この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。
個別指導・家庭教師の自律学習サカセル
サカセルコラム
芝中の国語分析(2020年) Column
100年以上歴史のある名門である芝中。
仏教色はほとんどないですが、「遵法自治」の精神を校訓に掲げた仏教校であり、学習以外の部分でも生徒のことを強く思う学校です。
本日はそんな芝中の国語を解説していきます。
◆各種データ
受験者平均 54.5点
合格者平均 58.6点
想定合格ライン 58.9点
◆出題形式
試験時間 50分 100点満点
◆問題の種類
・漢字・語彙 20%
・記述 80%
芝中の国語。
全体を通して、記述を重要視しております。
そして、生徒には「聞かれていることの理解」「論理的な組み立てができるか」の2点を求めるような出題が目立ちます。
また、文章の難易度が点数に直結している部分もあり、正しい文章の読み方を身につけられるだけで周りと差がつけられます。
今回使用する指標
○…合格には確実に取れてほしい問題
△…合格の勝負所・差がつく問題
×…落としても合否には大きく影響しない問題
解答例はこちら
漢字と語彙の問題です。
いずれも芝を受ける生徒からすると一般的なレベルの語彙です。
全て取り切るか、1問ミス程度に抑えたいです。
「このようないびつな承認の現象」=〇〇な現象
の〇〇に当てはまる言葉を問われています。
まず、①線部から
「このような」→指示語→前にヒント
「いびつな」→マイナスの要素
「承認の現象」→承認に関しての要素
以上をヒントに記述の要素を探していきます。
すると、
①線部の直前に「承認されない能力は価値がない」というように書かれており、上記のヒントにも重なるのでここを使えば良いでしょう。
注意点として、さらにその前の「いいね!」の話などは具体的すぎる具体例なので使用できません。このあたりの具体抽象の読み分けは最低限できるようにしておきたいです。
また、①線部の直後から始まる「スクールカースト」の話の中に
「一元化された評価軸しか存在しません。〜いびつな承認欲求を持ちやす。」
とあるので「一元化された評価軸しか持たない」という内容でまとめても良いと思います。
◇ポイント◇
・線部から記述のイメージを作る!
・具体的な文を要素にしない!
〇〇という理由→「自分が嫌いという人は自信がない」
の〇〇に当てはまる言葉を問われています。理由の記述です。
間違えて、「プライドが高いけど自信がない」の理由を答えたりしないように注意しましょう。
まず、②線部から
「自分が嫌い・自信がない」→マイナスの内容→理由はマイナスの可能性大
以上のヒントから記述の要素を探していきます。
すると、②線部の直前に
「自己嫌悪や自分には価値がない、そんな自分が嫌いであるという意識に囚われてしまうことがあります。」
と書かれており、これが設問の「自分が嫌い・自信がない」と同じであると分かります。
では、これの理由を探していきます。
すると、直前に
「イメージを持っていないと自分が成長・成熟する可能性がないといった間違った考えに陥ることがあります。」
とあり、これが設問の理由ですね。
さらに、「イメージ」「持っていない」という言葉だけでは説明にならないので「イメージ」とはなにかを探していきます。
すると、さらに前から
「自己愛を成長させるのは〜この成長のメカニズムをよくイメージしてください。」
とあるので、「イメージ」を
「持っていない」=「自己愛を成長させるのは他者である」
ということを「知らない」といった形になります。
上記の2つの要素が書けると良いです。
文字数を短くできない場合はより直接的な理由である、「自分が成長・成熟する可能性がないといった間違った考えに陥ることがあります。」を使いましょう。
◇ポイント◇
・記述は文章を読んでいない人にも伝わるように書き、伝わらない表現は言い換えていく意識を持つこと!
自己愛は〇〇で鍛えられていく。
の〇〇に当てはまる言葉を考えましょう。
まず、③線部から
「そうやって」→指示語→前にヒント
「自己愛、鍛えられる」→プラスの要素
以上のヒントから記述の要素を考えます。
すると、直前に
「大事な他者との関係が長く続いていく」
「他者との持続的で安定的で良好な関係」
「長持ちする関係を保つこと」
という3つのプラスの要素があります。
こちらを使って書きましょう。
筆者の〇〇という考え→「承認を得るより人を承認することから始めてください」
この〇〇に入る言葉を考えます。
設問と④の直後から
「筆者の考え」→プラスの要素
「遠回り」「愛されたければ、まず人を愛せ」→回り回って自分の自己愛、承認につながる
というヒントを使って書いていきましょう。
すると、
「他者を承認する」
→「△△が起きる」
→「自分の承認につながる」
という記述のイメージが作れます。
そして、問3から
「他人との持続的で安定的で良好な関係を持つこと」→「自分の承認、自己愛」
と分かります。以上から、
「△△」=「他人との持続的で安定的で良好な関係を持てる」
であると分かります。ここを軸に記述を書いていきます。
また、④線部の3行前に
「対話は適切に使うと、人を癒す力や人を成長させる力がある〜欧米圏では言葉=現実です」
とあり、ここも「他者との良い関係」に繋がるので使用します。
以上をまとめていくと良いでしょう。
心情の記述です。
「きっかけ」と「気持ち」を考えます。
「きっかけ」→「山沢くんはつまらなそうだった」→「山沢くんの主人公を見下した態度」
「気持ち」→「目にもの見せてやる」→「見返してやる・一矢報いる・勝ってやろう」という気持ち
以上をまとめましょう。
◇ポイント◇
・「きっかけ」と「気持ち」を探す!!
心情の記述です。
「きっかけ」と「気持ち」を考えます。
「きっかけ」→「ここまで認めてもらっているとは思わなかった」→「有賀先生にプロになれる可能性があると認めてもらった」
「気持ち」→「まさか」「呆然」→「驚いている」
以上をまとめましょう。
◇ポイント◇
・「きっかけ」と「気持ち」を探す!!
心情の記述です、が「気づきとはなにか?」と問われていることに気をつけましょう。
③線部=周りは敵であるというマイナスの心情
④線部=柔らかい表情→プラスの心情
まず上記の理解が手始めになります。
次に、上記から気づいた理由がプラスの理由であるとも分かります。
「背景」→周りは皆敵である マイナス
「きっかけ」→〇〇 おそらくプラス
「気持ち」→プラスの気持ち
では、プラスの心情に変化した、表情が和らいだ「プラスのきっかけ」を考えます。
すると、主人公の
「たしかに対局中は敵だけど、盤を離れたら、同じ将棋教室に通うライバルでいい」
というセリフがきっかけであると分かります。
そして、主人公の気持ちではあるが、③線部の4行後に
「勝ったり負けたりを繰り返しながら、一緒に強くなっていけばいい」
とあるのでここを使用しましょう。
以上をまとめましょう。
◇ポイント◇
・傍線部からしっかりと記述のイメージを作る!
・字数が多い場合「背景」を入れる意識も!
心情の記述です。
「背景」「きっかけ」「気持ち」を考えます。
「きっかけ」→プラスの内容→「先生に認められたこと」「山沢君に事実上の勝利」「山沢君というライバルを得た」
「気持ち」→「それがどれほど困難なことか、正直なところ〜絶対やりぬいてみせる」→「前向き」「張り切っている」
「行動」=「かけ足」
きっかけはどれかが取れれば良いでしょう。
また、気持ちは比較的読み取りやすいので外したくないです。
また、上記が埋まると「背景」が考えられます。
「背景」→問1の「目にもの見せてやる」→「(ライバルではなく)強敵であった山沢君」
以上をまとめていきます。
◇ポイント◇
・「きっかけ」が複数ある場合もある!!
・基本的に「きっかけ」を決めてから「背景」を探す!
2020年度の芝中の国語は、聞かれてることに答えられない、論理的な思考ができない場合は大きく失点する可能性がありました。逆に言えば、上記の2点がしっかり出来ていれば、文章は読みやすく、要素も発見しやすいので容易と言えます。
また、物語文ではかなり誘導が強かったので、文章が読めていること、設問を丁寧に読むこと、が出来ていれば容易でした。
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この記事を書いたのは...
松田 浩志
自律学習サカセルでは算数・国語、主要2科目を担当。
大手進学塾では、教務主任職として、校舎全体の運営を担当し、日曜日の志望校別コースの最上位クラスから自校舎の基本クラスまで、算数・国語の両科目で毎年幅広くクラスを担当してきた。
現在の趣味はファッション。
もともと古着が好きだったのですが、現在は「キレイめ」なファッションが好み。