2Pに書いてあります。ここは読む段階で把握しておきましょう。そして、細かく見ていくと空欄Aの6行後に「これらの栽培、供給に掛かるお金を費用と呼んでいます。」とあるので、費用の定義が分かりますね。
よって正解はエです。団体への寄付金は栽培、供給に掛かるお金とは言えませんね。
◇方針◇
利益(あ)と費用(い)と収入(う)に入る数字を前後から探しましょう。
4Pの初めに、
「今年度の支払い費用=栽培費用200円+くらしの費用200円」
「来年度に必要な費用=栽培費用200円+くらしの費用200円」
とあり、その直後に
「来年度の費用を利益で賄う」
とあるので、利益(来年度の費用)が400円…あ 費用(今年度の費用)も400円…い 収入は400+400=800…う だと分かります。
◇方針◇
正しい図を選ぶ問題です。本文の内容をしっかりと吟味して、選びましょう。
グラフに関しては文章の波線部分から5Pの真ん中辺りまでです。ここの内容を把握していきます。まず、波線から9行後に「ここでは仮に費用は収入金額とは関係なく、同じ金額だけ掛かる、つまり金額が固定されている」とあります。ここからA点とB点で費用の金額が変化しているアとエは×だと分かります。さらに、費用金額は横線より上に行くことはない(仮に費用が10万円かかった場合、15万円の損失がでるのはおかしい)ので、オも×。最後に、損失とは費用が収入を上回った場合(収入<費用)なので、ウがおかしいと分かります。以上から、イが正解です。
◇方針◇
「不確実性」と「リスク」の話題が、本文においてどのような効果を持っているかと問われています。大きな視点で意味段落ごとの繋がりを考え、解きましょう。
文章前半では、生産者の費用や利益といった話が中心でした。一方で、後半(6P)からは消費者が生産者のリスクを生み出しているという話になっています。(6P2行目 「ところが~不確実性とリスクを生みだしているのは、他ならぬ私たち消費者なのです。」)
よって正解はエだと分かります。
◇方針◇
前後の内容から空欄に入る内容をあらかじめ考え、イメージし、選択肢を選びましょう。
前後を読んでいくと、
「売れなければ、十分な収入が入らず、事前に掛かった費用を払えなくなります。」
とあるので、商品が売れないと困るという内容であると予測ができますね。そこから考えて選びましょう。今回の選択肢では消去法も非常に重要でした。言葉の意味をしっかり捉えていないと間違えてしまいます。
イ…「リスクに耐えられなくなる」が×。リスクという言葉の使い方が間違っています。リスクは本文では空欄Dの1行後「また将来、損をするかもしれない危険性をリスクと……」とあるので将来の危険性がリスクとなります。よって、「将来の」危険性に耐えられなくなるという使い方がおかしいので誤りです。将来の危険性に備えられなくなる、などが正しい使い方ですね。また、将来の危険性の前に今現在の話が書かれる方が自然ですね。
ウ…「消費者の求めに応じなければ」が×。ここでは消費者の求めに関しての話はしていませんね。
エ…「生産性を高める必要」が×。生産性を高めるなどの話はここではしていません。
オ…「不確実性が高まる」が×。不確実性という言葉の使い方が間違っています。不確実性という言葉は空欄Dの1行後「将来がどうなるかわからないことを不確実性」と書いてあります。将来の不確実性には災害等も含まれます。ここから、費用がかさむことで「将来の不確実性」が高まるとは言えないので×。
◇方針◇
本文の内容にあっているものとあるので、先に選択肢を読み、選びましょう。
ア…「しか」が言い過ぎです。
イ…「避けられない」が言い過ぎです。
ウ…「含まれない」が×。空欄Cの後、3Pから4Pの間の具体例を読むと来年度の費用も含まれていますね。
エ…「最も悩ましい」が×。言い過ぎです。
オ…正解です。文章後半の6・7Pに消費者が不確実性とリスクを生んでいるとありましたね。問5でも解きましたね。
◇方針◇
聞かれている内容を正確に捉え、本文から要素を探し、まとめましょう。豊島岡の記述は本文全体から抽象度の高い文を選び、書くことが求められます。しっかりと抽象と具体を見分ける訓練をしておきましょう。
生産者がどのようなことを考え値段を判断しているかを探します。
まず、4P目(空欄あ・い・う)の部分に値段の付け方がまとめて記載されていますね。「空欄あ・い・う」の1行後に、
「これが目標とする販売金額(=値段)になります。」
とあるので、「空欄あ」の利益と「空欄い」の費用の合計が値段となります。「空欄あ」の利益は、「空欄あ」の2行前に
「したがって、今年度の利益は来年度の費用を超える金額に……」
とあるので、そこを使います。
また、「空欄E」の2行前に
「予期しがたい生産できなくなるリスクも勘案して、損害が大きくならないようにも値段を決めて……」
とあるので、未来のリスクに対しても値段に反映がされているとあります。
さらに、文章最後に「その相場を前提に値段をつけなければなりません。」とあるので、ここも記述の要素としましょう。
以上をまとめると
【今年度の費用と来年度の費用を超える金額の利益、将来のリスクと相場の値段を勘案している。】
漢字です。
丁寧に書きましょう。
語彙の問題です。分からない場合は文脈から考えましょう。
擬声語の問題です。前後を読み、当てはまるものを考えましょう。
「空欄あ」…「 あ 」と伸びて、とあるので「しゃん」が正解。
「空欄い」…鳥のことを話し始めたので、「ぽつぽつ」が正解。さらさらと話しているのはもう少し後ですね。
「空欄う」…直後に「音を立てる」とあるので、「ぷちぷち」が正解。そわそわ音を立てるとは言わないですね。
◇方針◇
聞かれている内容をおさえ、前後から根拠を見つけ、マシな選択肢を選びます。
御蔵さんが「怖いと感じるものが何か」を前後から探します。すると、傍線部①の2行前に「集団の場で独りになることを恐れている。」とあり、傍線部①の1行前には「あの子は独りだと烙印を押される。」とあります。また、1行後には「わたしは誰にも嫌われたくないし、厭われたくない。」とあるので、このあたりが解答根拠となります。よって正解はウです。
ア…「昼食を一緒にとったり、楽しく会話したりすることができなくなること」が×。上記の解答根拠とずれていますね。
イ…「突出して優れていることによって」が×。御蔵さんが突出して優れているとは書かれていません。
エ…嫌われることが選択肢の中に書かれていないので×。
オ…「協調性がないと思われてしまう」で終わっているので×。そう思われ、嫌われ、孤独になることを怖がっているわけです。
◇方針◇
合っているかどうかの問題なので、先に選択肢を見て、選びましょう。
ア…「目を細める」はうれしい気持ちでほほ笑むときや、まぶしい時などに使われる言葉なので×。
イ…菊池さんが笑った理由が違うので×。笑った理由はよくしゃべる御蔵さんに対してですね。
ウ…〇
エ…菊池さんが笑った理由が違うので×。笑った理由は傍線部6の3行後にあるように、鳥の行動について聞き、人間でも同じような人間がいると感じたからですね。
オ…〇
カ…「恋心」が読み取れないので×。
◇方針◇
聞かれている内容をおさえ、前後から根拠を見つけ、マシな選択肢を選びます。
「やっぱりだね」の意味をまず考えると、傍線部④の2行後に「鳥、好きなんだ」とあるので、主人公が鳥好きだと再確認したので、「やっぱりだね」と言ったのだと分かります。次にそう言ったきっかけを探します。すると傍線部③の1行前に鳥について熱心に語る主人公が書かれています。ここがきっかけです。次に背景情報を押さえます。鳥が好きだと再確認しているということは、菊池さんは以前から主人公が鳥好きだと知っているということになりますね。それを知るきっかけは「森の王国」を読んだということになります。注釈6の1文にもそのことが書かれています。よって正解はアです。
イ、エ…間違っていないが、背景情報がないのでアに比べると△
ウ…書かれていないので×
オ…祖母から聞いた話かどうかは、この瞬間では菊池さんは知らないので×
◇方針◇
聞かれている内容をおさえ、根拠を見つけ、マシな選択肢を選びます。
歩く描写の効果についての説明です。間接描写にあたるので、文章を読む段階で線を引けているとベストです。
まず1行目に「菊池さんは待ってくれなかった。」とあり、物理的に距離があると分かります。この物理的な距離が心の距離を表しています。次に鳥の話を始めた場面の空欄う1行後「歩く速度はゆっくりになる。」という文から物理的にも精神的にも距離が近づいていることが分かります。そして、注釈6の1行後「足が止まった。菊池さんも立ち止まる。」という文から2人の動きがシンクロしていると分かり、心の距離もかなり接近していると分かります。
歩き方という描写から2人の心情を描写していると読み取れますね。以上からイが正解です。
ア、ウ、エ、オ…読み取れないので×。歩き方の変化に注目していないですね。
ちなみに、17ページの始め数が真正面から吹き付けてくる…」の部分も間接描写です。
聞かれている内容をおさえ、根拠を見つけ、マシな選択肢を選びます。
傍線部⑨は行動反応にあたるので、きっかけと背景と気持ちが考えます。
まず、きっかけですが、これは直前の菊池さんのセリフになります。簡単にいうと主人公の書いた小説を菊池さんが褒めた、ということです。次に背景ですが、主人公の人物像をとらえると分かりやすいですね。主人公は文章の冒頭で、孤独を嫌いだと明言しており、変な奴だと思われたくないと考えていることが分かります。ここから、自己評価の低さが読み取れます。これが背景です。最後に気持ちですが、自己評価の低い主人公(背景)が自分の書いた小説を褒められた(きっかけ)ことで、驚きや嬉しさという気持ちが考えられます。しかし、間抜けな返事をしていることから、嬉しいという気持ちは省いてよいでしょう。よって正解はエです。
ア…自分への思いが×。伝えているのは小説の感想です。
イ…自分の才能が×。小説の才能の有無は書かれていません。
ウ…自分と相容れないが×。ここまでの流れ(菊池さんを好意的に見ている主人公)と完全に逆になるので×。
オ…怖さが薄らいでいるが△。おそらく薄らいでいると考えられるが、ここでは書かれていないうえ、驚きという感情に繋がるきっかけとしては少し変である。
◇方針◇
聞かれている内容をおさえ、根拠を見つけ、まとめます。
菊池さんの人物像です。ただし、「主人公から見た菊池さん」であることを失念しないようにしましょう。人物像の問題なので読んでいる段階で線を引けていると良いですね。
まず、文章の冒頭3行目「菊池さんを見ていると~考えてしまう」を読むと、菊池さんは孤独に対して強いだろう(周りの目を気にしない)と主人公が予測していることが読み取れます。その後に「わからない」と言ってはいますが、これは菊池さんの本音が分からないという意味であり、この設問はあくまで主人公が菊池さんをどう考えているかを聞かれているので、菊池さんの本音は関係ありません。
次に、主人公が鳥好きであるという話をしっかりと聞いてくれています。さらに主人公の書いた小説を面白いと言ってくれています。ここから、主人公の趣味に対して肯定をしてくれる存在が菊池さんであると分かります。以上をまとめます。
【孤独を怖がらず、周りの目を気にしない心の強い女の子で、主人公の趣味を理解し、受け入れて肯定してくれる存在。】
例年に比べて、文章は読みやすかったでしょう。しっかりとどこに何が書いてあったかの把握ができていれば、問題を読みやすかったと思います。
記述は少なかったので、ここは記述が得意なお子様にとっては逆風だったかもしれません。
また、図を選ぶ問題なども出題され、しっかりと情報を正確に捉えられていたかを問われていました。
例年に比べれば、時間的余裕はあった入試だったでしょう。
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この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。