算数の想定合格点 60点
受験者平均点 45.0点
合格者平均点 61.3点
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首都圏の共学進学校志望者の羨望の的である渋谷教育学園幕張中。
抜群の合格実績、自由な校風な共学校として、開校から40年足らずで確固たる地位を築き上げました。
1月22日に実施される一次入試は、毎年2000人の首都圏トップ生を集める激戦として知られています。
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ここからは早速、渋谷幕張中の第1回の入試の算数において、どのように得点できた受験生が合格を勝ち取ることが出来たのかを見ていきましょう。
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〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、出来なくても仕方がない
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
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大問1
(1) 〇
はじめは奇数のカードを箱に入れていきます。
基本的な等差数列なので、確実に正解しておきましょう。
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(2) △
丁寧な作業が必要です。
1周目は奇数のカードを144÷2の72枚。
2周目は2,6,10・・・138,142を72÷2=36枚。
3周目は4,12,20・・・132,140を36÷2=18枚。
4周目でようやく8,24,40,56,72として求まります。
試験開始直後の大問1なので、いったん後回しにしても良いでしょう。
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(3) △
「継子だて」と呼ばれる、平成21年の開成中など難関校で散見されるテーマです。
「2のn乗枚の時、最後のカードが残る」特徴を利用すると、144よりも小さい2のn乗の最大の数は128と分かります。
16枚取った後、17枚目のカードを最初と考えるので、そのひとつ前の数字が最後まで残ります。
(2)を後回しにしても、継子だての知識を持っているなら正解しておきたい問題でした。
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大問2
(1) 〇
「1周並べるには偶数枚必要だが、連続した2種類の整数の和は必ず奇数になる」という内容に言及出来れば良いでしょう。
説明問題ですが易しめです。
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(2) △
「連続数の和」という難関校で散見されるテーマです。
「奇数枚の時は、真ん中の数×枚数」
「偶数枚の時は、真ん中が●.5になって、×枚数」
と考えます。
今回、奇数×偶数になる組み合わせは5×8=40しかないので「真ん中が8で5枚」のみが答えになると分かります。
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(3) △
(2)と同じように考えます。
今回は「3×20⇒真ん中が20で3枚」「5×12⇒真ん中が12で5枚」がすぐに見つかります。
また4×15の場合は8×7.5と直すことで「7と8が真ん中になる8枚」を見つけることも出来ます。
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(4) △
(2)(3)から奇数×偶数で表すことが出来れば連続数の和で表せることが分かります。
表せない場合は素因数分解して2しか出てこない場合なので、2のn乗に注目しましょう。
大問1と同様、やや知識寄りの出題でした。
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大問3
(1) 〇
7.5分後の状況を図で整理しましょう。
Aは2.5分で1.5cm増え、Bは7.5分で7.5cm増えることが分かります。
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(2) 〇
まずはAとBそれぞれが何分後に満水になるかを求めましょう。
解答例のように計算するとBのほうが早く満水になることが分かるので、あとはつるかめ算か、量と時間の逆比で処理します。
大問3は今年度の出題の中ではかなり易しめです。
完答しておきたい問題でした。
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大問4
(1) △
角ACBと角DCEの和が180度になることを利用して、解答例のように回転させると、△ACBと△DCEの面積が等しいことが分かります。
△ACBは頂角が30°の二等辺三角形の半分なので、正三角形の半分を利用して高さを求めましょう。
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(2) 〇
AD:CD=CD:BDなので、CDの長さを□とすると、3cm=□×□と表すことが出来ます。
中学受験の範囲なので、ルートを用いずに求められるようにしておきましょう。
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(3) △
発想勝負の難問です。
解答例のようにAHとGDを結ぶことで(1)(2)の誘導に沿って求めることが可能ですが、なかなか試験中に思いついた生徒は少ないことでしょう。
△ABEと△DCFを2:3の相似だと勝手に決めつけて解いてしまっても正解が出てしまう点、受験生の学力を正確に測ることが出来ずに残念でした。
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大問5
(1) 〇
△PCBが∠B=90°の直角三角形だと気づきましょう。
決して易しい問題ではありませんが、渋谷幕張中合格を目指す受験生にとっては確実に正解しておくべき問題です。
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(2) △
YとZの体積の比が4:1になるので、
BR×高さ÷2=4
RC×高さ÷3=1
と置くことで、BR:RC=8:3と求まります。
あとは丁寧に計算するだけの問題です。
数値は汚くなりますが、このレベルの問題までは正解しておきたいところです。
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(3) △
例年、最高難度の問題が配置される渋谷幕張中の立体図形の最後の小問です。
ただ今年度は比較的取り組みやすい出題となりました。
解答例のように、Zの切り口部分の面積を1×2、その他のもとの表面積にあたる部分を8と置くと、立体Xの各箇所の表面積を設定することが可能です。
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この結果、2020年の渋谷幕張中 第1回の算数の合格者平均点は61.3点と、例年よりもやや易しめの出題となりました。
やや高めの平均点となった原因は、
①「大問1の継子だて、大問2の連続数の和のような知識問題が数多く出題されたこと」
②「難問である大問4の(3)がカンでも当たってしまうこと」
③「大問5の立体図形が例年よりも易しめなこと」
が挙げられます。
ただ今年は例年になく合格者数を絞り、3.3倍もの高倍率になったので、むしろ厳しい受験だったと言えるでしょう。
合格のためには、合格者平均点とほぼ同等の得点が必要です。
渋谷幕張中に合格を目指す受験生が確実に得点すべき問題は、大問1の(1)(3)、大問2の(1)、大問3の(1)(2)、大問5の(1)で、ここまでで40点強。
あと3問くらい正解できれば、合格の可能性が大きく高まったのではないでしょうか。
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