算数の想定合格点 55 点 (女子は60点)
受験者平均点 49.8 点
合格者平均点 60.3 点
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「都心」「進学校」「国際性」「共学校」など、昨今の中学受験の人気校の要素を全て兼ね備えた渋谷教育学園渋谷中。
2020年は東大進学者数、医学部医学科進学者数、海外大進学者数のいずれも、非常に高い実績を残しました。
「自調自考」のもと生き生きと自主性を伸ばしていく、生徒達の満足度も非常に高い学校です。
そのぶん中学受験の難度は年々上昇し、今や首都圏最難関校の一角となりました。
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ここからは渋谷渋谷中の第1回の入試の算数において、どのように得点できた受験生が合格を勝ち取ることが出来たのかを見ていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、出来なくても仕方ない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。
特に工夫すべき箇所も無いので、手早く確実に正解しておきましょう。
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(2) △
2020=2×2×5×101と素因数分解し「101×10のn乗」のうち条件に合致するものを求めます。
ただ解答例のように2020×5=100100であることを利用して考えた方が、早く確実に正解できるでしょう。
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(3) 〇
半径の長さが求まらなくても、半径×半径なら求められる、という中学受験では頻出のパターンです。
今回は大きい正方形の面積が40㎠であることを利用して求めましょう。
渋谷渋谷中を目指す受験生なら確実に正解しましょう。
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(4) 〇
サイコロの目は1~6なので、BとCの積が9の倍数となるということは、BもCも3の倍数だと考えることが出来ます。
あとはBが3の場合と6の場合に分けて、Aの候補を絞りましょう。
決して易しい問題ではありませんが、正解すべき問題です。
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(5) 〇
ABそれぞれのもとの合計量が等しく、またその後の量も等しいので、食塩の量を考えるだけで正解できます。
確実に正解しましょう。
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(6) △
多くの受験生が解きにくさを感じる四捨五入と数の範囲の問題です。
5人の和が何円以上で何円未満か、6人の和が何円以上で何円未満かをそれぞれ求めましょう。
また金額は整数なので「未満」を上手く「以下」に置き換えていくこともポイントです。
計算量が多いので、後回しにしても良いでしょう。
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大問2
(1) 〇
Pは16秒、Qは12秒が周期になっているので、最小公倍数を求めるだけの問題です。
(2)以降、最小公倍数の48秒まで考えることが出来れば、あとは周期になるという確認も兼ねた問題です。
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(2) △
「正方形の面積は真ん中を通る直線で2等分される」ことから、対角線AF上にPQの2点が同時に着く時を考えましょう。
PはAかCに着く時、QはFに着く時になります。
PがCに着く場合を忘れがちなので気を付けましょう。
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(3) △
△GPQが正方形AEFGの半分になるのは
「底辺GFと、あと1点がAE上に来る時」と、
「底辺AGと、あと1点がEF上に来る時」の2種類が考えられます。
解答例のように候補を求め、PとQがそれぞれ条件を満たすか確認しましょう。
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大問3
(あ) 〇
A~Fまでが〇と●の2通りずつで、全て〇の場合を除くだけの問題です。
誘導も親切なので確実に正解しましょう。
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(い) △ (う) 〇 (え) △
(い)は横に2個ならぶ場合と、縦に2個ならぶ場合で、それぞれ重複するものが出てくるので気を付けましょう。
(う)は「〇になる1箇所を選ぶ」と考えるだけなので易しいです。
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(お) △ (か) × (き) × (く) ×
(お)は解答例のように、(い)の場合に、新たに3段使う場合を加えると考えましょう。
(か)と(き)は調べ上げの精度を問われる難問です。
それぞれどこの個数に注目して場合分けをするかを考えましょう。
部分点が無い問題なので、後回しにして大問4に時間を割くべきだったかもしれません。
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大問4
(1) 〇
半径がCDの10cm、高さがABの15cmの三角錐と考えましょう。
ごく基本的な問題なので、確実に正解しましょう。
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(2) 〇
半径20cm、高さ10cmの三角錐から、半径5cm、高さ10cmの三角錐を引くだけの問題です。
こちらも非常に易しい問題でした。
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(3) △
重ねた図を描くと、解答例のように相似な図形が見つかります。
あとは半径6cm、高さ15cmの三角錐の体積を求めるだけです。
こちらも最後の大問の後半の設問とは言え易しめでした。
後回しにしないよう気を付けたいところです。
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(4) △
最後の設問です。
半径20cm、高さ10cmの三角錐から、上の小さな三角錐と下の三角錐台を除きます。
計算量はやや多いものの、発想自体は決して難しくはないので、時間を残して落ち着いて取り組みたい問題でした。
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このように2020年の第1次も例年通り、大問1が小問集合、大問2~4が独立した大問という構成になりました。
受験者平均点は49.8点、合格者平均点は60.3点となり、平均点の上下が激しい渋谷渋谷中の算数としては、比較的点数が取りにくい出題だったと言えるでしょう。
捨て問と言うべき問題は大問3の後半くらい、残りの問題の解答方針は比較的立てやすい構成です。
合否の鍵になったのは大問4でしょう。
点数を取りにくかった大問2と大問3で時間をかけすぎずに、大問4に落ち着いて取り組めると合格ラインに届かせることが出来たのではないでしょうか。
過去問を通して時間配分の戦略も確立しておきましょう。