想定合格点 55点
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進学実績では間違いなくNO1女子校の桜蔭中。
特に東大、医学部への進学実績は他の女子校の追随を許しません。
勉強だけではなく、礼儀作法をはじめとする人間としての教育も行き届き、様々な業界に有力OGを輩出しています。
もちろん入学試験の難度も最難関。
各科目において、緻密で正確な作業力や高度な表現力、受験レベル最高峰の知識が求められます。
算数においても特別な発想力を求められる場面は多くないものの、鉄壁の計算力や、条件を把握しにくい問題文を読みとって整理する読解力、丁寧かつ正確な作業力が求められる、最難関にふさわしい試験内容となっています。
ここからは今年2019年の算数の出題が、果たしてどのような形式となり、どうすれば合格点を取れたのかに注目していきましょう。
〇:合格のためには必ず正解したい
△:出来る生徒と出来ない生徒の差がつく
×:完答できる生徒は少数、部分点を拾えたら充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) 〇
計算の煩雑さ、数字の汚さで知られる桜蔭中の計算問題としては、非常に易しめです。
今年の計算もこの1問だけなので、時間をかけずに正解したいところです。
(2) ア 〇 イ △
桜蔭中では頻出の日暦算です。
うるう年の条件を正しく覚えていなくても、誘導に沿って平成32年がうるう年だと考えれば4の倍数になる平成の年がうるう年だと分かります。
3回目は平成12年ですね。
なお2/1と2/29は同じ曜日になります。
(3) ア 〇 イ △ ウ △
3で割って⇒あまりを足して⇒また3で割って・・・というルールに気づいて、これをア・イは前から、ウは後ろから考えていくのが王道でしょう。
ただ普通のトーナメントの「1試合で1チームが敗退する」と関連付けて考えると「1試合で2チームが敗退する」と言い換えることも可能です。
この発想が出来ると非常に短時間で確実に正解に結びつけることが可能です。
大問2
(1) ① △
のりしろが3°以上ということは、1つのおうぎ形が16°以下と言い換えることが出来ます。
360÷16=22.5枚なので、23枚の時、何度重なっているかを考えましょう。
計算が煩雑ですが、桜蔭中受験生なら慣れているはずですね。
(1) ② ×
①より22.5枚以上で、かつ必ず交互になることから、それぞれ12枚の時を考えます。
Aの弧はそのまま、Bの弧は重なる部分を引き、丁寧に計算しましょう。
直線部分の足し忘れにも気を付けましょう。
発想は決して難しくないものの、非常に計算量が多く時間のかかる問題です。
(2) ① 〇
図形の移動も桜蔭中の算数では頻出のテーマです。
図形全体を見るのではなく、ある1点がどこに動いたかに注目し、その点を基準として図に落とし込みましょう。
今回は台形がB、正方形がFで考えると良さそうです。
(2) ② ア 〇 イ △ ウ × エ ×
状況ごとに丁寧に図を描いていくことが求められます。
処理量が多い割に答えしか聞かれていないので、後回しにしても問題ないでしょう。
ア・イに関しては、x軸上で交わるのは4~24秒後、y軸上で交わるのは4~19秒後だと考えられるとスマートですね。
大問3
(1) 〇
食塩水に関する基本的な問題です。
①とB、Cのいずれも同じ10%であることに注目し、確実に正解しましょう。
(2) 〇
食塩の量に注目して計算しましょう。
面積図、てんびん、つるかめ算など、どの解法を選択したとしても難しくはありません。
この大問は確実に完答しておきたいところです。
大問4
(1) ア △ イ △
「長針の速さが変わる」という題意の取りにくい問題です。
7時から17時までは600分で10周、残りの17時から翌朝7時までは840÷168で5周することが分かると、結局24時間で15周すると言い換えることが可能です。
イでは12時ちょうどが24×5=120°です。
あとは長針は1分で6°、短針は1分で24÷60=0.4°として、通常の時計算と同じように処理しましょう。
(2) △
(1)で求めた、長針・短針それぞれの1分間に動く角度を利用して、通常の旅人算として処理しましょう。
馴染みがない数字で解きにくさはあるものの、決して難しい問題ではありません。
(3) ×
17時から翌朝7時までの14時間の長針および短針の進む速さを求めましょう。
長針は168分で360°、短針は14時間で120°回転することから丁寧に計算しましょう。
幸い、進む速さの差が2°ちょうどという、桜蔭にしては珍しい素直な数字になるので解き方さえ見えれば正解できない問題ではありません。
このように2019年度の出題も昨年と同様、大問4題の構成となりました。
ただ大問2は実質的には、別の問題2問で構成されているので、全体の分量としては大問5問かそれ以上に相当します。
2019年の桜蔭中の算数は、全体としては例年と同じような「計算力」「丁寧さ」「正確さ」が問われていると言えるでしょう。
ただ今年度は例年以上に個々の問題の難度の差が大きく、取るべき問題と後回しにすべき問題が明確だったと言えるでしょう。
大問1の(1)、(2)のア、(3)のア、大問2の(2)①、大問3を完答し、あと数問、正解することが出来れば合格ラインの6割前後には乗せられます。
逆に上記の取るべき問題を落としてしまうと非常に難しい受験になるであろう点、やはりミスの許されないシビアな受験だと言えるのではないでしょうか。
今年の実質倍率も2倍を切り、一見敷居が下がったようにも思えます。
ただ実際は最難関を目指す女子しか受験しない状況には変わりはなく、首都圏女子の最高峰の戦いであることは言うまでもありません。
桜蔭の算数で求められる力の根底は変わりません。
充分な対策を積んで、最難関女子校への合格を勝ち取りましょう。