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武蔵中の算数分析(2022年) Column

過去問分析

武蔵中の算数分析(2022年)

2022.11.29

受験者平均点 51.4点
合格者平均点 70.9点
想定合格点  65点

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緑あふれる広大な敷地を誇る武蔵中。

生徒達は恵まれた環境でのびのびと個性を伸ばしています。

大学受験にとらわれすぎないアカデミックな学習内容も魅力で、自由に憧れを抱く多くの中学受験生の注目を集めています。

各科目の入試問題も独特です。

算数は例年、B4用紙4枚、「手書き」の大問4問で構成されています。

(手書きの問題で有名なのは、武蔵中とラ・サール学園中くらいです)

武蔵中の算数における頻出分野は「和と差」「比と割合」「図形と比」「速さ」「調べ上げ」など、傾向も一定していて、こんな生徒が欲しいというメッセージ性の強いものになっています。

ここからは2022年の武蔵中の算数の入試問題を通して、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来るのかを考えていきます。

今回使用する指標

〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつくので可能な限り正解したい
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分

として小問ごとに見ていきます。

解答例はこちら

大問1

(1)ア 〇 イ 〇

1から9までの最小公倍数を求めます。

全てを並べて連除法で解いても良いですが、素因数分解に注目したり、解答例のように5から9までの最小公倍数に注目しても良いでしょう。

2520を素因数分解すると2×2×2×3×3×5×7になります。

今回は最大の奇数を求めたいので、2以外の素因数の積を求めれば良いですね。

(2) △

1円、82円、62円の3段つるかめのように見え、実際に解くことも可能です。

ただ、はがきをA枚、封筒をB枚として立式することで、消去算として解いたほうが処理量を大幅に軽減することが出来ました。

解法の選択が問われる良問です。

大問2

(1) 〇

武蔵中で頻出の平面図形と比です。

(1)は、ごく基本的な平行四辺形の分割なので落とせません。

解答例のように必要な箇所だけ取り出して考え、確実に正解しておきましょう。

(2) △

複数の相似比と面積比の関係を利用し、分割された三角形の面積を順番に求めていきましょう。

全体から除くことで五角形GECFHの面積を求めることが可能です。

2021年の武蔵中の大問3の平面図形と比の出題と比べて方針も立てやすく、是非とも完答したい問題でした。

大問3

(1) 〇

武蔵中で頻出の和分解です。

42÷2=21gずつになる時にAとBの重さが等しくなるので、Aは残り12gのせれば良いことが分かります。

丁寧に和分解をして確実に正解しておきましょう。

(2) △

「Aが21g未満になる場合」を考えます。

何gを追加するかよりも何個追加するかで場合分けをした方が良いでしょう。

着眼点と作業力で差がつく問題です。

(3) △

全ての通り―(1)―(2)という「余事象」の発想を用いると良いでしょう。

「Bに少なくとも1個の分銅をのせる」という条件の読み落としにも気を付けましょう。

大問4

(1) 〇

題意の確認問題です。

周囲の長さを求めて、点Qの速さで割るだけです。

武蔵中合格を目指すならば落とせません。

(2) △

「初めて」の状況を聞かれているだけなので、点Pと点Qそれぞれが1秒間に何度進むのか(=角速度)を求めて計算すれば良いでしょう。

難しい問題ではないですが解法の選択の判断力が問われます。

(3) ×

角速度に注目し、ダイヤグラムで整理できると上手く状況を捉えられる良問です。

ただ発想としてはやや高度で、またダイヤグラムを描くだけでも時間がかかってしまうので、制限時間内ならば後回しにしても良いかもしれません。

学習効果は高いので直しを通しての理解は必須です。

このように2022年度も例年の傾向を色濃く踏襲した出題になりました。

今回は調べ上げの大問が課されなかったものの、その他に出題された内容は例年の傾向通りだったので、武蔵中の対策を充分に積んできた受験生が比較的報われるものだったと言えるでしょう。

受験者平均点が51.4点で、合格者平均点が70.9点という結果からも分かる通り、難度はやや低めです。

理由としては大問2の平面図形が例年と比べて易しかったことが挙げられます。

ただ出願者数はここ6年で最多、倍率も3.5倍と最高となり例年以上の激戦になっています。

この出題で合格ラインに乗せるためには

大問1(1)・大問2(1)(2)・大問3(1)・大問4(1)を完答して50点強。

そこからあと2問ほど正解することが目安になりそうです。

大問3や大問4を完答できれば合格をグッと引き寄せられた一方、〇の箇所を失点してしまうと、かなりのハンディキャップを背負うことになってしまうのは、問題数の少ない武蔵中の算数ならではの悩みですね。

なお2021年の分析の際にもお話しした難度の隔年現象は、2022年も継続されました。

これで2016年以降は易⇒難⇒易⇒難⇒易⇒難⇒易となっています。

来年2023年度は難しい出題の順番ですが、果たして…?


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三宅 貴之

この記事を書いたのは...

三宅 貴之

自律学習サカセル代表。
東大寺学園から東京大学に進み、以降は大手集団塾や個別指導塾で講師としてキャリアを積む。
講師としてだけではなく新規事業の立ち上げ→運営→収益化のプロセスも経験し、満を持して自律学習サカセルを創設。

「新しいことを知る」ことを楽しめる好奇心で、その昔、高校生クイズで全国大会の準決勝に進出したことも。

プロ野球、読書、靴、腕時計、ビール、筋トレ…
色々と興味は尽きない中、一番の趣味は、やっぱり仕事。

卒業生との語らいや、娘の成長を日々の楽しみに、
さぁ今日も1日がんばります!

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