この記事を書いたのは...
H.Y
パリ政治学院修士1年
ハンドボール、スカッシュ、尺八と
マイナーなものをせめがち。
個別指導・家庭教師の自律学習サカセル
サカセルコラム
中学受験や試験前、不安との付き合い方 Column
こんにちは、慶應義塾大学4年のH・Yです。
そろそろ受験生にとって試験当日が見えてくる時期に差し掛かってきました。自分も何回か受験をしてきましたが、いつもこの時期から頭をもたげてくるのが「不安」です。自分はこいつと切っても切れない縁がありまして、こいつのせいで緊張し、身体が固くなり、本来のパフォーマンスを出せなくなります。
ただ、こちらもやらなければいけないことがあるため、無抵抗でいるわけにはいられません。そこで、彼とは様々な方法でうまく付き合おうとしてきました。今回は受験を控えているみなさんに、今まで私が実践してきたことの中から少しご紹介したいと思います。
対処するにはまず敵の正体を見破ることが重要です。ということで、不安とは何かから考えてみましょう。
「もし落ちたらどうなる…?」
「もしヘマをしたらどうなる…?」
と「不安」は後ろからささやいてきます。しかし、彼はその答えを教えてくれません。ただ、自分は漠然と良くないことが起こるような気分になり怖くなってゆきます。それもそのはず、不安な時は、大抵、落ちたらどうなるから不安、怖いなどと具体的には考えられていないのです。
実際に起こるかどうかわからず、様々な要因が絡み合う仮定の未来についてなど、答えの出しようもありません。しかし、質問されたら誰でもがその答えを探そうとしてしまうものです。そうなったら最後、頭は目の前のことからどこかへ旅立ち、気が付かないうちに出口のない迷路に迷いこんでしまいます。まさしく上の空、体は今起こっていることに対応できない状態です。これこそ不安な状態です。
さて、ここで無理やり答えを出そうとするとどうなるのでしょうか。
無いものを探しても、当然見つかるわけがありません。
居心地の悪くなった自分はあることないことにその答えを見ようとしてしまいます。その結果、彼の質問が反響して増幅される。それについて考えないようにしようとすればするほど、むしろ意識してしまうのです。
試験に落ちたとき、試合でミスをしたとき、ありとあらゆることについて上手くいかなかった場合を考え、それぞれのケースについて必要のない恐怖を生み出すことになります。すると、試験や試合の時に、目の前で起こっていることに集中できず、頭の中を次々と他のことで占められている状態になりさらにパフォーマンスが低下してゆくのです。
では実際にどうすれば、この不安による悪影響を防げるのでしょうか。
自分の経験上不安をただ無くすというのは難しいのです。なぜなら、何が不安なのか簡単には分からない上、さきほどのような不安から想起される問いに対する答えは簡単にでず、結論がつくものではないからです。
それではどうするかというと、不安と共存するしかありません。そこで、大切になるのは「とりあえず」の一言だと思います。「試験に落ちたらどうなるか」と漠然と不安に駆られたとき、その結果、何かよくないことが起こりそうだとしたら、どのような形でそうなるかを可能性としてではなく、具体的に決めてしまいます。この時それが正しいかどうかを考えないことが大事だと思います。例えば、「とりあえず」、試験に落ちたら希望の学校にいけないということにするのです。
もちろん、そうなってしまったら残念ですが、それが最終的に自分にとって悪い選択になるかどうかは未来の自分にしか分かりません。そのため、そのことについて考える労力がもったいないのです。では、どうすればよいかというと、未来についての価値判断を今行わず、そして、未来に関して想像力をそこで働かせない、つまり、その「とりあえず」内容を決めた不安に関しては放っておくのです。
ここまでのことを、試験の例で表してみましょう。まず、「試験に落ちたらどうなるか」と考えるのではなく、試験に落ちたら「とりあえず」ある学校にいけないことにします。そして、その学校に行くことは実はいいかもしれないが悪いかもしれない。しかし、それは今考えることではない。」という心の整理を行うのです。これで、不安がなくなることはありませんが、少なくとも、不安によって頭がいっぱいで目の前のことに手がつかなくなるということは避けられるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。私自身冒頭で述べたようにすぐ不安になります。特に人生が左右されるようなイベントの時には顕著です。そういうときには今書いたような心の整理を目を閉じて意識的に行うときもあります。もし、受験を前に不安に駆られることがあったら一度試してみてください。少しでも助けになれば何よりです。
それでは。
この記事を書いたのは...
H.Y
パリ政治学院修士1年
ハンドボール、スカッシュ、尺八と
マイナーなものをせめがち。