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大学進学実績No1の女子校として知られる桜蔭学園。
多くのOGが各界のリーダーとして活躍しています。
もちろん中学受験における入学難度も女子トップクラス。
各科目において知識量はもちろん、深い理解や洞察力、記述表現力が問われます。
ここからは2021年の桜蔭中の算数の入試問題において、どのように取り組めば合格を勝ち取ることが出来たのかを考えてみましょう。
今回使用する指標
〇:合格のためには必ず正解したい
△:差がつく問題なので、出来れば正解しておきたい
×:やや難度が高く、部分点を拾うことが出来れば充分
として小問ごとに見ていきます。
解答例はこちら
大問1
(1) △
分数・小数の入り混じった逆算ですが、異常なまでに処理量が多いです。
分母を91×11×10のまま処理すれば少しは負担が小さくなるものの、あまりの面倒さにペースを乱されることも避けたいですし、後回しにしても良いかもしれません。
(2) ① 〇 ② 〇
桜蔭中の算数では頻出の日暦算です。
①は10/1=9/31=8/62…として丁寧に計算しましょう。
桜蔭中の合格を目指す受験生ならば落とせません。
②は4/1が何色になるかを①と同じように丁寧に調べていきましょう。
こちらも受験生なら誰しもが正解できる易しい問題という訳ではないですが、合格のためには正解が必須と言えるでしょう。
(3) ① 〇 ② △ ③ 〇 ④ △
桜蔭中の算数では頻出の素因数分解の利用です。
①は99から順に調べていきましょう。
約数の和の求め方の公式を知識として持っていると、計算量を減らすことが出来ました。
②は「約数が3個=同じ素数をかけたもの」という常識からB=b×bと言い換えましょう。
〈B〉=b+b×b=b×(1+b)=1406と式を変形することで、積が1406になる連続数を求めましょう。
過去問で何度も出てきているような発想なので正解したところです。
③は素因数分解を利用して約数の個数を求める基本的な知識そのままの出題なので易しいです。
④も定番です。
約数が4個になる数は、素因数分解してa×bもしくはc×c×cになる場合なので、丁寧に調べましょう。
(3)は一般的な入試問題としては難しい部類に入ると言えますが、桜蔭中の出題としては易しいと言わざるを得ず、可能な限り正解したいところです。
大問2
(1) ア 〇 イ × ウ ×
2018年の大問2でも見られた図形の場合の数からの出題です。
アは四隅か真ん中かの2通りなので易しいですが、イ以降はかなり緻密な作業力の問われる難問です。
例を参考にしてイでは「四隅から3枚の場合」「四隅から2枚の場合」「四隅から1枚の場合」「四隅から0枚の場合」を回転して同じになる重複に気をつけて調べましょう。
ウでは「四隅から4枚の場合」「四隅から3枚の場合」「四隅から2枚の場合」「四隅から1枚の場合」「四隅から0枚の場合」を同じように丁寧に調べます。
この問題を制限時間内に正解しきることは至難の業と言えるのではないでしょうか。
答えだけを聞かれている問題なので後回しにしても全く問題ありません。
(2) エ ×
「5枚取りかえるときは3枚取りかえるときと同じ」「6枚取りかえるときは2枚取りかえるときと同じ」というように対称性を利用する発想自体は難しくはありません。
ただ(1)のイ・ウを正解することは非常が困難だったので、方針が立ったとしても飛ばさざるをえない受験生が大半だったことでしょう。
大問3
(1) 〇
水量グラフも桜蔭中の算数における頻出テーマです。
(1)はあまり見かけない設定でしたが、要するに「容器の70cmまでの体積から立方体12個ぶんを除いた量が29.5分で入った」と考えましょう。
見た目よりもずっと易しいので、確実に正解したい問題です。
(2) 〇
(1)を正解できていれば易しい問題です。
容器の50cmまでの体積から立方体10個ぶんを除き、(1)で求めた1分間あたりに入る水の量で割りましょう。
(3) 〇
「時間を短くする=出来る限り浅くする」と考えましょう。
底面には最大で3×3=9個入るので、2段に重ねた時だと分かります。
あとは2つで和が12になるよう和分解しましょう。
(4) △
水を19.7分ぶん+立方体12個の体積の和を容器の底面積で割れば、50cmすなわち5段に積み重ねたことが分かります。
5段で12個を和分解すると、8+1+1+1+1より1段目は最大で8個と分かります。
多い方から4番目なので、1段目が5個の場合で和分解しましょう。
1枚目の面倒さに動じず適切に取捨選択し、この大問に時間を割いて完答できた受験生は合格の可能性を大きく高められたのではないでしょうか。
大問4
(1) 〇
円周率が3.1と指定されていることに気を付けて、円周÷速さで求めましょう。
確実に正解すべき問題です。
(2) △
2人合わせて半周進むごとにベルが鳴ることが分かります。
それぞれ1分で何度進むのかを求めて計算しても良いですが、非常に繁雑な計算となってしまうので、進む角度の比で考えると良いでしょう。
AとBが進む円周の長さの比は5:6で速さは同じなので、進む角度の比は6:5だと分かります。
よって1回目、Aは1/2週を6:5に分けた6のぶんだけ進むので、(1)で求めた1周の時間の3/11倍だと求められます。
(3) △
(3)でも速さの比を利用します。
速さの比が変化の前後で5:7なので、同じ距離を進むのにかかる時間の比は7:5となり、この差が1分ぶんだと分かります。
後は予定の5回目の時刻から3.5分戻れば良いですね。
計算はやや煩雑ですが、発想自体は決して難しくはありません。
このように2021年の桜蔭中の出題も、2018年以降続いている大問で4題という構成でした。
易しかった2020年の出題と比べると難度は上がり、2018・2019年の基準に戻ったということが出来そうです。
2021年度の出題で合格点を取るためには、
-
大問1(1)の計算に拘泥しない
-
大問2のイ・ウ・エを後回し
-
大問2のイ・ウ・エを後回し
など、普段の桜蔭中対策で意識している内容を実践することが大切だったと言えるでしょう。
例年以上に計算量が多く、受験生の精神面にも大きな負担を強いる出題ではありましたが、課されている内容はいずれも桜蔭中の頻出テーマです。
2022年以降に桜蔭中合格を目指す受験生の皆さんも、充分な過去問演習を重ねることで桜蔭中が求める本質を見抜く力、正確な作業力、強靭な計算力、取捨選択の適切な判断力を涵養しましょう。
言わずと知れた女子最難関校ですが、努力が報われる出題になっていますよ。
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