【算数オリンピックって何だろう】
算数オリンピックは、国境・言語・人種の壁を超えて、地球上すべての子供たちが、算数という万国共通の種目で思考力と独創性を競い合う大会です
~算数オリンピック ホームページより~
算数という共通言語で世界の子供たちが競い合い、言葉は通じなくてもコミュニケーションを取れる素晴らしい機会である算数オリンピック。
2022年現在、以下の5種目で開催されています。
・算数オリンピック (小学6年生) 1992年~
・ジュニア算数オリンピック (小学4~5年生) 1997年~
・キッズBEE (小学1~3年生) 2009年~
・広中杯 (中学3年生) 2000年~
・ジュニア広中杯 (中学1~2年生) 2004年~
例年6月にトライアル(地方)大会が実施され、7月にファイナル(決勝)大会を実施、8月に表彰式という流れになっています。
この中でも特に「算数オリンピック」は30年以上の歴史を誇り、算数少年、算数少女の大きな目標として知られています。
ちなみに僕が中学受験生の頃は、まだ出来て数年しか経っていませんでした。
その頃は権威もなく、僕自身も全く存在を意識していませんでしたが、せっかくならば受けておきたかったなと今更ながら思います。
なおトライアル(地方)大会は多くの塾が試験会場になっていて、普段通っている教室で受けられるのでリラックスして取り組めます。
ただ6年生の第2回志望校判定サピックスオープンと同日で、そのサピックスオープンの試験後に実施されるため、疲労が残った状況での受験になるという点ではコンディション調整の難しさも否めません。
【算数オリンピックと中学受験】
よく言われることですが「競技算数」と「受験算数」とは別物です。
「受験算数」は基本的な知識の量や運用する力、正確さを通して、受験生の優劣を数値で測るものです。
生まれ持った才能よりも、適切な努力をどのくらい重ねることが出来たのかが問われます。
一方の「競技算数」は思考の柔軟性や論理力、作業力など、その場で初めて与えられたテーマに対する着眼点や試行錯誤の能力が問われます。
努力では越えられない壁があることは否めません。
この「競技算数」の祭典である算数オリンピックの上位入賞者の多くが、日本を代表する進学校である灘中や筑波大学附属駒場中に進学しています。
ただこの受験生たちは、算数オリンピックの準備をしたから灘中や筑波大学附属駒場中に進学できたのではなく、灘中や筑波大学附属駒場中に進学出来る学力を備えた生徒が、たまたま参加した算数オリンピックで入賞しただけに過ぎません。
「普通の」受験生にとっては、「受験算数」と「競技算数」は全くの別物と考え、「競技算数」は算数が趣味の受験生だけが取り組むものと考えた方が、精神衛生上も良いでしょう。
【算数オリンピックの対策】
基本的に算数オリンピックは対策をしたら確実に点数が伸びる、というものではありません。
たしかに算数オリンピック対策を標榜する塾や家庭教師もいるようですが、受験勉強の片手間の生半可な対策では結果につながるケースは少ないでしょう。
とは言え僕も算数オリンピックの対策をサポートし、その結果として生徒たちが算数オリンピックのファイナルに進出してくれた経験は何度もあります。
対策はあまり無いとは言え、頻出の分野や発想の仕方は少なからずあり、特に磨いておきたいのは、平面図形の発想・着眼の仕方や、推理・論理における条件の絞り込み方、勘の働かせ方でしょうか。
僕が指導した際は、どのような着眼で進めようとしたのかを生徒に説明させ、そこを足掛かりに対話を通して発想力を磨きました。
あとはトライアルの過去問に数セット取り組ませることで、制限時間の感覚や難度によるトライアル突破ラインの確認を行って、当日に力を発揮してくれることを祈るのみという対策でした。
なおファイナルに進出した生徒たちは、いずれもSAPIXのα以上の学力を維持していました。
算数オリンピックに特化した学習をしたわけではなく、あくまでも受験勉強の一環として取り組んでいます。
【算数オリンピックで得られること】
長時間の思考や試行錯誤の末に、答えが導けたときの爽快感が算数オリンピックをはじめとする競技算数の醍醐味でしょう。
ただ本当に価値があるのは、脳が汗をかくくらい頭を使うことや試行錯誤を楽しむことで、思考の柔軟性や粘り強い姿勢を身につけられることではないでしょうか。
受験勉強は、楽しさよりも苦しさのほうが多いかもしれません。
一方の算数オリンピックは楽しむためのものです。
もし楽しくないならば敢えて受験する必要は全くありません。
思考を楽しむことで算数オリンピックを楽しみ、そこから数学オリンピック、数学の研究へと羽ばたいていけると良いですね。
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