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受験者平均点 42.0点
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合格者平均点 58.4点
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想定合格点 55点
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男子御三家の一角の武蔵中。
伝統を守り続ける教育方針や、小規模校ならではの1人1人に目が行き届いた指導による高い進学実績はもちろん魅力ですが、東京23区の私立男子校で最大の敷地面積を誇る緑豊かな立地も羨望の的です。
独特の形式となっている入試問題でも知られ、武蔵中を志望する受験生は入念な対策のもと試験に臨んでいます。
ここからは2021年の武蔵中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
基本的な計算問題です。分数の形で丁寧に整理しましょう。
「43×47=2021」は2021年度の受験生なら1度は確認しているのではないでしょうか。
計算結果も634/2021となり、2021年度のムサシ中の受験生が、思わずニヤッと出来る数値になりました。
武蔵中の先生方の遊び心を感じますね。
(2) (ア) △ (イ) △
武蔵中で頻出の比の文章題が2021年は仕事算として課されました。
「AとBの水を入れる量の比が10:21」までは容易に求められるものの、その後の解き方が思いつかなかった受験生も一定数いたことでしょう。
「Aの42分ぶん=Bの予定よりも減ってしまったぶん」と捉えることが出来れば、正解に辿り着くことが出来ました。
(イ)は(ア)が出来ていれば易しいです。
(ア)の数字をもとにして、まずは①を求めましょう。
求めるものはBの1分あたりの水の量であることに気を付ければ、確実に正解できる問題です。
大問2
(1) 〇
2020年度では武蔵中で頻出の速さと比の問題が出題されない異例の年度となりましたが、2021年度では予想通り出題されました。
(1)は中学受験で頻出の上り坂と下り坂の問題です。
ほぼ全員の受験生が一度は経験したテーマなので、正答率も高かったことが想定されます。
解答例のように速さと時間の逆比に注目した後、消去算で処理すれば良いでしょう。
中学受験における典型題なので武蔵中の合格を目指すならば確実に正解しておきたい問題です。
(2) 〇
(1)で求まった時間を利用し、必要な個所から順に考えましょう。
「Aの上りの時間:Bの上りの時間=Aの上りの距離:Bの上りの距離」となり、距離の和が6.6kmになります。
距離と時間が求まっているので、あとは丁寧に計算することで確実に正解したい問題です。
(3) △
解答例のように(1)(2)で求めた時間を図に丁寧に記入していきましょう。
Aが山頂に着く12:15からBが山頂を出発する12:45までが、AさんとBさんが一緒に山頂にいた時間と分かります。
(4) △
(1)(2)(3)の続きです。
13時ちょうどの時点でBは山頂を出て15分経っているので、どれだけ進んだのかを求め、残りの距離をBさんとCさんの出会いの旅人算として考えましょう。
発想自体は平易ですが、ここまでの処理量は決して少なくはないので、作業力で思いのほか差がつく問題と言えそうです。
大問3
(1) 〇
基本的な正六角形分割です。
全体から1/6の三角形を2つ除くと考えましょう。
合格者のほぼ全員が正解できたと思われます。
(2) ×
与えられている長さの比を、どう使えば良いのか気づきにくい難問です。
いつもなら30°の利用や、与えられている図の中で相似を探すことがポイントとなりますが、このままでは求めようがな無さそうです。
今回は正六角形の中心OからBおよびDに補助線を引くことで△BCIと△BOIの合同に気づくことができ、IC=IO=3として解き進めることが可能です。
ただ発想勝負の問題なので、思いつかなかった受験生が大多数でしょう。
もし思いついたならば、大きなリードが得られたと言えそうです。
(3) ×
(2)を正解できたなら決して難しくはありません。
△IJDを左右に分け、左側は△BGIと△DOIの相似、右側は△FHJと△DOJの相似に注目しましょう。
大問4
(1) 〇
立方体の展開図は中学受験生にとって常識です。
(2)以降にもつながりますし、確実に正解しておきましょう。
(2) (ア) △ (イ) ×
[図1]において、向かい合う面の数の和が12になる組み合わせは「1と11」 「2と10」「3と9」 「5と7」の4組しかありません。
この4組から2組を選ぶ方法が6通りあるので、その6通りそれぞれの場合において展開図が成立するものを丁寧に調べます。
その際は「1-4-1型」 「1-3-2型」 「2-2-2型」 「3-3型」を意識できると良いですね。
ただ制限時間内に調べつくすことは厳しいので、いくつか見つけられれば充分に合格ラインに乗せることは出来そうです。
特に(ア)は「横に並ぶ5・6・7・8と上下にあと1つずつ」として2つ見つけ、あと1つを見つけられれば、本質を捉えていなくても正解になります。
「丁寧に調べる」という武蔵中頻出の学習姿勢が得点につながる問題と言えそうです。
(3) △
(2)で全て調べつくしていたら難なく正解することが可能です。
ただ(2)で上手く場合分けが出来なかったとしても、大きな数から順に「16を含む場合」 「15を含む場合」…と調べていけば、正解を導くことは難しくありません。
(2)の(イ)を途中で断念したとしても、目を通しておくべき問題でした。
このように2021年度も、伝統の「問題用紙4枚、大問4つ、もちろん手書き」という構成になりました。
出題内容も
大問1:計算問題と比の文章題
大問2:速さと比
大問3:平面図形と比
大問4:調べ上げ
という武蔵中の算数における最頻出分野が並びます。
ただ難度はやや高めです。
受験者平均点が42.0点、合格者平均点でも58.4点というのは、2019年や2017年とほぼ同水準の、やや難しめの結果です。
意外と気づきにくい大問1(2)、処理量がやや多い大問2、発想力勝負の大問3などが平均点を押し下げた要因です。
大問4は武蔵らしい問題で、難度も武蔵中としては標準的でしょう。
(2)(イ)の本質的な場合分けはかなり難しいものの、点数を取るだけなら武蔵中の算数の対策を積んできた受験生にとっては難しくはなく、特に平均点を下げる要因にはなりません。
このような2021年の出題において合格ラインを超えるためには、
まずは 大問1(1) 大問3(1) 大問4(1)のサービス問題を確実に拾い、
次に 大問1(2) 大問2 大問4(2)の(ア)に出来る限り食らいつき、
余裕があれば残りの問題で拾える箇所を拾う
という戦略が適切だったものと思われます。
「個々の問題の難度は高くても点数を拾うことは出来る」という点でも、対策の多寡が得点差につながるため、入念に武蔵中の対策を積んできた生徒にとっては比較的報われやすい出題だったと言えるのではないでしょうか。
なお偶然だとは思いますが、2016年以降は出題レベルの難度が、易⇒難⇒易⇒難⇒易⇒難と交互に繰り返されています。
この順番だと2022年は易しい年にあたりますが、易しいものだと決めつけずに高難度まで対応できる対策を重ねていきましょう。
受験生の皆さんの健闘を祈ります。
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